第1話: 異世界召喚
思いつきで書いたので、不定期更新&突然展開変更かも。です
「ようやくこの日が来たんだ」
オレは学校の体育館ほどもある大広間で感涙にむせんでいた。天井はあくまで高く巨大なシャンデリアが輝き、床は大理石のように艶やかで硬い……そして正面の一段高い所には王の玉座、その脇に居並ぶ家臣団……視線が若干、彷徨い気味なのが気になるけど。
「あの……勇者、様?」
周囲の人より少し前に立っている、うら若い女性。白地に金の刺繍のある立派な法衣を着た、おそらく神官か巫女。オレを召還した召喚主に違いない。
「ここは?」
オレはなるべく落ち着いた声で問い掛ける。
「イストニア王国の王宮です」
「なるほど。……それで貴女は?」
「初めてお目にかかります。イストニア王国、第一皇女、ソフィア・アンジェリカと申します。勇者様のお名前をお聞かせ願えますか?」
「ああ、失礼。オレの名前はナオト。阿近木直人と言います」
「ナオト様……神々しいお名前です。どうぞ貴殿様の御力で、この国により一層の繁栄と幸福を齎させて頂けますように」
「キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!」
そう、オレは勇者として異世界へ召喚されることを夢見て、永い間いろいろな苦労をした末、今こうして異世界転生を成し遂げたのだった。
「あの……大丈夫ですか? 勇者様、ですよね?」
あまりの嬉しさで、ちょっとおかしな人に見えてしまったのかもしれない、オレは居住いを正し、
「ああ、大丈夫だ。このオレが来たからには安心してくれ! 魔王だろうが、邪神だろうが……」
「そのようなものは、いません」
オレの言葉に被せるように即答してきた姫巫女の言葉……オレはその意味を理解できなかった。
「??」
「この世界には、魔王も邪神もいないのです」
「そんなバカな!? じゃあ、なんでオレはこの世界に転生してきたんだ」
「御神託では、主宰神様は『とにかく召喚の儀式をやってくれ』と……なんだか、とても疲れた御様子で」
オレは転生前の直談判で、しぶしぶ召喚を認めてくれた神様の姿を思い出しながらちょっと強引すぎたかと思い出した。
「……と、とにかくオレは召喚された勇者なんだからな。今更取り消しなんてナシだからな。そこのところはしっかりしておいてもらわないと」
「はい、それは。ナオト様は神様の遣わされた方ですから、私達は誠心誠意対応させて頂きます。必要な事がありましたら何なりとお申し付けください」