奪還
決勝トーナメントが行われている体育館から離れて春休みで閑散とした校舎裏の辺り。
いた。彼だ。
大塚信吾。
ブルーアイズを盗ませた張本人。
大塚は何者かと話し込んでいた。その会話相手はシルクハットを深くかぶりサングラスとマスクを着用していた。
身長と体格的には大塚と同じくらいの年齢っぽいが。
「ほらよ、アンタの言う通りのカードを奪ってきたぜ。これが欲しかったんだろ?」
懐から取り出したブルーアイズのカードをシルクハットの男に渡した。
「ククク、待ち焦がれたぞブルーアイズ・・・これで36枚目だ。やはり初期イラストは良い・・・」
「そんなにほしいなら何枚でも奪ってくるぜ。さぁ約束の五千円をもらおうか」
「おぉ、新渡戸稲造の五千円札だな」
今の時間軸は高杉と織田が戦っている真っ最中。
そう、この影から大塚とシルクハット男を覗いて気を伺っているのは加藤だ。
このまま見ていてもカードを持っていかれるだけと判断した加藤は校舎の陰から飛び出した。
「ちょっとまったーー!」
「ん?」
「あ?」
二人とも振り返る。
「そいつは俺のんだ!!返せ!」
「おいおいおいおい、証拠あんのかコラ名前でも書いてんのかって聞いてんだよ!!」
詰め寄ってくる大塚。
「デュエルだ・・・デュエルで買ったらブルーアイズを返してもらおう」
「お前が負けたらどうするんだ?」
「くれてやるよ・・・俺の魂を・・!」
「面白い!やってやるよ。ただし、やるのはアイツだ」
大塚が指差した後方の先にはシルクハット男。
「んっ!俺かぁ」
「ブルーアイズを今持ってるのはアンタだからよ」
加藤は誰も良かった。
「誰でもいいからさっさとやろうぜ」
「わかった。ここだとカードが風で飛ぶから中で勝負だ」
~
空き教室へ来た3人。
加藤とシルクハット男はすでに机を向かい合わせて座っている。
相手の名前が気になった加藤は尋ねた。
「シルクハットの男じゃ呼びづらい。名を教えてもらおうかな」
「プルカンフェール・・・でいい」
「ぷるかんふぇーる?外国人なのか・・・?日本語が達者すぎるな」
「安心しろ加藤とやら。調整中かつ弱デッキで相手をしてやる。久しぶりのデュエルだし善戦がしたくてな」
もう勝つ気でいるのかこのプルカンフェール。
「あいにく電卓の持ち合わせがないので特別ルールを採用する」
「なに!?」
「まぁ、聞け」
ルール ライフポイント廃止
ライフコスト支払う、半分、戦闘効果ダメージ1回のたびに自分の手札を1枚捨てる。
デュエル中に手札が0になったほうが負け。
ライフポイントを得る効果はすべて無効になり、それ以外の効果は通常の処理を行う。
初期手札は7枚スタート。
「これでどうだ加藤」
「なるほど。大きな変更は特になしか」
加藤は思った。別にヤツが有利になるルールでもあるまい。
「いいだろう。そのルールでいこう」




