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鬱病とGID  作者: 東雲
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その1.精神科入院生活と、看護師さんとの出会い

性同一性障害の診断後、リストカットが続いて入院した時の話。

2020年 05月17日



わたしは肉体的には男ですが、心の性別(性自認)は「真ん中から女性寄り」です。ずっと思い込みだ、と自分でも思ってたし周りからも言われていましたが、ちゃんと診断書が出て、心のままに生きる決意をできたのが2018年の6月下旬――大学病院の精神科病棟に入院中のことでした。


2年前に鬱病で入院し、退院後からジェンダークリニックに通い始めました。

入院時、本当にたくさんの看護師さんに、悩みを聞いてもらっていました。泣きながら話すことが多かったです。


特に妻と私の当時の状態(女装して入院生活を送っていること)のことで、彼女から突き刺さるような言葉の刃がメールで送られ続けていた頃、鬱が再び悪化していきました。


看護師さんにも、主治医の回診の時にも、そのことを話して、ボロボロ泣いて、「もう生きていたくない」「やっぱり死にたい」って訴えた、その時だった気がします。自殺の名所を3つ選んで、そこに行く手段を日記に書いたのもその時。一番は……言えるけど、ここに書くのは止めておきますね。


そのあとか、その翌朝か。その日の担当の看護師さんが、編み込みが得意な看護師さんに、「やってみたいこと」を聞かれて、「髪を結んでみたい」、と言いました。


当時は、性自認のズレに気づいて2,3年経過していた頃でした。少しずつ髪を伸ばして、「一般的な男性として」不自然ではない程度、かつ女性寄りの髪型を目指して、美容院で相談して、ちょっとずつ形を整えながら伸ばしてた頃だったんですが、まだ肩にもかからない長さで。目標は、「ポニーテールが結んでみたい」でした。


じゃあ、と彼女は言ってくれて、私は得意じゃないですが、編み込みがすごく得意な看護師さんがいるので、その子に言っておきますね、って言ってくれたんです。


そして、たぶん午後の担当になったその看護師さんが、私の髪を編み込んでくれました。


本当に、幸せな時間でした。


鬱の中にいて、灰色にしか見えなかった世界で、諦めるしかないって半分思いかけていたところだったから。

感謝の言葉しか見つからなかった。


嬉しくてボロボロ泣いて、記念に写真も撮ってもらいました。

しばらく…といっても、入院してたのが夏だったから、2日めに泣く泣く解くしかなかったんですが。

でもとてもいい思い出になって、それが私の背中をさらに押してくれることになりました。


もちろん、私みたいな人間は、奇異な目で見られることも有りました。


精神科病棟……開放型にいたんですが、大部屋・お風呂・トイレだけは男女別ですが、個室や食事場所、TVがある場所なんかは共有スペースで。

女装していた私は、今入院したとしてもそうだけど、男の大部屋にいました。スカート履きながら。マニキュア塗りながら。

髭脱毛を始める前だったから、かなり濃いヒゲを、毎朝丁寧に剃って、それでも昼過ぎにはジョリジョリ、ってしてきて。

そんな私が悪目立ちしないわけはなくて、ですね……。


若い患者さんとか、私に反応しないわけなくて、単に「変な女装おじさんが入院してる」って目で観られているのが分かって。


悔しかったなぁ……。嘲笑されているのが、明らかに私のことだ、って分かるんですよね、その患者さんたちの面会に友人のひとたちがきたとき、私の方をチラチラ見てるし。


その時に、リアルの世界……「精神科病棟」っていう、「安全な籠」の中だと、もちろん看護師さんも主治医の先生チームのみんなも、私(の服装)を否定することはない。

でも、それ以外の人にとっては、そうじゃなかったんですよね。当たり前なんですよね、一般社会だとそれが。


それだけじゃなくて、家族内での反発も当然有りました。家人、家人の母がタッグになり、私は……味方がいなかった。主治医との4者面談で、そんな対立がどんどん深くなっていったんですよね……


結局、実家(実父・実母・実姉)に性同一性障害のことをカミングアウトして、実家に私の味方・理解者になってもらうことを半強制されるような形になったり。


でも私は、こういったいろんな面倒な反応があって――せっかく安定してきていた心が、再び谷底に落ちるようなことを何度も繰り返しながら――それらがあったおかげで、実社会のことをはじめて冷や水を浴びせてくれたというか……。


今では、それがあったこそ、いい経験になったんだと思います。

私が、これから「どういう道」を歩いていかなければならないのか。それを身を以て知らしめてくれたのだと思います。


この、精神科病棟での入院生活と闘病生活がなければ――きっと私は、今も自分の生きる方向も見いだせないまま、中途半端にもがき続けていたのかもしれません。


何人もの看護師さん。いつも入院患者のみんなを――私のことも含めて、心配してくれていて、夜中に泣き出す私の話を、ずっと聞いてくれていました。


そして、私の生きる道を、後押ししてくれた看護師さん。その方の言葉で、「灰色の世界」に、色が付いたのです。


その後、退院してジェンダークリニックに通うようになって、髭脱毛も始めました。すべては、それがきっかけでした。


私は――今も迷うままですが――生きる道を見つけられた気がします。


精神科での入院。いったい、どんなものか、って、健常者の方なら思いますよね。

でも、みんな普通です。普通の、一人の、悩みを抱える人間。

それを、友だちになった患者さんからも。そして看護師さんからも、お世話になった主治医のチームのみんなからも、教えてくれた気がします。


とりあえず――今回は、このくらいで。

こんにちは。続きます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自伝・エッセイですね。 あなた自身が性同一性障害として苦労や憂鬱でうつになっていたのですね。
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