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忘却転生  記憶をなくした転生者   作者: 白い翼のレアな白鳥
少年編
9/10

魔法2

次の日、ラルクは朝ご飯を食べ、すぐに魔法書の写しの束を読みにかかった。

冬が近づくに連れて、太陽が落ちるのが早くなり、

昨日は魔法の属性を調べ終わった時には暗くなり始めていたため、ラルクは紙の内容を読むことができなかった。


「お!ラルク勉強か?」


ロウが椅子に座っていたラルクに後ろから話しかける。


「・・・・・・・・・」


ラルクは読むことに集中して気づかない。

ロウはそんなラルクにどうにかして振り向かせたいという衝動に駆られた。

ロウはラルクの肩に手でトントンし、指を立てて、ラルクが振り向いたときにほっぺに指に当たるいたずらをしようと思った。

そして、ラルクの、その小さな肩に指を立て、触ろうとした瞬間、ラルクは勢いよく、立ちながら振り向いた。

ロウはラルクが立ち上がった時の椅子の足が自分のつま先に当たり、さらに、振り向いたときにラルクの高さが変わっていたため、指はラルクのほっぺではなく、背中に勢いよく刺してしまった。

それは、もう激痛であった。

ロウは床に転がり悶える。


「ママ!聞きたい…ん?パパなにしてるの?」


「ふふ、ふふふ、ふ、ふーふー

ら、ラルクは気にしなくていいのよ。

そ、それで何が分かんないの?」


シーラは笑っていた。

彼女はラルクの質問に答えようとなんとか息を落ち着かせようとする。


「俺のことは無視かよ!」


うずくまったロウが自分を心配してほしそうに泣きそうな声を出す。


「ふふ、ロウ、それ以上笑わせないで。」


シーラはロウがしようとしていたことを一部始終、見ていたため、笑いを出さずにいることはできなかった。

この夫婦は、常に仲がいい。

ロウがバカをした時にはシーラはそれを見て笑う。

決して、大丈夫?などのことは言わない。

ただ笑うことが多い。

しかし、ロウはそんな笑ってるシーラの顔が大好きであった。


ラルクはなぜ、シーラが笑っているのか分からなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「それで、何が聞きたいの?」


笑い切ったところで再度、シーラが聞く。


「ここの部分に水魔法は空気中の見えない水を利用しているってあるよね?」


「そうよ?」


「どうやって見えない水を見えるようにしてるの?」


「え?それは…ルキアでかな。」


空気中の見えない水、水蒸気。

ルキアを使い、空気を冷やすことで水に変え、水魔法を使う。

魔法書に載ったこの水魔法の説は未だに立証されたことはなく、予想の段階で書かれてあった。


そして、ルキアを使い空気を冷やすことで水に変えるということが魔法書にのっていないところに、ラルクは無意識に疑問をもった。

なぜなら、ラルクは転生者であり、水蒸気のことは、一般論として身に付けていたからである。

さらに、ペットボトルの周りの水滴、窓の曇り、前世で何万回も見ていた。

記憶を失い、水蒸気という名称は分からないものの、空気中の見えない水を冷やすことで水が出てくることはなんとなくラルクは気付いていた。


「少し外にでてくる。」


「もう質問はいいの?」


「うん、今の聞いて、確認したいことがあって。」


ラルクは空気中の水を冷やすということを確認しに行こうとする。


リビングの入り口の引戸を少し開け、外の様子を見る。

外は昨日よりも木の枝の葉が落ちて、風が強く吹いていたため、ラルクは昨日よりも寒くなったように思えた。

ラルクは昨日よりも一枚多く、上着を羽織って外に出た。


「家の回りだけよ。」


「分かってる。」


ラルクはまだ4歳のため、家から遠くへ出たことはなかった。

村は麦や野菜の畑、その間の所々に木々が無数に生えているため、一人で出歩かせて迷子になる危険があるとロウとシーラは思っていた。そのため、シーラとロウは一度も村の中をラルクに案内させたことがなかった。


「やっぱり寒い」


外に出るとやはり昨日よりも寒かった。

上にもう一枚来たのにそれでも寒かった。

首に巻いた赤色のマフラーは風に靡く。


「まずはルキアでどうやって水を作るのか見てみよう。」


ラルクは水魔法のウォーターボールの呪文を唱え、手のひらに水ができるのを観察する。

10回ほど観察し、手のひらの中心に渦巻くように小さな水の粒が集まっていることが確認できた。


「今の小さい粒が空気中の見えない水を見える水にしたやつかな。」


ラルクはこの小さな水の粒が水蒸気を液体状にした直後のものだと当たりをつけ、さらに、その小さな水の粒ができるのを観察することにした。


その後、ラルクは自分の込めたルキアによってどのようにして小さな水に変わるのか、込める量を変えることによってどう変わるのか、実験することにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ラルクは実験を繰り返す中で気づいたことがあった。

1つ、呪文を唱える前の段階でルキアが消費されていること。1回目の消費はほんの一瞬のため、ラルクは中々気づくことができなかったが何十回か続けていると見つけることができた。

2つ、呪文を唱えている最中にもルキアが消費されていること。

それに気づいて1回目と2回目の消費は何に使われているのか調べた。


観察の結果、1回目の消費で、すでに小さな水の粒が生成されていた。

2回目の消費の間、作られた粒は集まり、水球という形に変わっていた。


次にラルクは1回目の消費はいつ始まるのか気になった。

そして、何回か観察をして、ウォーターボールの呪文を唱えようと意識した時から手からルキアの消費は始まることが分かった。

試しに何も考えずに手にルキアをためても何も起きなかった。


そこから、続けて、1回目の消費時に時間をかけてやることで小さな水の粒が増えることが分かった。呪文を唱えたときにはいつもより大きいウォーターボールができていた。


一回目の消費の時間は長くて0.3秒である。もちろんラルクは数えているわけではなく、長いか短いといった時間は自分の体の感覚でとらえていた。


そして、ラルクは1回目のルキア消費時に今までで以上に一気にルキアを使ってみた。ためる時間は変えずに。


すると、水の粒が光を帯びて、氷の粒に変わった。

呪文を唱えたときにはウォーターではなくアイスとなっていた。


ラルクは試しに地面に打ってみると地面が凍った。


「なんじゃ、こりゃ?冷った!」


ラルクは初めて触った氷の冷たさにびっくりする。


「あれ、表面に水がついてる。んー、これは冷たくなった水が変わったやつかな。ルキアをあんな風にすればこうなるのかも。」


ラルクはこの後、どのくらいルキアを使えば氷になるのか知るために何回もウォーターボール…アイスボールの魔法を使った。


氷がラルクの周りに大量にでき、周りの気温がかなり下がった。

ラルクはマフラーを顔にぐるぐる巻いて、入り口の前から寒くない左の方へ移動し、再び実験をする。









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