ブラフか
「万が一の事も考えて、あえて攻撃力の高いホーリー・ドールで攻撃した。確実にダメージを与えるために」
木村には隙きがない。白い泥棒の直接攻撃で手札破壊もまたしても受けてしまった。このままでは負けてしまう・・・!
「ドロー!!俺は場に裏守備で出し、ターンエンドだ・・」
高杉には木村に対抗できるだけのカードが手札になかった。加藤が持つブルーアイズのカードさえデッキにあれば勝負の行方は分からなかったものの。。。
「防戦一方か、高杉。これでは読み合いもあったものじゃない。が、俺は全力でお前を倒しに行く」
返しの木村のターンで出されたカードは「機械の巨兵」。「ホーリー・ドール」をも上回る攻撃力1750!
「機械の巨兵で高杉の守備モンスターを攻撃!」
高杉の「デス・ストーカー」は破壊された。
「ただの雑魚モンスターか。もしや、守備力1700の眠れる獅子かと思って警戒したが」
ふたたび白い泥棒とホーリードールの直接攻撃を受けて、高杉のライフポイントは4200となった。
返しの高杉のターン。機械の巨兵の攻略すら怪しかったが、高杉はアックス・レイダーを引いた。
「俺の引いたカードはアックス・レイダー!攻撃力1700」
「それでもまだ機械の巨兵の1750には及ばないなぁ?高杉」
「そーあわてるなって。装備魔法カード、伝説の剣!こいつは戦士族モンスターの攻撃力と守備力を300ずつアップさせるのさ」
外野の村野が声を上げた。
「ぃよっし!これでアックス・レイダーの攻撃力は2000!機械の巨兵のそれを上回ったぞ!」
「アックス・レイダーで攻撃するのは・・・!」
木村の場には三体存在する。機械の巨兵、ホーリードール、白い泥棒の三体。
倒せる内に攻撃力の高い機械の巨兵を倒すか、効果がやっかいでダメージ優先で白い泥棒を倒すか。
高杉の選択は・・・!
「機械の巨兵を攻撃!」
7750になった木村。高杉は逆のパターンを考えたのだ。
機械の巨兵を強化されるとアックス・レイダーもやられてしまい、もう後がなくなると。そう考えた上での行動だった。
「俺はこれでターンエンドだ」
続いて木村のターン。
「白い泥棒とホーリードールを守備表示に変更。そして壁モンスターを一体増やしてターンエンド」
守備に変更すれば、倒されても戦闘ダメージは発生しない。
あの木村がこの程度で劣勢になったとは考えにくいが、攻められそうなら攻めておくに越したことはない!
しかし、気になるのはあのリバースカード。
木村の場に伏せられた魔法・罠カード1枚。
考えられるのは・・・
1.発動機会はあったが、あえて残してある罠カード
2.発動機会がなかったカード
3.単なるブラフ
ここまでの状況で発動機会があったとすれば
「落とし穴」か「はさみうち」のどちらかであろう。
落とし穴だったとしたら、木村は高杉が高レベルのモンスターを出した時のために温存しているに違いない。
はさみうちの場合、はさみうちは自分の場のモンスター2体をコストに敵モンスター1体を破壊するカード。
さっき、白い泥棒とホーリードールをコストにアックス・レイダーを破壊出来たはずなのに、それをしなかった。
あの状況ならやらないはずがない。していれば木村は勝っていたのだから。
とするとはさみうちではないか。
木村のことだ。魔法カードを伏せて、高杉に心理戦を仕掛けようとしているのかもしれなかった。
現在 木村のライフポイント7750 高杉は4200。
木村の場には ホーリードールと白い泥棒と守備モンスター そして伏せカード。
高杉の場には 伝説の剣で強化されたアックス・レイダー。
デュエルの主導権は未だ木村の手中にあった。