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34.あれから5日が経っています

「えっ?そんな・・・それはもう決定事項ですの?お父様」


「ああ、王太子殿下から直々に話があったので、間違いないな」


先日、王城から家に戻ったわたくしは、すぐさまお父様にアンドリューから本当に結婚の申し込みがあったのか確認しようとしたのだけれど、5日もお父様の仕事の都合で会えずにいた。


そして本日、またまたお父様の執務室にてやっと確認ができたのだけれど、そのついでに告げられた事に驚愕しているところ。


なんとアンドリューが、わたくしに怪我をさせたことへの処罰により、王城勤務の任を解かれ、王都近郊の街へ左遷されるというのよ。


え、ちょっと待って。

ゲームが開始する時には学院にいてくれないと困るのに!

学院に入っていいのか迷うヒロインに、アンドリューが声を掛けなかったら、最悪帰ってしまうかもしれないじゃない!


「お父様!刑期は?任期は?王都へはすぐに戻ってくるのですよね?」


「お、落ち着けエミリア。なにをそんなに気にしているのだ?別に結婚の申し出を受けるつもりはないのだろう?」


そう!なんと、まだ書状の段階だったけれど、本当にアンドリューから結婚の申し込みはあったそうなのよ。

まあ、お父様が即、書状でお断りしたそうなのだけれど。


「え、ええ。それはそうなのですけれど。でも・・・わたくしのせいでそんな罰を受けるだなんて」


「ああ。だがまあ、2年間だそうだから、対して経歴に傷はつかぬだろう」


2年!それならなんとか間に合うわね。ああ、よかった。

ん?ということはアンドリューはもう突然我が家へ押しかけて来ることもないし、アンドリューが王都へ戻ってきてから急に婚約という流れにはならないでしょうから、完全にアンドリュールートは発生しないということよね?

たぶんゲームのシナリオにはなかったことだと思うし、アンドリューには悪いけれど助かったわ。


「まったく、甘い処罰ですわね。ところでエミリアーヌ。先日登城する際には包帯をしていくように言ったはずよね?帰って来た時、包帯をしていなかったと聞いたけれど、どういうことかちゃんと説明してちょうだい」


「ひっ!お母様!え、ええと、それはですね・・・」


ここには、こちらも昨夜お出かけからお帰りになったお母様が居合わせている。

ううっ、やはり報告されてしまったのね。


わたくしは必死にお母様に説明をした。

風のせいで!殿下にもう包帯を取るように言われて!と、なんども強調して。

ちなみにもう家では包帯をしていないわよ。


「エミリア・・・実はな、そこにある書状はすべてお前関連で届いたものだ。右が茶会の招待状。まあ、まだ夜会の招待状がない分ましだがたくさんあるだろう?そして、左が結婚の打診。今までは王太子の婚約者候補を降りた理由が顔の怪我だと思われていたから少なくて済んでいたが、王城でもう顔に傷がないことが知れてしまったからな、きっとまだまだ来るぞ。だからアメリアが城へ行くならまだ包帯をしておけと言っておったのに」


お母様が包帯を取るのはまだ早いとおっしゃったのはそういうことだったのね。

基本、家から出ないわたくしの怪我の状況など、なかなか情報は出ないものね。

それなのに王城という一番目立つところで顔をさらしてしまったから、この騒ぎになってしまったと。なるほど。


あの日、お化粧をしてもらったあとサロンへ戻ると、殿下がわざわざ立ちあがって迎えてくださり、とても美しいなと傷口がきれいに隠れたことを褒めていらしたくらいだもの。

帰りはそのままの姿で回廊を通ったから、すれ違った人には完全に傷跡がもうないように見えたことでしょうね。

ああ、もちろん殿下には化粧をしてくれたメイドの腕が良いことを強調しておいたわ。


「そうでしたの。お母様、申し訳ございません」


「まだエスペル国の情勢がはっきりせんから、結婚の方は全部断るつもりだが・・・一応見るか?」


「そうですか。では一応」


ソファーから立ち上がり向かったお父様の執務机の上には、封書と釣り書き?が分けて置いてあった。


お茶会の招待状は10通以上あるわね。

まあ、わたくしが参加してもよいものかどうかは、もうお父様が決められていることでしょう。

それにしても、こんな短期間に結婚の打診なんてくるものなのね。

やはり一時とはいえ・・・お茶会すら一度も参加せずに終わったとはいえ、王太子殿下の婚約者の候補だったというのは価値があるということね。


ありえないことだけれど、この中に執事はいたりしないかしらと机の上の釣り書きの上にあった白紙の紙をペらりとめくった途端、クロード・ファドリックという名が見えて、声にならない悲鳴をあげてしまった。


「エミリア、どうした?」


「い、いいえ。なんでもありませんわ」


ふぅ、大丈夫、大丈夫。お父様は全部断るっておっしゃったもの。落ち着いてー。


気を取り直してクロードの釣り書きを払いのけた次にあったのは、シャルルジーク・ルーベンスの名前で、わたくしはがっくりと机に手をつく。


ううう。なんてこと。これもゲームの強制力かしら。

そうね。いくらシャルル本人に嫌われようとも、政略結婚となれば関係ないのですものね。

とりあえず、次を見ましょう!次!

お次は・・・15歳年上?うーん、ありえなくもないけれど・・・次!

え?現在9歳?年下はちょっと。次!

あ、この方はご挨拶したことはある、はずだけれど・・・印象が薄くてまったく覚えていないわ。


まだ来るということは、そのうちお見合いとかするようなのかしら。

『ご趣味は?』と聞かれたら?

『乙女ゲームをプレイすることです』

今、まさにプレイ中だわ。ああ、趣味のうちは楽しかったのに。


「エミリア。今すぐに決めなくても、魔力が発現するまで婚約者は定めないとすることもできるぞ。あと一年と少しだが、その頃には情勢もはっきりすることだろうし」


釣り書きを見て無言になったわたくしの様子を見ていたお父様からの提案に思案する。


「そうですね・・・」


わたくしはもうすぐ誕生日がきて14歳になる。

魔力が発現するのは15歳になってからで、ゲーム開始は16歳。

15歳から16歳の間には、まだ攻略対象者の誰かがゲーム開始までに婚約者になってしまう可能性は残るけれど、それでも15歳になるまでのこの一年は、安心して過ごせるわね。


でもわたくしの、どちらも珍しいのに使えない魔力が発現してからだと、逆になかなか婚約者が決まらなくなるのではないかしら。

ここで攻略対象者ではない、適当な人と婚約してしまった方がいい?


でも、その一年の間に婚約すべき執事が現れる可能性もまだ捨てきれないわよね。

ねぇ、どう思う?

うーん、誰からもお返事がないのが辛いわね・・・


「わたくしは魔力が発現してからでいいと思うわ」


「はい!お母様のおっしゃる通りに致します!」





【魔力発現まで待ちますか?】

   YES or NO


ゲームの選択はお母様の鶴の一声によってYESと決まりました。





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