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中学校

「ここが俺たちが通う中学校か」

高杉、村野、加藤が4月から通う中学校は「むぎわら中学校」という。

ここで平穏な学園生活を送れると思っていた3人だったが、そうはいなかった。

1999年度の新入生にとんでもない悪がいた。

そいつの名は、竹田という。竹田は2人の子分を引き連れて、常に悪さをしている厄介者だ。教師たちも彼にほとほと手を焼いている。

「ハハハ、中学校も大したことねえな!」

体が大きく、力も強い。そして遊戯王の腕も立つ。竹田は入学から一ヶ月たらずで学校の有名人となってしまった。

「おい?聞いたか。3組の阿部の奴、竹田との賭けデュエルに負けてブラック・マジシャン盗られたらしいぞ?」

「4組の森川は死者蘇生だとよ」

「これじゃあ、学校におちおちカードも持ってこれねえよ」

休み時間や放課後の間ならカードで遊んでOKと言われていたので、ほとんどの生徒は自慢のカードデッキを持参していた。

既に学校にいる3割のデュエリストに被害が及んでいた。これ以上被害が増えれば、学校でのデュエル自体が禁止になりかねない。

そしてとうとう3人にも竹田の魔の手が伸びた。


入学してから3週間ほど経ったある日、加藤は宿題をやらなかった事によるペナルティとして放課後に居残り勉強させられていた。

担任から渡された学習プリント5枚。閉門までに完遂しなければならない。

「んだよこれぇ・・・中1がやる内容じゃないだろぉ~」

加藤は特別頭が良いというわけではなかったが、この学習プリントは中学1年生がやるには明らかに不相応だった。

「あの鬼担任めぇ~」

担任に対する呪詛の言葉を吐きながら、ガリガリとプリントに書き殴る加藤。

それを教室の外、廊下からじっと観察する者の姿があった。

竹田の子分の1人、根川である。根川は竹田の参謀的ポジションの悪。背は低いが、悪知恵が働く。ずる賢い小物だ。

「1組の加藤」

加藤は竹田らのターゲットになりつつあった。

「あの加藤は親が土地もってるとかでレアカードがたくさん買える財力の持ち主だとリサーチ済み。いつもの仲間達もいないようだし、今日狩るか」

そこへ奴がやってきた。竹田だ。竹田は今しがたトイレで大をすませた所。根川に見張りを命じておいたのだ。

「どうだ根川。加藤の様子は」

「もう課題が終わったようで帰り支度してるぜ。あいつ」

「そうか。間に合ったな」

「ヒヒッ、今日も竹田のデュエルが見られるのか」

これを発言したのは取り巻きの1人、野原である。野原は根川より若干背が高く、メガネをしている。

「よし、お前ら2人は廊下で待ってろ。俺がサシで奴を狩る」

竹田は野原と根川を廊下に残して教室へ入っていった。

「お前はっ・・・!竹田!!!」

帰り支度をしていた加藤だったが、持っていたカバンを落として竹田に向き直った。

「用件は分かるな加藤。レアカード狩りさ」

「・・・・っ」

机を乱暴に加藤の席に向き合わせて、竹田は席についた。

「席につけ。賭けデュエルを始める」

挑まれたデュエルに背を向けられない。それがデュエリストのサガだ。加藤も席についた。

「まずルールの確認だ、加藤。ルールはエキスパートルール。ライフポイントは4000。レベル5と6のモンスターは生贄が1体、それ以上は2体だ」

「オーケー。それで構わない」

「カードデッキはあるな?」

無言で頷いた加藤は自らのデッキを机の上に置いた。デュエリストにとって命ともいえるカードデッキである。

「よォし、ではアンティカードの提示だ。自分のデッキの最もレアカードを賭けに出せ。どーせ俺様が奪っちまうだろーがなー!」

加藤が提示したカードとはっ・・・!

「俺は・・・この・・・ブルーアイズホワイトドラゴンを提示する!」

竹田の目がギョッと見開かれた。ブルーアイズは最高の攻撃力守備力を誇る最強モンスターである。

「ま・・・まさか・・・!フフッ・・・こんな所でそんな超レアカードにお目にかかれるとは思わなかったぜぇ!必ず俺のものにしてやる」

「竹田、お前のアンティカードは何なんだ?」

「俺か?俺はなぁー・・・これさ魔法カード、ブラック・ホール」

「・・・いいだろう。デュエルスタートだ」

問題児竹田と加藤との戦いの幕が切って落とされた。


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