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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第2章〜王都へ〜
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78話

 



 ◇


「コホン……では話を戻します」


 ガリバルス将軍の副官であるロナテロが咳払いをして場の空気を引き締め直す様に促すと、先程までの巫山戯た空気から瞬く間に戦場のそれに似た空気へと変貌した。


 ロナテロは眼鏡をかけ見た目は武人と言うよりも文官寄りで茶髪の髪を七三分けにして服装もキッチリと着こなしている。


 一見ヒョロッとした体型だが、よくみるとその体は無駄な物を削ぎ落としたよく鍛えられていることがわかるだろう。


「今回東軍、西軍それぞれ5千で戦います。兵種は自由との事ですが兵器などは禁止で、今回は野戦がメインで陣地の構築の猶予は僅かに3日との事ですので、陣地の構成を確りと定めて要所を守るだけに留めるしかありません。更に陣地の構築には演習で戦う人員のみで他の部隊などに応援を求めるのも禁止との通達がありました」


 ロナテロが辺りを見渡すとそれぞれが頷く。


 カロラーナも流石に真面目に聞いてるかとチラリと視線を向けると自身の毛先を弄り聞いてるのかどうか、判断しかねる態度だが誰もその事について注意しない。


 諦めているのか、それともあれでも真面目に聞いてるのかと疑問に思ったが今はそれよりも対軍演習のルールやなどをちゃんと聞いておくべきだろうと判断して視線をロナテロに戻す。



「ああ、それとクヴァルム君。わからないことがあれば質問してくれていいよ」とロナテロに言われたので早速聞いてみる。


「戦死の判定はどうするのですかな?」



「ああ、それは模擬剣に予め塗料を塗ってそれが当たった場所によって判定するんだよ。例えば右腕に塗料が付着したら演習中はもう、右腕は使えないからね」


「ならば、魔法などはどう判断すれば?」


「魔法基本的に殺傷力の高い魔法は禁止で体が動けなくなる拘束系か、麻痺する程度だね。そうなれば戦死扱いだよ」


「なるほど……了解したました。ありがとうございます。どうぞ話を続けて下さい」


「また、わからないことがあれば聞いてくれ。では、話を戻します」




 と、その後2時間もの時間を部隊編成や部隊配置などに費やした。




 ◆◆◆



「では、ある程度作戦などは纏まりましたので郊外で実際に動きの確認などをしましょうか。……おっと、その前にもうこんな時間ですか、先ずは食事にしましょうか。その後に郊外に集合して細部の調整などをしていきましょう。そうですね……今から1時間半後に郊外に集合という事にしましょうか」となり会議は解散となった。




 昼食をどうするか悩んでいると、ロナテロとカロラーナが話しかけて来た。



「クヴァルム君。良ければ「ちょっと、クヴァルムと言ったかしら?どう、昼食貴方の奢りで良ければ一緒に」



「ちょっと、カロラーナさん人が話している時に割り込んで来ないで下さいよ」


「えぇ、だってロナテロさんの話ってながいじゃないですか?」


「はぁ、わかりましたよ。では3人で昼食はどうですか?勿論僕が奢りますよ」


「なら決定ね」


「あの部下を二人またしているのでその二人も呼んでも良いですか?」


「ええ、良いですよ」


 と、いう事で五人でロナテロおすすめの店に行く事になった。



 クヴァルムは待合室で待っているアールとリーゼを呼びに行きこの後の予定を説明した。


 二人は了承しクヴァルムの後に続く。



 ロナテロとカロラーナと合流しロナテロのオススメの店がある上流街の一角にあるレストランに連れて行かれた。



 ロナテロは店の従業員に「今回は予約をしていないが5人入れるかな?」と聞くとすぐに店長が揉み手をしそうな感じで出て来て「これはこれはリーテヤ伯爵様ようこそ御出で下さいました。勿論お席はご用意させて頂きます」と店長自ら席まで案内してくれた。


 席に着くとカロラーナが「リーテヤ伯爵がこの店のオーナーと知人って噂は本当だったんですね」と質問をした。



「ええ、この店のオーナーのガルシェフさんとは懇意にさせて頂いていますよ。私も料理が好きでしてね…それで偶然にも外で外食してる時に席が隣同士になりましてまあ、酒の力も多少はありましたが意気投合しましてそこから私が少し料理にアドバイスをしたりする様になってこの店をフリーパスで利用させて頂いてますよ」と答えた。



 確かここ〈デリッシュ〉は三ヶ月先まで常に予約で一杯の人気店だった筈だ。


 上流街にあるが値段もリーズナブルで平民がお金を貯めて何かの記念などにも利用する店だ。



「ロナテロさんはこう見えて結構顔が広くそれでいて腹黒ですから貴方も気をつけた方がいいよ〜」といつの間にか彼女の手には酒瓶が握られておりそれをラッパ飲みしながら忠告して来た。



「カロラーナさん。私の何処が腹黒ですか? それといつの間にお酒を手に入れたんですか?」とはぁと溜息を吐きながらロナテロはカロラーナに苦言を呈する。



「えぇだってロナテロさんの笑顔って何かこう嘘くさくないですか?」とカロラーナに言われたロナテロはショックを受けたのか小声で「えっ?そうなのか?だから子供に好かれないのか?」と自問自答して居た。


 カロラーナによるとロナテロは大の子供好きでまだ家庭は持って居ないが孤児院を支援しており、その関係でよく休みの日に孤児院に足を運ぶのだが子供達には中々好かれず遠巻きから見られるだけなのだ。



 ロナテロはその原因が自分の笑顔だとカロラーナに指摘されて落ち込んでいる。



「ロナテロ殿 大丈夫ですか?」


 と声をかけると「ええ大丈夫ですよ」と力なく答えた。



 その後ロナテロは気を取り直して「料理を注文しましょう!」と明るく答えて従業員を呼んだ。



 ロナテロが五人分の料理を注文しカロラーナはまた大量の酒を注文した。



 運ばれて来た料理に舌鼓をうちながら軽い世間話などをしているとロナテロがクヴァルムの事を聞いて来た。



「そう言えばクヴァルム君はこの国の出身ではないよね?」


「ええ違いますね」


「何処か聞いてもいいかい?」


 と聞かれてクヴァルムは遠い目をしながら「遠い……そうとても遠い場所から来ました」と答えるとロナテロは何かを察したのか「すまないね。言いたくなければ言わなくても構わないよ」と気遣ってくれた。


 ロナテロはクヴァルムの出身の国が滅んだりそれに準じる事が起きたのだと思ったのだ。



 この時代小国は吹けば飛ぶように滅んだりまた生まれたりしているのでこの様な亡国出身者は珍しくない。



 その為にロナテロはクヴァルム達が滅んだ国の出身の者かと勘違いをしそれ以上聞いては来なかった。



 カロラーナはと言うと運ばれて来た料理を食べながらひたすらお酒を飲んで居た。



 一見会話を聞いてない様に見えるがアールが「ああしながらもちゃんと周囲に気を配っています」と耳打ちしてくれた。



 その後ロナテロは会計で金額を見て目を見開いてジトッとした目をカロラーナに向けていたが本人は飄々とした態度で何見てんだ?といった態度をした。


 ロナテロははぁ と溜息を吐きながらお金を払う。



「では後で会いましょう」と言い店の前で別れた。



 カロラーナも自分の部隊を呼びに兵舎へと歩いて行った。



「リーゼ部隊の準備は?」


「はっ!既に出来ております」と打てば響く様に返事が返って来た。



「では郊外に先に向かって待機するように命じろ。私達もすぐに向かうぞ」



「「畏まりました」」



 クヴァルムはアールとリーゼを連れて泊まっている宿に向かう。






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