84話〜対軍演習・二日目・前半〜
-翌朝-
朝早くから作戦会議の為に天幕に集合する。
先ずは昨日の戦闘で戦死、重傷扱いになり戦線離脱する者の数などの確認に、部隊の再編成と再配置をする。
「今日は先手必勝をしようと思う。魔法士隊による大規模魔法だ」とガリバルス将軍が言うとロナテロが「では、『氷結世界』を使用ですか?あれならば殺さずに体の表面を凍らせて動けなくさせる事が出来ますし、凍らせられた者は戦死扱いに出来ますからね」
「そうだ。大規模魔法までの発動時間の20分間の間他の部隊はその時間稼ぎに当たる。そして頃合いを見て合図を出すのでその時は敵から素早く離脱しろ」
「「「「了解しました!」」」」と指揮官達が声を揃えて了承する。
こうして2日目の対軍演習の大まかな作戦は決まった。
その後様々な意見交換などを行い会議は終了した。
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今日で2日目となる対軍演習日、観客席には朝早くだと言うのに沢山の客やそれを目当てにした商人達の姿が見える。
東軍西軍はそれぞれの開始位置に行き部隊配置をして行く。
お互い昨日よりも数が減ったのと反比例して戦意は高まっている。
今日で決着をつけんとばかりにだ。
余談だが、今迄の対軍演習の最短日数は5日間である。
貴族達や客席も満席になり国王陛下も到着したので国王陛下の合図の元銅鑼が鳴らされその音を合図に2日目の対軍演習が実地された。
先ず先手を打ったのは東軍だ。
魔法士隊が一斉に詠唱を始め大規模魔法の準備に入る。
それに伴い魔法士隊の周りを中央軍が固め詠唱の完了まで守り抜く部隊に、隙あらば敵将を狙い撃つ遊撃部隊が茂みの中に入り隙を伺う。
囮として左軍が大きく迂回して敵後方に回り込む動きを見せる。
もし仮に囮と感知されて魔法士隊に西軍が部隊を出撃させればすかさず左軍が敵後方に突撃を仕掛けて撹乱させる狙いだ。
一方の右軍は様子を伺い臨機応変な対応を求められるのでロナテロが総指揮を取ることになった。
西軍は昨日よりも慎重に此方に近付いて来て居たが此方の左軍を見て意識が左軍に少なからず向けられ前進するか、一旦停止するか判断を悩ませていた。
そして西軍はこちらが大規模魔法の準備に入っている事に気が付き途端に慌しく動き始めた。
西軍は部隊を一塊にしての中央突破を図ったのだ。
ガリバルス将軍は昨日みたいに敵の策を警戒させ遊撃部隊は待機させ左軍に西軍の背後を突く様に指示を出させた。
「伝令。左軍のパルーク将軍に『敵の後方を突け』と伝令しろ」
「はっ!『敵の後方を突け』ですね!了解しました!」言うが早いか伝令は敬礼して馬に飛び乗り左軍に向けて駆け出す。
「伝令。遊撃部隊部隊には『その場で待機。敵の別働隊が居ないか警戒に当たれ』と伝えろ」
「はっ!『その場で待機。敵の別働隊が居ないか警戒に当たれ』しかと承りました」と此方の伝令も敬礼をした後馬に飛び乗り急いで遊撃部隊の方に敵に気付かれぬ様に少し迂回して向かった。
敵の中央突破に、対してガリバルス将軍は中央を固め予備部隊も配置して万全の構えで敵に備える。
敵軍が最前列の部隊と接触した。
そのまま勢いに任せて中央軍の中程まで勢いに任せて進んだ頃に左軍が戻って来て敵軍の後方へ襲い掛かる。
敵軍の最後列は最初に突撃した部隊で現在は疲労している為にろくに抵抗出来ずに討ち取られて行く。
そこへ急報が本陣のガリバルス将軍の元へ届く。
やはり敵は別働隊を作っており後方から敵騎馬部隊が接近中との情報が入った。
この部隊にはロナテロが居る右軍に対処させるように指示を出した。
「これで、敵の部隊は全て出揃ったか?」と参謀達に尋ねると参謀達はすぐさま敵部隊の情報を整理して行く。
「これで全ての敵部隊が出揃った筈です」と一人が言うと他の面々も賛同する。
しかし一人まだ年若い参謀補佐の者がおずおずと手を挙げた。
ガリバルス将軍が促すと恐る恐ると言った感じで話し出した。
「はい。……一見全ての部隊が出揃った様に思われますが、ここの数は正確な人数がわかっていません」と参謀補佐が指差した場所は、今まさに此方の中央を突破せんと突撃を仕掛けて来た敵軍の中央付近だ。
「確かに中の正確な人数はわからないが、もしまだ別働隊が居たとしても僅かに100人程だぞ?」と参謀が言うと他の面々もそれに賛同して僅か100人で何が出来ると嘲笑した。
「ですが、その100人全てが騎乗した騎馬部隊で尚且つ敵軍の最精鋭部隊だとしたらどうでしょうか?我々は現在敵軍が中央突破せんと迫り来る敵軍に掛り切りで本陣の後方は手薄になって居ます。今其処を突かれたら容易く突破されるかと愚考します」と参謀補佐の言葉に参謀達も押し黙り思考する。
その時首脳陣が集まる天幕に伝令が駆け込んで来た。
「伝令!我が軍の後方に敵騎馬部隊を捕捉しました!数は約百騎ばかりですが、迫り来る速度がかなり凄まじく。猶予はあまりありません!」
「すぐに前方の部隊を反転させてこれに当たらせましょう」
「いや、そうすると今度は前が薄くなる。ここは後方部隊だけで当たらせた方が良いだろう」
「それかいっその事此処を引き払い一時的に撤退したらどうか?」
などなど様々な意見が飛び交う。
そして最後にガリバルス将軍に視線が集まる。
最終決定をするのはこの軍の総大将であるガリバルス将軍だ。
ガリバルス将軍が選択したのは………




