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魂の憑着と、余剰の廃棄について

作者: 野趣

 


 生命は、肉体と魂でできています。




 ある女性のおなかの中で、精子と卵子が出会い、ひとつの肉体ができました。


 近くでは、魂がぐるぐると飛びまわっています。


 生まれたばかりの肉体は、まだ未熟で、魂を受けいれることができません。


 だから魂は、少しの間、待たなければならないのです。


 飛んでいる魂は無垢な光をはなっていました。


 まっさらな魂です。


 まだ、世界をしらない魂です。




 しばらくして、肉体は十分に成長し、魂とひとつになるときがやってきました。


 無垢な魂は、期待するように光をゆらし、肉体へと飛んでいきました。


 そのときです。くすんだ光をはなつ魂が、間にわりこんできました。


 くすんだ魂は、元の肉体が滅び、回収される途中でした。


 その魂は、後悔していました。


 やり直したがっていました。


 ちょうどよく肉体を見つけた魂は、そこにもぐりこんでしまいました。




 困ったのは無垢な魂です。


 居場所がなくなってしまいました。


 世界に存在できる魂には限りがあります。


 無垢な魂は、くすんだ魂のかわりに、世界のどこかへと、回収されてしまいました。




 さて、ここにひとつの生命が生まれました。 


 この生命の半分は、前世の記憶をもつ魂でできています。


 この生命のもう半分は、才能あふれる肉体でできています。


 彼は後悔を胸に生まれます。二度と同じ失敗をしないでしょう。


 彼はやさしい人間に育ちます。だれからも愛される存在になるでしょう。


 彼は世界の英雄になります。もし彼が別の人間だったら……なんて、だれも考えはしないでしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 確かにそうですね! 転生者は神様にチートな能力もらったりしますし。知識チートも馬鹿にできませんからね。 これから異世界の話読むときは頭の片隅に置いておきます!
[一言] こちらも面白かったです! 一度は生を終えた魂が憑着することによって新しい魂が廃棄される…。考えさせられますね。 私は異世界転生ものが好きなのですが、もしかしたら前世の記憶を持った主人公とかの…
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