プロローグ
初めての執筆です。
下手な部分は必ず出ると思います。
その時はそこの詳しいコメントを下さい。
ここの意味が分かりづらいや分からないといった意見も歓迎です。
「我々聖国にはクレイスト様の加護がある!
そして勇者もついている!屈強な聖国の兵士よ、恐れることはない。
町にいる抵抗する帝国の異教徒たちは一人残らず、殺してしまえ!」
聖国の軍の指揮官が檄を飛ばす。
「「うおおおお!」」
兵士たちは声を張り上げてそれに答える。
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創生暦192年、7月3日。
アルグレード大陸の東の大国であるクレイスト聖国軍が大陸の中央の国、イレス帝国のロックガルダに侵攻した。
イレス帝国の壁と言われるロックガルダ、その土地は南に海、北には魔境の森、そして対聖国に向けて町には高さ30メートルの防壁が建てられていた。
昔の中国の城壁を連想するような立派なものだった。
今までの侵攻では一度も破れたことはなかった。
「聖国の数はどのくらいだ?」
赤色の髪を立たせ、目は獣のように鋭く、立派な銀色の鎧を身に着ける男が、部屋に入ってきた兵士、この街の隊長レントに聞く。
この強面の男は帝国の壁、ロックガルダを守る辺境伯のルード=ロックガルダである。
彼は帝国の王より、彼のその強さを称えられ『戦神』の二つ名を与えられていた。
だが、
「や、約1万です!」
そのレントは城壁にいる兵士たちより伝わった情報を話す。
「い、一万だと?
それは確かなのか?」
「少なくとも9000はいるようです。」
ルードの額に汗が浮かぶ。
「ま、また、昨年に聖国が異界より召喚した3人の勇者うちの1人、『光の勇者』がいるという情報が!」
「あの『光速』か!?」
「そ、そのようです。」
今までの戦いでは多くて3000だった。
聖国1万に対して、ロックガルドの兵士は一千と少し、いかに有利な土地とはいえ、約10倍の相手には敵わない。
さらに、光の勇者『光速』ときた。力技が主なルードにとって最悪の相手であった。
「くっそ!
これでは抵抗せずに町を、住民を明け渡せと言っているようなものではないか!」
ルードは目の前にあった机にこぶしをぶつける。
その机は真っ二つに割れた。
「聖国のクソどもが来るまでどのくらいだ?」
「あと1時間ほどかと。」
レントがそう言うと
「住民を隣の男爵領へ逃がす。
兵士50人は住民を壁の外へ先導し、そのまま隣の男爵領へ避難させろ!
残りの兵士は残って時間稼ぎだ。」
ルードはレントへ指示を出す。
レントは部屋の外に控えていた自分の部下に指示を伝え、その兵士は城壁にいる兵士たちのところへ向かう。
「他に指示はありますか?なければ私も城壁に…」
「俺の剣を持ってきてくれ。」
ルードが言う。
「ま、まさか伯爵様も残るおつもりですか?」
「勇者相手では俺がでなければ、時間稼ぎにもならないだろう、現に聖国の上にあったコルド国は3人の勇者によってその領土を大きく削られた。」
「そ、それはそうですが。
しかし伯爵様が敗れた場合、今町にいるライラお嬢様は御一人で…」
「それは問題ない。」
ルードはレントが言い終わる前に答えた。
すーと息を吸い、そしてゆっくりと吐く。
ルードはさっきまで顔つきと比べると柔らかくなる。
レントはルードの様子を見てゴクとのどを鳴らす。
そしてルードの言葉を待つ。
「ボーイフレンドができたようだからな。」
ルードはそう言うとガハハハッと笑った。
今の部屋の雰囲気を一掃するように。
「失礼ながら、あの…」
いきなりの爆弾発言に驚きながらも、レントは気になったことを聞きたくなった。
「なんだ、言ってみろ。」
「お嬢様は自分よりも強い人としか結婚しないと言っておりませんでしたか?」
「言ってたな。」
「昨年、王立学園で1位になったと自慢されていませんでしたか?」
「していたな。」
数秒の沈黙が流れた。
「昨日、学園の夏休みで帰ってきて、すぐに紹介されたよ。
おそらくだか、、自分よりも強い男が見つからなかったのかもしれんな。
黒髪の真面目で優しそうな青年を連れてきた。
だが、彼は貴族ではなく、平民であるそうで、俺は喜ぶべきか悩んだ。
だから、昨日、俺は一度待ってもらって今日もう一度話そうと思っていたのだ。」
ルードは上を向きながら話す。
「しかし、今考えてみればあの青年でいいように思えてきた。
強さこそないがライラを支えられるならば。
そしてライラが今、この町から無事に逃げられるのであれば。」
「あのお嬢様が素直に出ていくとは思いませんが。」
レントが言う。
「だろうな。
だが、あの青年がいるために無理は言わないだろう。
ルード、剣の前に、この屋敷にライラと青年がいるはずだ。
ここに呼んできてもらいたいのだが。」
「分かりました。」
そう返事をしてレントは部屋から出ようとしたとき
「伯爵様、緊急にお知らせしたいことが!」
さっきいた兵士とは別の兵士が入ってきた。
「アル、おまえは城壁にいるはずでは」
レントが言う。
「アルよ。何か起きたのか?申してみよ。」
ルードは言う。
「は!
黒髪の若者が一人で東の門から出て行きました。」
兵士、アルが言う若者とはあの黒髪の青年のことだとルードとレントは直ぐに気づいた。
今、話していたからだ。
「なに!なぜ通したのだ?」
レントが聞く。
「いえ、彼は私がいた東の門を空を飛び、壁を越えていったのです。」
「「は?」」
「帝国の人々に告ぐ!」
ロックガルダの東門から少し離れた位置に布陣している聖国の軍から明るめの茶色の髪の男が一人、黄金の鎧を身にまといCランク級の魔物、ユニコーンに乗った者が東の門に近づく。
「我々聖国は今、1万の兵士がここにいる。
そして私は光の勇者、木下誠である。
無抵抗の人を殺すことはしない。
だから抵抗するのをやめて門を開けてしてほしい!」
木下誠は声を拡大する魔道具を使い壁の向こうにいる兵士、住民に語りかける。
1拍おいて、彼が息を吸い、もう一度同じ言葉を繰り返そうとしたとき、向こうの門から槍のような長い武器を肩に担いだ黒髪の青年が歩いて来ているのに気付いた。
木下はロックガルダから交渉に来た人だと思った。
なぜなら、その青年は木下を見ながら整然と一人で歩いてきたからだ。
普通、戦いに来たのであればもっと鬼気迫る顔をする。
木下は彼が近づいてくるのを待った。
なぜなら、勇者である自分に攻撃をしてくることはないだろうと青年の優しそうな顔を見て自然と思ってしまったからだ。
10メートルぐらいになって青年の顔がはっきり見えてきて木下が言う。
「そこで止まってくれ。」
しかし、青年は歩くのをやめない。
「お、おい。止まれって。」
5メートル近くになってようやく青年は止まる。
そして彼は木下の目を見て言った。
「高いところから話すな。降りろ。」
その青年の顔からは予想もしない言葉が出た。
木下は一瞬、目を疑った。
「す、すまない。悪気はない。」
木下は驚きながらもユニコーンの背中から降りた。
その瞬間、青年が笑った。
それは優しそうだった青年の顔とは全く違う、全くの別物、
戦士の目、一般兵士ではなく、間違いなく強者のその目であった。
異世界に来て、これまでこんな目をした者はいただろうか、いや、いない。
木下はその目を見て、恐怖を抱いた。
青年の持っていた武器が青白く光りながらバチバチと激しい音が鳴る。
そして、青年は「雷神斬り」と言い、持っていた武器を振り下ろした。
創生暦192年7月3日、この日、大陸中に青年の名前『ラルク=ロックガルダ』の名前が響き渡った。
『ラルク』…この物語の主人公である。
面白かったら星五つお願いします。