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鬱病とGID  作者: 東雲
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その2.精神科病棟入院生活(一日の流れとか)

2020年5月17日


精神科病棟は、閉鎖病棟と開放病棟の2種類あります。

私の場合は、リストカットを1年間くらい続けていた状態で、かなり希死念慮が強く、自殺を具体的に計画する(どうやって死ぬか、場所はどうするか、どうやってそこまで移動するか、などを具体的に考え始める段階)までいっていたので、閉鎖病棟かも、と思っていましたが、開放病棟での入院が決まりました。その時は、手首はもう、血の跡でいっぱいで、治りかけのかさぶたとか、その上からさらに切っていたりしたので、本当にズタズタの状態でした。


さて、いろいろ書きたいですが、当日のことから言いましょうかね。


1.家族と同伴で病院に。

ひとりでも行けるよ、と思っていた(大人ですし)のですが、精神科に入院、ということは、ただ荷物が多くて運ぶのを手伝ってもらうために人手として家族の付添が必要、というわけではありません。


一人にすると自殺するかもしれない状態だったので、監視として家族が連れてくる必要があるのです。

電車で行こうかな、と思っていましたが、荷物が多くなったので結局タクシーを使いました。


2.持ち物チェック

総合受付で入院のことを伝えて、その後は……たしか、精神科病棟があるフロアに直行した気がします。

ナースステーションがあって、そこに声をかけて、そこで色々書類を書いて(自分で書いたかな……家人も書いていた気もします)、手首に患者番号バーコードがついた紙でできた腕輪のようなものを留められます。で、持ち込んだものを全部見せて、刃物類とか先が尖ったものなんかは全部回収されます。幸い、なのかどうか、普段はリストカット用の刃物は持ち歩いていなかったので、没収されずに済みました(退院後に家人の目の前で破棄しましたよ、ちゃんと)。


3.大部屋に案内

そして大部屋に案内されて、とりあえず休憩。家人と面会の頻度とか、色々細かいことを話して、とりあえず帰ってもらいました。一人になりたかったから入院したかったんですからね。

そのあと、すぐにマニキュアを付けた気がします。当時はそれが唯一の女性用アイテムだったので、速攻塗りました。臭いが気になる、とか、ホントは気をつけなくちゃいけなかったのかもしれませんが、看護師さんのチェックは通ったので、赤や青、色んな色を日替わりや週替りで付けていました。


4.担当医とそのチームの挨拶、朝と晩の回診

さて、この点は病院によって体制が全然違いますよ。私が入院したのは国立大学の医学部付属病院だったので、医療体制がとにかく手厚かったです。他の病院だと、担当医の回診は週に1回くらいが関の山ですが、毎朝/毎夕ありました。その御蔭ですごく助かりました。でも、1日のうち、3時間位はなんだかんだで主治医と話をすることが多かったですね。基本的に、することがないのが入院生活なので、私はすごく主治医に話せるのがありがたかったです。


あと、チーム医療をしている病院で、5人くらいがチームを組んで、いつも回診に来てくれていました。ボロボロに泣いている最中でも構わず回診の時間になっちゃうときがあったんですが、それでも話を聞いてくれていましたねー…。


ついでに研修医君とも話をしなくちゃいけなかったのですが、それはそれで楽しかったかな。とにかく、看護師さんともたっくさん話をしましたし、主治医とも話をしました。


5.ご飯…成人男性、1日1800Kcalのメニュー

食堂が新しくなったばかりだったみたいで、とにかくご飯が美味しかったです。

基本的に、バーコードにピッとしてもらうと自分のトレーをとっていいのですが、ナースステーション前のTVがある場所でほとんどの人が食べていて、そこで色んな人と徐々に話すようになってきて、友だちになったりしました。

でも部屋に持ち込んで、コミュニケーションを取りたがらない患者さんもいるので、そのへんは個人の自由です。

でも、8時、12時、18時にご飯なので、夕ご飯から朝ご飯までが異様に長い!!!お腹が空くんですよ、ほんと。

開放病棟なので、ナースステーションの受付に時間と名前を書くと、病棟内は出ていいので、よく売店にお菓子やコーヒーを買いに行っていました。あ、お湯だけはあるので、コーヒーや紅茶は自前で当然用意します。

朝は毎食、パンでしたね。なんででしょう。でも美味しかったですし、それまでは朝はごはん食だったのが、退院後はすっかり我が家みんながパン食に変わりました。


6.寝付けないときの薬


睡眠導入剤などの追加はしてくれませんでしたが、代わりに心を落ち着かせてくれる「セニラン」という抗うつ薬を、夜中の1時とか3時とか、毎晩それくらいに目が覚めて寝付けなくなっていたので、よく貰いに行っていました。そのときについでに話を聞いてもらったりも。看護師さん、優しいんですよ。本当に。だから甘えてしまいました。


7.検査だらけ(研究のための検査も含む)

とにかく検査だらけです。当日もそうですし、週7日間のうち、3日くらいは何かしらの検査があります。内科だったり脳波だったりMRIだったり心理検査だったり、ほんとにいろいろ。こればっかりはしょうがないんでしょうが、前日とか当日に言われたりして、スカートのまま行くことも多かったですねー。当時は今とは比較にならないくらい、普通の男だったので(プエラリアミリフィカも飲んでなければひげ脱毛もしてませんでしたし、髪のケアだって、していましたが今ほど気を遣っていませんでした)、検査待ちで隣に座ってる人からじろじろ見られることもありました……。まぁ数分のことだったのでガン無視してました。


8.デイケアに参加するか否か

日中は特に暇です。私の場合、筆記体で英文を写す、ということにハマっていたので、それがデイケア代わりになってるので行きたくありません、といつも断っていました。めんどくさいですし。


9.普段何をしていたのか

英文の筆記体写しに飽きたら、持ち込んだDS版のFF4を進めて、たまにスマホのゲームをして。そんな毎日でした。あとは、知り合いになった患者さんとおしゃべりしたり、外出許可をもらって、近くのGUやユニクロにお買い物に行ったり。でも、外出許可もらうときも、ちゃんと抗不安薬を頓服でもらっていました。急に調子が悪くなる時があるので…。

でもたいていは、外出を楽しむことができていました。大学構内がとにかく広いので、散歩もよくしました。もちろん、スカートです。


10.退院に向けて

家族との何度にもわたる話し合いの末、やっと私の居場所が保証されたので退院できるようになりました。それまでは、基本的に、主治医チーム・私・家人・家人の母との面談で、ひたすら私が悪者扱いされ続けました(退院後、しばらく経ってから、義母からは謝罪されました。受け入れましたよ、ちゃんと。表面上ですけど。一生恨んでますからね。絶対に許しません)。


見通しがたって、ジェンダークリニック(今かよっているところです)に通うこと、髭脱毛をしてもいいという確認、どこで異性装するか、という確認、などなど、いろいろな細かいルールを決めてからじゃないと、私は家には帰れませんでした。


結果的に、伸びた髪をショートボブに戻して、それで退院できるようになったかな。


11.精神科病棟での入院生活を振り返って

当時、とにかく子供や仕事から離れたかった。一人にしてほしかった。毎日世話をしなくちゃいけないことにイライラしていた。だから手首を毎晩切り刻んでいた。

それが、1か月、ゆるーりとした生活をして、話し合いも何十時間もして、徐々に薬が合うようになり、夜も寝られるようになってきて…。

やっぱり、当時の私には入院は必要な事だったと、今でも思います。そのままだと、たぶん1か月もしないうちに自殺していた気がします。死に方だけは最初に決めていましたから。マンションから飛び降りるのも、川に飛び込むのも時間の問題だったような気がしてなりません。実行していなくて、今は、少しだけですが、良かったなと思えています(未だに生き続けていることを幸せだとは感じていません。そこはイコールではないんですよね。死=安息、という考えは、今も持ち続けていますから)。


辛くて希死念慮が強くなったり、自傷行為がだんだんエスカレートしている。もし、私と同じように苦しんでいる人がいて、その方の助けになるなら、本当に幸せです。


精神科病棟の話は、これでおしまいにします。次は復職後の話、でしょうか。

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