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25.ラジオ体操第三ってどんなの?

前の2話をぶっ飛ばした方へのご説明。

友人の書いたひどい結末の二次創作の小説(たいした内容ではありません)を、恵美の柩に入れられてしまったことで、エミリアーヌは悪夢をみている最中でございます(あまりにも雑)

「ぎゃー!」


淑女としてあり得ない声を上げて目が覚めた。

はぁ、よかった。ここは病院ではなくて、自分の部屋だわ。


あー、よく覚えていないけれど、なにかずっとひどい夢を見ていた気がするわー。

そうだわ、ロイス兄様とルーチェが、わたくしのお墓の前でなにかしていたのよ。


『ごらん、愛しいルーチェ。君を害そうとしたのに領地送りだけとか甘い処分で不満だったけれど、こうして早々にエミリアは墓の中、いい気味だね。ああ、もうこんな趣味の悪いアクセサリーもいらないな。ここに捨てて行こう』


とか話していたのかしらー。ひどいわー。


いえいえ、実際のロイス兄様はそんな人ではないわ。口調も違うし。

この間王城に迎えに来てくださったのだって、アルフ兄様の指示だと言っていたけれど、アルフ兄様にお礼を言いに行ったらロイスの独断だよとおっしゃっていたもの。

ロイス兄様が、ああもちろんアルフ兄様も、優しいお兄様でうれしいわ。


ゲームでは語られなかったけれど、わたくしが処刑されるようなことがあれば、一族郎党巻き添えにしてしまうに違いない。

優しいお兄様たちのためにも頑張って回避しなくては!


・・・優しい・・・お兄ちゃん?・・・あら?誰のことだったかしら。

ふむ、思い出せないから気のせいね。


はぁ。いつもよりだいぶ早く目が覚めてしまったけれど、夢見が悪くて二度寝する気にもならないわね。

そういえば、最近はシャルルルートの悪夢を見ないわ。よかった。


さて、どうしようかしらと考えてからサイドテーブルのベルに手を伸ばす。

すぐにメイドが来たので、運動できそうな服を用意してもらい、靴は次回の登城用に用意してある歩きやすい靴を履く。

少し慣らしておかないと。


さあ、せっかく早起きしたのだから、お兄様たちの朝稽古に参加するわよ!




―――「アルフ兄様、ロイス兄様、皆さまもごきげんよう。お早いですわね」


朝稽古は騎士の詰め所脇の広場だと聞いていたので向かうと、そこは広場というより最早立派な競技場だった。いつの間に我が家にこんな場所が?

そこにはお兄様たちを含め、30人ほどが剣やら魔術やらの訓練をしていた。

よくみれば騎士に混じって使用人もいる。

あれ、料理人よね?あそこにいるのは御者だわ。

非番なの?朝からジム通っちゃう系ですか?


「エ、エミリア?ど、どうした、こんな朝早くから」


「ああ、めずらしいこともあるものだな」


その場に居た全員が手を止めて目を丸くしている。失礼ね。


「ええ。今日は雨が降りますね。洗濯係に注意するよう言っておきましょう」


ちっ、失礼の塊(ラウル)もいたわ。今朝は雲一つない気持ちの良い晴天よ!


「アルフ兄様、わたくしに剣術をお教えくださいませ」


今朝は、もしかしたらわたくしに戦闘チートスキルがあるかもしれないので確認にきたのよ。

剣を持ち華麗に舞えるとか、魔力が発現したら【闇纏いなんちゃら】とか。ふふふ

この先、悪役令嬢らしいきつめな美貌になるはずですもの、カッコイイ系を目指すのはアリよね。


「な、なにを言いだすんだ!おおお前が戦う必要はないんだぞ!べ、別にお前くらい守ってやるんだからな」


「エミリア、なにか不安なことがあるのか?相談してみろ」


「いいえ、剣を振るうお兄様たちがとても素敵なもので、憧れただけですわ」


まさか厨二病を発症していますとは申告できない。

ラウルが胡散臭そうにこちらをみているのも無視をする。


「・・・そうか・・・なら、剣を持ってみるか?」


「な、アルフ兄様!危険です!エ、エミリア、だ、ダメだからな!」


おろおろし始めたロイス兄様を制して、アルフ兄様が剣を持ったまま近づいてきて、なぜか剣先を地面に付けた。


「足を肩幅に広げてしっかり立って。刃は潰してあるから切れはしないけれど、足の上に落とすなよ」


そう言ってグリップを両手で持つよう促してきた。

なんかゴルフクラブを持つみたい。ゲームでしか持ったことはないけれど。


「いいか?離すぞ」


「ひゃあ、無理!」


なにこれ!?重っ!

すぐにアルフ兄様が剣を支えてくれたので一瞬しか自分で持たなかったのだけれど、あまりの重さにびっくりした。

でもそれは大きい剣だからよね。


「ええと、これは無理ですけれど、たしかもっと細いのがありますわよね?」


周りを見渡すと、ひとりの騎士が苦笑しながらやってきた。


「こちらでございますか?」


彼が腰にしていた剣を片手ですらりと抜いて、見せてくれる。

よく手入れをしているのか、ピカピカでかっこいい。

練習用の簡易なものではなく、彼が普段使っているものなのか、鍔に少し装飾もされている。

そうそう、これこれ。レイピアよね、ゲームでよく女性剣士が持ってるやつ!

こんどこそかっこよく振るおうとわくわくニマニマしていると、なぜかまた先ほどと同じようにゴルフクラブ形式で持たされる。

軽いのになぜ?と思ったら大間違いだった。

さっきと重さがあまり変わらない。


はぁ、そうよね。考えてみたら教科書の詰まった重い鞄を持って歩いていたのは恵美で、わたくしは生まれてこの方、フォークより重い物を持ったことがなかったわ。いえ、ナイフの方が重いかしら。

あら、あくまでもたとえよ。深く考えないでちょうだい。


わたくしがしぶしぶあきらめますと言うと、皆があからさまに安堵した。ぬぬぬ。

ちゃんと筋トレから始めるわよ!


今日のところは見学することにして、端の方のベンチへ腰かける。


ロイス兄様の腰には、先日あらためてお誕生日に贈った魔石入りのアクセサリーが下がっている。

一度わたくしの手元に置いて、刺繍したリボンを付けた。

図案を起こすところから仕上げまでのべ8時間。

名前の周りに守りのまじない柄をあしらったために、両面糸がびっしりで見た目よりも重いリボンを。

我ながらよくもまあ、こんな細く短い布にこれだけ刺したものだと感心するレベルのものができあがった。


ロイス兄様はそれはもう喜んでくれて、会う人ごとに自慢している。

一番自慢されまくっていたラウルが、名前は入れなくてもいいから私にも!と食い下がるので、幸運が訪れるまじない柄で作ってあげた。

ラウルも腰にしっかり付けているから、まあ、作った甲斐はあったわね。

べ、別に家族関係に同情したわけではないわよ。


見ているだけなのにも飽きたので、端っこでラジオ体操をしていたら、一番若い騎士がポカンと見ていた。

ダメよ、お嬢様の奇行は、先輩たちのように見て見ぬふりをするのが騎士道よ。


はぁ、たいして動いてもいないのにお腹が空いたわ。

あー、なぜか無性に玉子サンドが食べたい。

そういえば、サンドイッチって出ないわね。

後でまた厨房を借りに行きましょう。




その日の午後は雷雨となった。





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