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解説君

解説君と小さな大冒険

作者: 星野☆明美

   「解説君と小さな大冒険」




   プロローグ☆公園にて


「風邪ひいてねんね、風邪ひいてねんね…一人ブランコつまんない」


木枯らし吹く公園で幼い女の子がひとりぼっちでブランコを揺らしていました。


 カタカタカタ、キキィ。


女の子よりも背の低い、金属で体ができているロボットが公園のそばを通りかかりました。


四角い顔、U字型の手、キャタピラの足…。


ロボットは初めておつかいに行く途中でした。


「君、一人で何してるの?」


とロボットが女の子に声をかけました。


「私は元気だけど、お友達はみんな風邪ひいておうちにいるの。私のおうちでは生まれたばかりの弟の世話でお母さんが大変だから一人で遊んでいるの」


「ふうん…」


ロボットはカシャカシャとまぶたを上下させてまばたきしました。


「君のお名前は?」


小野田亜紅おのだあこ


「あこちゃん。…それで、君は何の力で動いているの?」


「力?」


「うん。ボクはバッテリーから電気を充電して動いているんだ。だから君もそうなのかな?ボクの仲間なのかな?と思ってさ」


「うーん」


亜紅はこくびをかしげました。


そして持っていたお菓子をロボットに見せて、


「チョコレート!!」


と言いました。


「えっ!?」


あまりのことに、ロボットはびっくりぎょうてんして後ろにひっくり返りました。


「大丈夫?」


亜紅が心配して起きるのを手伝うと、ロボットは首をくるくる回しながら起きあがりました。


「ふうう」


ロボットはため息をつくと、やっと落ち着きました。


「あなたのお名前は?」


亜紅はにっこり笑って尋ねました。


「ボクはまだ名前がないんだ…」


「じゃあ、得意なことは何?」


「得意なこと…」


ロボットの頭のてっぺんのアンテナがくるりと一回転して、胸の赤いランプがちかちか点滅しました。


「ボクが得意なことは、何でも理由を考えて、解説することだ!!」


「かいせつ…?じゃあ『解説君』って呼んでいい?」


「か・い・せ・つ・く・ん…」


ロボットの頭脳がすばやく回転しました。


「ボクは解説君!!」


カタカタカタカタ。解説君は大喜びで亜紅の周りをぐるぐる走り回りました。


亜紅もなんだか嬉しくなってくすくす笑いました。


キンコンカンコンキンコンカンコン。


街の時計台が時刻を告げました。


「しまった!ボク、おつかいの途中だったんだ」


「また会える?」


「きっと会えるよ。…だから今日はバイバイ」


「うん。またね。バイバイ」


亜紅と解説君はそれぞれのおうちに帰りました。




   第一章☆発明家・正太郎


解説君は横田正太郎よこたしょうたろうという高校生の男の子が造ったロボットでした。


「今日のおつかいは、研究所の外の世界の様子を見学してくることだったけど、どうだい?何か収穫はあったかい?」


外から帰ってきたロボットに正太郎は尋ねました。


「公園で一人の女の子に会ってお話してきました」


「女の子?」


「名前はあこちゃんで、ボクに『解説君』という名前をつけてくれました」


「おや!?」


正太郎は銀縁眼鏡がずり落ちてくるのを人差し指で持ち上げるしぐさをしながら、ロボットをまじまじとみつめました。


「君はいきなり女の子をナンパしてきたのかい?こりゃすみに置けないなぁ…」


「ナンパ?ナンパってなんですか?」


すると正太郎は国語辞典から『ナンパ』に関係のある事柄をまとめて小さなディスクに入力すると、解説君の頭脳コンピュータにインプットしました。


ピカピカリン!


「なるほど!!」


解説君の両目が白く輝きました。


「『ナンパ』は『軟派』といって、いくつか意味があるのですが、正太郎の言っているのに一番近いのは『女の人を街で誘うこと』ですね」


「うん、うん。その調子で少しずつ勉強していって、いつか自分の考えで何でも決められるようになってくれるといいな」


と、正太郎はにっこりと笑いました。


「『解説君』かぁ…。良い名前をつけてもらったね。今度僕も亜紅ちゃんに紹介してくれないか?」


「…あこちゃんはボクの初めての友達です。だから、ボクとあこちゃんの間に入って邪魔しないと約束してくれるのでしたらよろしいですよ」


と、解説君は精一杯厳しい表情で言いました。


「こりゃまいったな。…うん、いいよ。わかった。『友達の友達』として紹介しておくれ」


「はい。わかりました」


カタカタカタカタ…。


キャタピラで解説君は部屋を出て行きました。


「あーあ、僕の筆箱を踏み潰して行っちゃったよ」


正太郎は解説君に「ものを壊しちゃだめだ」と教えてあげるために、工具をがちゃがちゃいわせて後を追いかけました。


 正太郎の住む家は科学者だったおじいさんの代から続く住居と研究所が合体した建物です。半永久的に動くおそうじロボットや、団子みたいに連なってキャーキャー廊下を走りまわるロボットや、不思議なもので一杯です。


「つーかまえた、っと」


正太郎はどうにか解説君をつかまえて、調整を始めました。電源を落とすと、シュン、と解説君は黙り込んでしまいました。かわいそうに思えたけれど、これも解説君のためなのです。正太郎は一生懸命作業に集中しました。


一段落ついた時、電話の呼び出し音が鳴りました。正太郎は作業用のゴーグルをはずして頭の上にずらすと、壁のパネルのスイッチを入れました。


「やあ!正太郎君元気かい?発明は順調にいっているかい?」


知り合いの高橋一馬たかはしかずまという青年からでした。


お互いの様子がモニターで見れる電話です。


「うん。まずまずですよ。一馬さん、そちらこそ民間で造るロケットの開発の方は進んでいますか?」


正太郎が電話に夢中になっていると、ふいに解説君が我に返って動きだしました。


カタカタカタカタ。


「あれ、ボク、何をするんだっけ?ああそうだ。あこちゃんとまた会う約束をしたんだ」


でも外は真っ暗でした。夜は一人で外に出ない、と解説君は思いました。そして歩き始めると、廊下を前から走ってきた小さなロボットを注意深くよけて、それがさも以前から当たり前だったみたいに思いながら歩き続けました。


「また今度、昼間のうちに公園に行こう」


と、解説君はつぶやきました。




   第二章☆春の散歩


「初めまして亜紅ちゃん!僕は正太郎。僕の造ったロボットに素敵な名前をありがとう。ついでに僕とも友達になってくれるかい?」


「うん、良いよ。…でも今日は何して遊ぼうか?私、今日初めて隣町の駄菓子屋さんまで行くつもりだったんだけど、一緒に行く?」


「うーん、実はね…」


正太郎は二組の装置をとりだしました。


「なぁに、これ?」


亜紅は目をぱちくりさせました。


サングラスにマイクとイヤホンがくっついているみたいなものです。


「はい、解説君。亜紅ちゃんに解説してあげて」


正太郎は前もって必要な内容を解説君に教えていたみたいです。


「えー、おほん」


解説君はもったいぶってせきばらいを一つしました。


「黄色い方のサングラスをはめた人が、もう一人の青いサングラスをはめた人がどこにいるのかわかる装置です。あこちゃんに青いサングラスをはめてもらって、装置がきちんと動くかどうかテストさせてください」


「正太郎はここに残るの?」


「うん。マイクとイヤホンで話ができるから離れていても安心だよ」


「へー」


ぱちぱちぱち。亜紅はすっかり感心してしまい、拍手しました。


「じゃあ、解説が終わった所で、実際にやってみようか」


「うん」


おでかけおでかけ。いつもどきどきスリルで楽しいものです。それが今回はいつも以上に楽しく感じられました。


「行ってきます」


「はーい、行ってらっしゃい」


正太郎は公園のベンチから笑顔で手を振りました。


 てくてくてく…。


亜紅は歩いて行きます。


カタカタカタ…。


「ん?」


はっ、と気づいて亜紅が振り向くと、解説君が何食わぬ顔でついてきていました。


「あれぇ?私一人で行かないと意味がないよぉー」


と亜紅が抗議すると、解説君は、


「ボクはロボットだから人数に数えなくて良いんだ」


と、まじめくさって言いました。


亜紅はちょっと立ち止まって腕組みして首をかしげると、


「ま、いっか」


と言って笑いました。


 亜紅と解説君は川原の土手にさしかかりました。


「わぁ、きれい。お花が咲いてる」


「ダイコンの花だね。白に紫色が混ざった色だ」


「解説君、色が見えるの?」


「うん。ボクの色覚反応は…ー」


解説君は立ち止まって延々と解説を続けました。難しい専門用語ばかりで亜紅はちんぷんかんぷんです。


『亜紅ちゃん』


ぼおっとしていた亜紅は、つけていたイヤホンから聞こえた正太郎の声で我に返りました。


『さぁ、先を急ぐよ』


と正太郎の声が続きました。


「うん」


いつのまにか解説君は黙ってじっと亜紅を待っていました。


「解説君、行こう」


亜紅たちは川原の土手を抜けて小さな古い石橋を渡り、隣町に入りました。


「この辺りは初めてだなぁ」


見なれないお店が立ち並ぶ商店街は、見知らぬ人達でざわめいていました。


『亜紅ちゃん、右側の三件先のお店に入ってごらん』


と正太郎の声がして、亜紅のかけている青いサングラスに矢印の光がちかちかつきました。


亜紅は目標のお店に入りました。


「わぁ、ここ、駄菓子屋さんだぁ…」


いろんなくじつきのお菓子や、ちょっとしたおもちゃがずらりと並んでいます。


お店にはしわくちゃのにこにこ笑うおばあちゃんが店番をしていました。


「おや、かわいいお客さんだ。みかけない顔だね」


「はい。隣町に住んでいる小野田亜紅です」


亜紅はぺこりとおじぎをしました。


「ここはあこちゃんを動かしている力ー燃料ー動力源のお店ですか?」


解説君がかしこまって尋ねました。


「は?」


おばあちゃんの目が点になりました。


「ああそうか。この前私がチョコレートって言ったからね」


と亜紅は合点がいきました。


「まぁ、とにかく何がいりようなのかね?ここは何でもそろっているからね。ゆっくり見ていってちょうだい」


おばあちゃんは気をとりなおして言いました。


亜紅はそう言われると、何が何でも、何か一つ買っていかなければ悪いような気がしました。


実際はそんな事など考えずに何も買わないでまた今度、と言っても良いはずなのに…。


多分、店番のおばあちゃんが好きだからなんだ、と亜紅は思いました。怒っている人よりもにこにこしている人の方が良いですものね。


あわててスカートのポケットに手をつっこんでみると、銀色のコインが一枚入っていました。今朝、お母さんがくれたのです。


「よかった」


亜紅はくじをひいてみました。


「青の3等。青の3等は…ここのお菓子の中から選んでね」


おつりを渡しながらおばあちゃんが言いました。


よく見ると、それぞれのお菓子に等級が書いてあって、色のついた丸いシールがはってありました。


亜紅は迷った末、外国の帆船の絵がついた青いパッケージのタバコチョコを選びました。「私のお父さんね、タバコを吸うの。革製のタバコ入れを持っているから、今度借りてこのチョコレート入れて持って歩こう」


帰り道すがらに亜紅が言うと、


「あこちゃんのお父さんはタバコが動力源なんですね」


と解説君が言いました。


亜紅は参ってしまって、ただ笑うしかありませんでした。


 もとの公園に亜紅と解説君が戻ると、正太郎がにこにこ笑って待っていました。


「亜紅ちゃん。この装置の使いごこちはどうだった?試作品だから実際にためしに使える機会があって良かったよ。今日はありがとう」


「ううん、こちらこそ。面白かったよ」


亜紅がサングラスをはずすと、視界が青紫色からあかね色に変わりました。


「うわぁ。夕焼けだ。いつのまにかもうこんな時間になってたんだね。今日はもうおうちに帰らなくちゃ」


「うん。今日は楽しかったね。僕らはここで亜紅ちゃんを見送ってから帰るから、気をつけてお帰り」


「うん。バイバイ」


「バイバイ」


亜紅が手を振ると、正太郎と解説君が手を振り返してくれました。




   第三章☆真夏の夜の出来事


 解説君の頭の部分から光と映像が白いスクリーンに映し出されていました。


新しく大量生産されるテレビ電話の商品解説が行われているのです。


暗い室内には正太郎と、正太郎の知り合いの人たち二人と、亜紅がいました。


「なんだか眠たくなっちゃった…」


難しい話を聞くと、亜紅は眠気がしました。


目をこすっていると、誰かが部屋の電気をつけてくれました。


「小さい子には無理だろう?やっぱり」


鶴田進一つるたしんいちという人が、高橋一馬たかはしかずまという人と正太郎に向かって言いました。


せっかくここにつれてきてくれた正太郎になんだか悪いなぁ、と思いながら亜紅は進一と一馬をじいっと見ました。


「この人たちは僕と同じ科学者連盟の仲間なんだよ」


と初めに正太郎は亜紅に二人のことを紹介してくれました。


 ここは亜紅の住む町から遠く離れた田舎町の山頂付近に建っている洋館です。


解説君の解説では、『代々高橋山を受け継ぐ高橋家の所有の館』だそうです。(要するにここは一馬の家です)


小学校の夏休みを家で家族と過ごす予定だった亜紅でしたが、体の弱い弟が入院してしまったので、両親は正太郎に亜紅を預けて、弟の方につきっきりでした。


弟のことは心配でしたが、でも考えてみると、凄いことです。知らない場所で正太郎と解説君と一緒に過ごすなんて、何が起こるかどきどきします。


 一馬は亜紅とあんまり口をきいてくれません。でも亜紅に対してだけでなく、他の人にも無口なようでした。


反対に進一はとても話上手で、冗談を言っては場をなごませてくれました。


「ここらで一つ、俺の最近書いた詩を朗読します」


進一がぺこりとおじぎをしました。


一馬は腕組みしたまま表情一つ変えずになりゆきを見守っていました。


正太郎は、パソコンで解説君のデータを入れ替える作業に集中しています。


亜紅はなんとなく、パチパチと拍手をしました。


 「…おわり。


  おわりがくる。


  ぼくたちまだおわりにはなりたくない。


  おわり。


  おわりがくる。


  おわり。


  …おわり」


 しーん。


室内は水をうったように静まり返りました。


亜紅は次の瞬間、頭を抱えこんでいやいやしました。


進一はあはは、と大笑いしました。


「進一さん、あんまり小さい子をからかっちゃいけませんよ」


まじめくさった顔で正太郎が言いました。


亜紅は正太郎の服のすそをぎゅっと握りしめ、すがりつき、手を離そうとしませんでした。


進一が面白そうに亜紅の顔をのぞきこむので、亜紅は正太郎の後ろに隠れました。


 カタカタカタカタ…。


解説君が通常モードで動き出しました。キャタピラのあしあとがじゅうたんに模様をつけます。


今は真夏なのに、洋館の中はひんやりしています。


足元のじゅうたんはやわらかくて、亜紅の裸足をうけとめてくれます。


「そうそう。今夜は亜紅ちゃんの歓迎を兼ねて、きもだめしをするからね。昼間のうちに昼寝しておいてね」


と正太郎が言いました。


亜紅は『きもだめし』と聞いて、正太郎の服のすそを握っていた手をぱっと離しました。


 夜になりました。


亜紅は洋館の中央に造られた円形の部屋でずっとお昼寝をしていました。だから目覚めると、


「ここ、どこだっけ?」


と目をぱちぱちしてしまいました。


 天井には青空と白い雲が描いてあり、壁には緑の木々とキリンやゾウなどの動物が描かれています。部屋には色とりどりのクッションが転がっていて、出入り口はビロードのカーテンが下げられて向こう側は見えません。


亜紅に誰かがブランケットをかけておいてくれたのでしょう、この冷房のきいた室内でも快適に過ごせました。


「ずっとこのままここにいたいなぁ…」


ぼんやりと天井の絵を眺めていると、なぜか涙で視界がぼやけてしまいました。


 えっく、えっく。ぐしぐし。


「あこちゃん、起きましたか?」


解説君がキャタピラで歩いてきました。


「うん」


亜紅は起こしに来てくれたのがロボットの解説君で良かったな、と思いました。


解説君はきっと亜紅が泣いているのに気づいていないでしょう。もしこれが他の人だったら『どうしたの?』とか聞かれて返事に困ることはわかりきっています。


…だって、自分で自分がなぜ泣いたのか説明できないんですもの。


あら?でも、解説君は、色を判別できるくらい立派なロボットです。


「きっと解説君は何でもわかってるんだ」


と思って、


「逆に、わかっているからこそ何も言わないでおいてくれるんだな」


と亜紅は考えました。


亜紅は思わず解説君をぎゅっと抱きしめて、ほおずりしました。


解説君の冷たい金属の感触が亜紅のほっぺたにひんやりとしました。


亜紅は解説君と一緒に応接間へ行きました。


 カナカナカナカナカナ…。


窓を開けるとむわっとする夜の外気と一緒にヒグラシの声が入ってきました。


「おじさん達は?」


と亜紅は正太郎に尋ねました。


「一馬さんと進一さんは地下の研究室でお仕事中。忙しいみたいだから、しばらく僕らだけで過ごすよ」


「うん、わかった」


どうしてでしょう、一緒にいると居心地が悪い気持ちになったりしたのに、二人の姿が見えないと寂しくて会いに行ってみたい気がします。


亜紅はそんな気持ちを振り払うように首を横に振りました。


「ねえ、きもだめしって、本当?」


「うん」


「きもだめしって、何するの?」


「さあ」


「さあって、何?」


「何だろうねぇ」


正太郎も進一に負けず劣らずいじわるです。


亜紅はフグみたいにぷうっ、とほっぺたをふくらませました。


「ちょっと僕、トイレに行ってくるよ」


「うん」


 コッチコッチコッチコッチ…。


壁の大きな古時計の、しんちゅうのふりこが行ったり来たりしています。


正太郎はいくら待っても応接間に戻ってきませんでした。


「ねぇ、解説君。正太郎遅いねぇ」


「………」


「解説君?」


どうしたのでしょう、解説君は亜紅の呼びかけに、うんともすんとも答えません。


(省エネルギーのため、ときどきこんな風に動かなくなることがあるのですが、たいてい放っておけばそのうち再び動き出すのでした。でもそのことを亜紅は知りません)


「いやーあ」


と亜紅は言いました。


何だかじっとしているのが怖くなった亜紅は応接間から出て、長い、迷路のような廊下へ出ました。


シェードランプのオレンジ色の光で廊下はほのかに明るいのですが、どっちの方向にどの部屋があるのか、そして、他の人がいる場所がどこなのか亜紅にはわかりません。


廊下の壁の両側に大きな鏡がついている所がありました。その間に亜紅が立つと、無限に何人もの亜紅の姿が映りました。なんだか不思議です。


 ガタン!!


鏡の中に見入っていた亜紅は、突然の物音にびくり、としました。きょろきょろ見まわしてみても音の原因が何かわかりません。


 そういえば解説君はどこでしょう?まだ応接間にいるのかも。そばにいた方がまだ怖くないと思い、亜紅は応接間へとってかえそうとしました。


 ぎぎぎぎぃぃーー。


「きゃーー」


何かきしむ音がしたので、亜紅は叫び声をあげてその場にしゃがみこみました。


「なんだ。こんな所で何してるんだ?」


二枚の合わせ鏡の片方がドアみたいに開いて、その奥から一馬が姿を現して言いました。


「あれ、そこ、通れる、の?」


亜紅がびっくりしたまま尋ねると、一馬は無表情でうなずきました。


「なんだなんだ。女の子の叫び声がしたぞ」


一馬の後ろから進一が姿を現して言いました。


「そこ、何?お部屋のドアなの?」


亜紅がやっとのことでそう言うと、一馬と進一は顔を見合わせました。


「ここから地下の研究室につながっているんだよ。産業スパイとか泥棒よけに、わかりにくい造りのからくり屋敷にしてあるからね。入ってみるかい?」


「うん」


亜紅は進一の手を握ってうなずきました。


それまでどうやら亜紅に怖がられているらしい、と進一は思っていたので、ちょっと驚いたような表情を浮かべました。それからすぐ、いつものへらへら笑いを浮かべました。


「他の人には言っちゃだめ。ヒミツだよ」


進一はもう亜紅をからかったりしないで案内してくれました。


「ほら、ここはいろんな部屋をのぞき見できるしかけがついているだろう?もちろん亜紅ちゃんが眠っていた円形の部屋にものぞき窓がついているけれど、小さなレディのためにのぞいたりしなかったよ」


と進一は言いました。


「あのね、正太郎がね、きもだめしをする、って言ってその後トイレに行って戻ってこなかったの。それがきもだめしだったの?」


「いや…。俺たちにもよくわからないなぁ……」


進一と一馬も首をひねっています。


 廊下の横に沿うように造られた細い隠し通路を通って、三人は応接間がのぞける場所に行ってみました。


すると、いつのまにか応接間に正太郎が戻ってきていました。


正太郎は解説君といっしょに困りきった表情でうろうろ歩き回っていました。


「単にトイレが長かっただけだろう」


と一馬がつぶやきました。


進一と亜紅はくすくす笑いました。


「な、なんだ?誰かいるのか?亜紅ちゃん?どこに行ったんだ!?」


応接間からは亜紅たちが見えない造りなので、笑い声だけが聞こえたみたいです。正太郎はわけがわからずにおろおろしました。


「これじゃあどっちがどっちをきもだめししているかわからないねぇ」


と亜紅は笑いました。


 その後、みんなで夜のお茶会を開きました。


今夜は亜紅にとっても、他の人にとってもとても楽しい思い出になりました。




   第四章☆ねじ


 「あっれー、おっかしいなー」


それは一本の<ねじ>でした。


正太郎は定期点検で解説君を一度分解して、また組みたてなおしたのですが、なぜかその<ねじ>が手元に残ってしまいます。どう考えてみても余るはずはなく、どう考えてみてもどこの<ねじ>なのか見当がつきません。


「おはよーおはよー」


アヒル型の走り回る目覚まし時計が鳴り始めました。


正太郎は昨夜は一睡もしていません。


「弱ったなぁ…今日は久しぶりの休日だし、あこちゃんと街へ行く約束があるのに、この状態じゃ解説君はつれていけないよ…」


「ボクを置いていくのですね」


「いや、その…」


恨みがましい声を解説君はやってのけました。正太郎は正直びびりました。


「かまいませんよ。あこちゃんと二人で行ってきてください」


「え?そう?いいの?」


正太郎は、ほっとして力が抜けました。


 いつもの公園で亜紅と正太郎は待ち合わせて、街へでかけました。


「解説君も来たらよかったのにねぇ」


亜紅の言葉に、正太郎は苦笑するしかありません。


デパートのおもちゃ売り場へ行きました。


亜紅が巨大ぬいぐるみを欲しそうにしているのがわかりましたが、あいにく買ってあげられるほどのお金を正太郎は持ち合わせていませんでした。。


寝不足でふらふらの正太郎は、目前をやけに見覚えのあるおもちゃが横切るのを見ました。




「こんなにいろんなものがあるんです。ひとつくらいもらっても良いと思いますよ」


「か、解説君!」


「ほら、正太郎も良いって…」


「誰もそんなことは言ってないぞ!」


正太郎は目がぱっちり覚めました。


「お前、二人で行ってきてください、って言っていただろう?なんでここにいるんだよ」


「ボクは自由だ~!!」


「ちょっと待てぃ!!」


もめているところへ店員さんがやってきました。


「他のお客様の迷惑です」


ポイ。


解説君と正太郎はデパートからつまみ出されてしまいました。


後からあわてて亜紅もついていきました。


「どうしたの?」


「解説君がおかしいんだ。ちゃんとお金で物を買うこととか教えてあるはずなのに…」


すると、解説君はおきまりのびっくりしたしぐさをしました。


「では、あの場所も『お店』なのですか?」


「デパートには来た事がなかったのね」


と亜紅は言いました。


<本当にそれだけなのか?>


正太郎はむずかしい顔で腕組みをして考え込みました。


「ねーねー、解説君も一緒になったことだし、もっといろんなところに行ってみようよ」


「いろんなところ?どこですか?」


解説君は亜紅の提案に、文字通り目を輝かせました。


「動物園とかがいいな」


「行きましょう!!」


待てと止めている正太郎の声を亜紅と解説君は無視してずんずん先へ進んで行きました。


 「ああっ大変だ。あそこでおぼれている生き物がっ」


動物園に着くなり、解説君はすっとんきょうな声を上げてキャタピラーで走り抜けました。




貴重な亀や魚類が解説君の手により水中から救い出されました。


「おお!助かった喜びでぴちぴちはねている…」


そうつぶやきながら、解説君はその場をほったらかしてまた走りだしました。


正太郎たちは大慌てで魚類を水中に返しました。


「きゃー」


むこうで叫び声があがっています。


「正太郎!解説君をとにかくとめなくちゃ」


「ああ。」


解説君は、自由を奪われた動物たちを檻から開放してあげました。自分で自分がとっても良い事をしているような気がして、解説君はますます暴走を続けました。


動物園の一角に小スペースの遊園地が併設されていました。


ちっちゃな子どもたちがきゃーきゃー言って、ジェットコースターに乗っています。


「いけない。早く止めなくては」


解説君は機械室に入り込んで緊急時の停止ボタンを押しました。


まっさかさまの状態でジェットコースターが停止しました。


「助けてー!頭に血がのぼるよー」


子どもたちはそう訴えていましたが、解説君には、やっぱり賞賛の声に聞こえていました。




きゅいーん、しゅん。


あれ…?


解説君の意識が途絶えました。


やっと解説君に追いついた正太郎が、解説君を停止させたのでした。


   ☆


 逃げ出した動物たちは、大人たちの手によってどうにか檻に戻されました。ジェットコースターも担当の係員が無事子どもたちを下ろしてくれました。


奇跡的に誰もどの生き物も怪我などありませんでした。


正太郎は一時的に動かなくした解説君の隣りで、みんなからこっぴどく怒られました。


亜紅が泣きながら、こんなことは絶対もうしないから、と正太郎を弁護しました。


「科学者連盟の人達に相談して対策を考えます」


正太郎は謝りまくった後、そう言いました。


みんなはなんとか納得してくれましたが、動物園には今後出入り禁止になりました。


   ☆


 「定期点検を、解説君本体がいつでも自分でできるように改造したまえ」


科学者連盟のアドバイスをうけて、正太郎は解説君を改良することにしました。


 「ここで、こう…。あっ!」


猿も木から落ちる。


弘法も筆のあやまり。


正太郎はようやくあの<ねじ>の正体に気がつきました。解説君の思考回路の重要な位置のものでした。


「しまった…。解説君だけじゃなく、僕も頭のねじがどこかにいっちゃってたみたいだ」


深い深いため息をつくと、正太郎はその場にうずくまってしまいました。


   ☆


 「うわああああああああっ!」


正太郎は汗びっしょりで飛び起きました。


「なんて夢みるんだぁ~」


頭をがしがしかきまわして、ぜえぜえはあはあ言って、それからやっと落ち着きました。


ねじ。たかがねじ。されどねじ。


あんな夢みたいな事はごめんこうむりたいので、正太郎は毎日、慎重に慎重に解説君の点検をやっているのでした。




   第五章☆洞窟探検・危機一髪


 「今日は何して遊ぶ?」


いつもの公園でいつものように正太郎と解説君に会った亜紅が、これまたいつものように尋ねました。


「んー、そうだなぁ。海岸にでも行ってみようか」


「海?危なくない?」


「んー、大丈夫だろう」


正太郎は適当に答えました。


毎日似たような生活を繰り返しているうちに、正太郎はちょっとなげやりな気持ちになっていました。


亜紅は腹が立つような、悲しいような、微妙な気持ちで、でも正太郎と解説君が好きだという気持ちの方が強くて文句も言えませんでした。


「あのさぁ、亜紅ちゃん。そろそろ僕たちとばっかりじゃなく、他の同じ年頃の友達もいっぱい作って、その子たちと遊ぶようにしようよ。もう、中学生なんだから」


海岸まで歩いていく道すがら、正太郎はそんなことばかり言いました。


亜紅はうつむいてしょんぼりしながら正太郎と解説君と一緒に歩いていきました。


これはつらいことです。


「いつか進一という人が言っていたように『おわり』の時がやってくるのかなぁ」


と亜紅はみじめな気持ちで思いました。


ざぱぱぱぱぁん。


砂浜を歩いて行くと、波が寄せては返ししています。


浜から少し離れた所にごつごつした黒い岩山が見えました。


亜紅はいつもお母さんが、


「危ないからあの岩山の方に近寄っちゃだめよ」


と言っていたのを思い出しました。


ところがよりにもよって、正太郎たちはその岩山の方へ歩いて行くのです。


(最近、亜紅が正太郎の意見を聞かずに、他の友達を作ろうとしないで正太郎たちにぺったりくっついているのが正太郎の悩みの種でした。正太郎は亜紅のお母さんから信頼されて、亜紅のことをよろしく、とまで言われていたので、亜紅には普通に暮らして欲しかったのです。しかし、この時の亜紅にはそれがわかる筈もなく、結局、正太郎は亜紅の意見と反対のことばかりをわざとしてみせていたのでした。)


「あれ、あんなところに洞窟があるぞ」


「正太郎。私、怖いからあっちには行きたくないよ」


「いや、大丈夫だって。行ってみようよ」


嫌がる亜紅をその場に置き去りにして、正太郎と解説君は黒い岩山の暗い洞窟の中まで入ってしまいました。


亜紅はどうしようもなくなって、とうとう正太郎たちを追いかけて洞窟の中まで入ってしまいました。


暗くてひんやりしています。


亜紅は心細くて正太郎たちを何度も呼びました。しかし、正太郎たちは聞く耳をもたずにどんどん奥へと進んでいくのでした。


思ったよりかなり深い穴です。


「しょうがないな…」


時間も方向もよくわからなくなるくらい進んだ頃に、やっと正太郎は引き返す気になりました。


亜紅はほっとして、正太郎と解説君といっしょに戻り始めました。


「あっ!!」


洞窟の中の、狭くて横から岩の突き出している所に解説君がぶつかりました。


何か壊れる音がして、それまで解説君が投影していた光がかき消えました。これでは右も左もわかりません。


さすがに正太郎もうろたえてしまいました。


しかし、亜紅を怖がらせてはいけないと思い、正太郎は何も言いませんでした。


暗闇の中で亜紅と正太郎はぎゅっと手をつなぎました。


冷や汗でじっとり汗ばんだ正太郎の手を感じて、亜紅はかえって自分が落ち着いて正太郎のことを助けてあげなくちゃ、と決心しました。


「ボクの光は出せなくなりましたが、動き回ることはできます」


と解説君は自己診断をして言いました。


「よし。じゃあみんなでこの洞窟から脱出するぞ」


と正太郎は半ば自分に言い聞かせるようにつぶやきました。


亜紅は正太郎の手が少しふるえているのを感じました。


 歩いて歩いて、ちょっと疲れた二人はその場に腰を下ろしました。


ぴちゃぴちゃ。


「うわ」


正太郎の座った所に海水がたまって水溜りができていました。


正太郎は、洞窟に入った頃がちょうど今日の干潮の時刻だったことに気づきました。


もし、満潮の時間が来て海面の水位があがったら、洞窟自体が海の中に沈んでしまう事もありえます。


そうしたら、最悪の場合は正太郎だけでなく、いっしょにいる亜紅もおぼれて死んでしまうかもしれません。


「ごめんよ亜紅ちゃん。僕が馬鹿だった」


正太郎は、変な意地をはったせいで亜紅をこんなことに巻きこんでしまった、と激しく後悔して言いました。


だけど…。


亜紅にとっては、『凄い冒険』です。


思えば公園で解説君と出会ってから正太郎とはいっしょにいろんな出来事を経験してきました。そして今、本当にどうなるのかわからないことに直面しています。


だけど、不思議なことに、亜紅は怖いと思いませんでした。


「ねぇ、正太郎。これいらない?」


亜紅はポケットからお父さんのタバコ入れを取り出して正太郎に手渡しました。


「タバコ…?なんで今、こんなものを?」


と正太郎はあっけにとられてしまいました。


「中身はね、チョコレートなの」


亜紅はくすくす笑って言いました。


「チョコレート!!」


正太郎は大きく息をつきました。


なんだか緊張がほぐれてほっとしました。


「そうだね。今みたいな時にチョコレートは良いや。元気が出たよ」


正太郎はタバコの形に似せて作られたチョコレートを一本もらって食べました。


胸がいっぱいになるのを感じながら、正太郎はいつもの発明家モードに気持ちを切り替えて、あれこれ考え始めました。


まず、洞窟内をどちらから風が吹いているのか調べました。そして、外に通じる穴がどちらにありそうか見当をつけました。


「さあ、歩こう」


二人は立ちあがりました。


進んで行くと、果たしてかすかな明かりが見えました。


ああ、でも、人が通り抜けるにはちょっと小さすぎます。


正太郎と亜紅は力が抜けてしまいそうになりました。


「大丈夫です!ボクの動力を切り替えて最大にすればこんな穴くらい広げられますよ」


とふいに解説君が言いました。


「でもそんなことをしたら解説君が壊れてしまうだろう!?」


と正太郎がびっくりして言いました。まさかロボットの解説君がそんな申し出をするなんて思ってもみなかったのです。


「ボクの記憶のつまったディスクだけをとっておいて、また新しいロボットの体を造った時にデータを入力すればいいんですよ。だって人間の体は一度壊れたら代わりがないんでしょう?だったらそれが一番です」


解説君はそう言って、薄明かりの中でちょっと首をかしげました。


「ボクは人間を動かしている力が何なのか、やっぱり不思議です。ボクみたいにバッテリーに蓄えた電力で動き、それが尽きたら交換するやりかたとは違う。『食べ物』という燃料を摂取してはいるけれど、それ以外の『何かの力』が正太郎やあこちゃんを動かしている気がする…。うまく言えないけれど。ボクはそれを解説できるようになりたかった」


「解説君はもう十分わかっていると思うよ」


と正太郎は言いました。


「それでは、新しい体をよろしくお願いします。またお会いしましょう…」


そう言って、解説君はディスクをはきだすと、正太郎の手にそれが収まるのを待って、おもむろに回路を切り替え、洞窟の穴を広げる作業にとりかかりました。


 正太郎と亜紅が外に出られたのは、すっかり時間がたった頃でした。


「一番星が出ているよ」


「本当だね」


「また解説君に会えるのはいつ?」


「すぐさ。僕がすぐに元通りに造ってみせるよ」


二人は手をつないだまま、解説君の記憶のつまった小さなディスクを見て、微笑みあいました。




   エピローグ☆時は流れて~公園にて~


 「正太郎、いる?」


元気に息せき切ってやってきた亜紅は、成長して大学生になっていました。


「おう、来たな」


うすくあごひげを生やした正太郎は、立派なおじさん…もとい、科学者として活躍していました。


「おやおや、おてんば娘の登場だ」


と、奥から手伝いに来ていた進一と一馬が作業の手をとめて、亜紅に声をかけました。


みんなは、あはは、と笑いました。


「学生生活はエンジョイしてるかい?」


と正太郎がやさしく尋ねました。


「うん。友達も沢山できたよ」


「そうか。そりゃ良かった」


「でもやっぱり、正太郎とかといるほうが一番好きかなぁ」


「やれやれ困ったもんだ」


「困らないもーん」


亜紅と正太郎はくすくす笑いながら会話を楽しみました。


亜紅は大学で電子工学について学んでいます。いつか正太郎たちといっしょに何かすてきなものを造ろうと考えているのだけれど、その思いはかなうのでしょうか?


「そのうち二人に解説君が操縦する自家用飛行機を造ってやるよ」


進一が言いました。


「なんでそんなもの造るんですか?」


正太郎が素朴な疑問を尋ねました。


「いるだろう?新婚旅行用に」


一馬が、別にからかうわけでもなく、しごくまじめな顔で言ったので、正太郎はおたおたしてどうしようもありませんでした。


「…ところで、今は何を造っているところなの?」


と亜紅が尋ねると、


カタカタカタカタと音がしました。


あいかわらずキャタピラで歩く解説君がやってきました。


そしてもったいぶった様子で解説を始めました。


「これはですね…」


亜紅は解説君ほどの発明はないんじゃないか、といつも思います。


今の状況を不思議な気持ちで眺めながら、亜紅は、なんとなく幸せだな、と感じました。


 その日。夕方まで正太郎たちと過ごすと、亜紅は家路につきました。


キンコンカンコンキンコンカンコン。


街の時計台が時刻を告げました。


亜紅が通りすぎたいつもの公園では、からっぽのブランコがひとりで揺れていました。




               fin.




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