転校
「あの・・・高杉が負けた・・・」
50勝無敗のデュエリスト、高杉が初めて敗北した。
ショックからかうつむいて放心状態の高杉。
「高杉てめぇ!!一回負けたくらいで腑抜けてんじゃねえよ!!俺なんか何回お前に負けたか分からねえほどなんだぜ!!」
村野の言葉が響いたのか、高杉がピクッとして顔をあげた。
そして村野の方を見やった。
「わかってるさ村野。俺ァこんなんで腐ってられねぇ・・・!」
そして高杉は正面に座っている自分を負かした木村を真っ直ぐに見据えた。
「木村、今回はおめえの戦術に手も足も出なかった。完敗だ。だが、次はこうはいかねえ。てめぇにも敗北の苦汁を舐めさせてやるぜ!」
「この俺を負かせるだと?大言壮語も大概にしろよ」
「今は駄目でも、この3年間の中学生生活の間に必ずおめぇを倒してみせるさ!」
「フッ・・・俺はもうこの学校を去る。欲しいカードは手に入ったからな」
「なんっだと!?」
「もうこの学校にようはない。別の学校に行かせてもらう」
木村が次に向かう学校は、今年できたばかりの遊戯王に力を入れている川島中学だった。
木村は色々な学校でレアカードをごっそり奪い取り、戦力の補充をしているらしかった。
確実にレアカードを手に入れるために学校を転々とする木村の遊戯王に対する熱意。
高杉は感嘆するしかなかった。
ここまでしないと俺は木村には勝てないのか・・・・?と高杉は思った。
「さて、俺はもう転校するから、この大会も参加し続けるのは難しくなった。棄権させてもらおう」
木村は席を立って、教室の外へと歩き出した。
「それじゃあな、高杉」
高杉は思った。このまま負けたまま終われねえ!必ず木村を倒す!
高杉は思った。そのためには遊戯王を深く学ばねばならない!
高杉は思った。木村を倒すためには努力は惜しまぬと!
高杉の遊戯王特訓が始まった。