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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第2章〜王都へ〜
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72話

 





 -翌朝-


 その日は朝早くから王城が騒がしかった。


 王城に来たのは今回が初めてだったが明らかに普段と違う騒がしさだ。



 何があったのだろうと扉を開けて外を出ると使用人が足早に廊下を歩いていたので呼び止めた。



「すまないが、何があったのだ?」



「あ、はい。詳しい事は知りませんがどうやら王城に侵入者が現れたようです。今騎士の皆様が捜索に出ています。私も急いでいますのでこれで失礼します」


 足早にメイドは去って行った。



 多分カーティルの事だよな。


 早まった事をしたかな?



 念話でカーティルを呼んでみるか。



『カーティル』



『はっ!如何致しましたか?』



『任務は遂行したか?』



『滞りなくルーセント辺境伯とガイセル国王に、メモを届けました』



『そうか、ご苦労戻ってこい』


『御意に』



 そうだあの2人も呼ぶか


『アール、リーゼ聞こえるか?』


『『聞こえてます』』


『なら、俺の部屋に来てくれ』


『『畏まりました』』



 アールとリーゼが部屋に入ったのと同じタイミングでカーティルとシャドーアサシンも影から現れた。


「改めてカーティルとシャドーアサシンよ。ご苦労だったな」


「はっ!有難き幸せ」

 カーティルは傅き頭を下げ。シャドーアサシンもそれに倣う。


「リーゼ、アールよ今のこの騒ぎは何がわかるか?」


「恐らくですが、カーティル達が忍び込んだ事を騒いでるのでは?」


「ああ、その通りだ」

 頷く。


「まあ、普通は王族のそれも一国の王の私室に何者かが忍び込んだら慌てもするだろう」



「その通りかと、現在王都は完全に封鎖されています」


 カーティルが現在の王都の事を知らせてくれる。



「まあ良い、こうなる事は予め予期されてはいたが、こうするしか俺のスキルを明かさずに伝えるには方法が限られていたからな。

 他の方法だとスキルの事を明かさなければいけなかったからな。まあ、この方法であの情報を知らせた場合はあまり信用はされないが検討はされるだろう」



「まあ、後は褒美と報酬を貰ったら暫くはゆっくり王都でも観光してから次の事を考えよう」


「「「わかりました」」」



「…で…だ。今のこの騒ぎはいつまで続くと思う?」


「二、三日は最低でも続くと思われます。更に我々見たいな見知らぬ傭兵がこの王城にいたとして貴族達が騒ぎ出すでしょう。要らぬ嫌疑をかけられる可能性もありますがそこはルーセント辺境伯が何とかしてくれるでしょう。なので我々は表向きは大人しくしとくのが最善かと…思われます」


 ニコっとリーゼが微笑む。


「表向きは…か……」


「ええ、カーティルとシャドーアサシンには少し働いて貰いましょう」


「そうだな。良いなカーティル?」


「はっ!すぐさま行動に移れます」


「まずは…そうだな数が足りないから追加で隠密用の魔導人形とシャドーアサシンを用意しよう。シャドーアサシン用の触媒をカーティルこのメモに書いてあるので集めて来てくれ。かなりの数を召喚する予定なので足りなくなると思われるから…そうだな余裕を持って30セットそのメモに書いてあるリスト通り材料を集めて来てくれ」


「畏まりました」


 その後カーティルに隠密用の魔導人形8体を部下として与えカーティルと3体は触媒集めへ。残りの5体は王都での情報収集。


 今ある触媒でシャドーアサシンを20体触媒しそれらをカーティルらの補佐に当てる。



 その後細々とした打ち合わせをしてカーティル達を送り出した。



 リーゼとアールは聴音機を使い王城での会話を拾う。



 現在王と重臣達は会議室で侵入者とメモの事について話し合っている。


 その中で1人だけ顔を青ざめさせている。


 多分警備責任者だろうな。


 彼には可哀想な事をしたな…今度何かあったら手助けしてあげよう。





 ♢


「昨夜余の寝室とルーセント辺境伯の寝室の二ヶ所にこの様なメモが置いてあった」


 王はそう言いメモを会議室の机の上に置く。


「ルーセント辺境伯のも同じ内容だったな」


「はっ!その通りであります。私のはこちらです」


 ルーセント辺境伯もメモを出す。



「内容は……」

 王が目配せすると控えてた文官の1人がメモを手に取り読み上げる。



「このメモにはこう書かれています。『まず始めにこの様な連絡の取り方を平に御容赦願います。此方の正体を明かせぬ事を申し訳なく思っております。ですが此処に書いてある事は全て嘘偽りのない真実で御座います。第三王女殿下を襲った不届き者達の正体は、闇ギルド【梟の鉤爪】の構成員で御座います。


 現在判明している彼奴等の拠点は以下の三つです。一つは此処王都にある酒屋【マサールの店】とガリロッソ子爵の領都ガリゴンの宿屋【岬の宿】とラーバント帝国にありますカヤッスの食事処【戦士の休息所】の三ヶ所で御座います。


 残念ながら今回闇ギルド【梟の鉤爪】に依頼した者の特定はまだ出来ておりません。

 何が目的で第三王女殿下を狙ったのかも判明はしておりません。


 ですが一つご忠告申し上げますとこの国の上層部に裏切り者がいる可能性が御座いますのでご用心を私共も現在調査中で御座います。

 わかり次第お伝え申し上げます。


 ではこれにて失礼します。

  〈影の守護者〉』

 以上がこのメモに書かれておりました。

 これと同じ内容が辺境伯の方にも置かれていました」




 この内容に重臣達は頭を悩ませる。



 1人の将軍が立ちがった。


「そんな事よりも!この王城に侵入者が現れた事の方が重大ではないか!ましてや陛下の寝室だぞ!これはこの国始まって以来の不祥事と言ってもいい!それとこの城に昨日までいた者も含めて取り調べをしなければならない!特に傭兵団という不審者供もこの城に滞在しているのだぞ!」



 1人の大臣が立ち上がり「将軍!彼らは陛下が滞在を許されたのですぞ!それを否定するとは陛下を否定すると同義では!?」


「うっそれは…その…申し訳ありません。決して陛下をお疑いした訳ではなくて…その……」



「よい、将軍余を心配しての発言だ。今回は不問に処すが次はないぞ!」



「ははっ!感謝致します。肝に命じますとも」


 将軍は王に深々と頭を下げる。



「あの、よろしいでしょうか?」

 文官の1人が手を挙げる。


「何だ?」


「はっ!そもそもの話何故第三王女殿下は深き森を迂回せずに直進したのでしょうか?確かに直進した方が王都に2日近く早く着くことは可能ですが、深き森の奥地には魔物が生息しており普段は利用しない筈ですが?」



 他の者もそれもそうだと文官の意見に賛同する。


「それは余から説明しよう」


 王が自らシャルロット王女殿下から聞いた話をする。



「何でも今回の襲撃は二度起きている」


 まさに寝耳に水の事で皆動揺する。


「静まれ!」


 宰相の一喝で皆押し黙る。


 見回してから「陛下のお言葉の最中である。最後まで聞く様に」と言って宰相も黙る。


「コホン…まず最初の襲撃は小規模で深き森の手前で起きた。その襲撃は難なく撃退出来たが盗賊ではなく明らかに訓練された者達の襲撃だった為に急ぎ王都へ行く事にしたらしい。だが護衛隊長のカンム卿とシャルロットの守護騎士のトリニコス卿は深き森を直進する事に反対し迂回路の先のハルカテの領主邸で王都からの増援を待つ事を提案したが、副隊長のウラギール卿が真っ向から反対し逸早く王都への帰還を提案した。

 内容は理に適っていたしハルカテでは十分な警備体制が敷けないとあってカンム卿とトリニコス卿の両名も納得して深き森を直進する事に決めたそうだ。

 そして暫く進むとこのメモの通りだと闇ギルドの1つ【梟の鉤爪】の構成員が待ち構えており襲撃を受け危うい所をルーセント辺境伯の護衛の、黒鴉傭兵団に助けられたとの事だ」



「そんな理由が、でも何故奴らは深き森を直進すると思ったのでしょうか?いや、可能性の1つとしてはある…か」


「迂回路の方にはどのくらい待ち構えていたのですか?」


「調べた所迂回路には怪しい集団は見てないとの事だ。それに迂回路の方は見晴らしが良いので襲撃には適さない。

 深き森から50mも道が離れておりその間は膝下ぐらいまでしか草木も生えて居らんからな」



「では、何故奴らはそこまで確信を持って深き森に潜伏してたのでしょうか?一か八かの賭けでしょうか?」



 宰相と王それに元帥が苦虫を噛み潰した顔をする。



 それに他の面々は知らされていないので不思議そうな顔をした。


「あ…あの?……どうかなさいましたか?」


「元帥」

 陛下の声に元帥が答える。


「はっ!諸君それには私が答えよう。実は護衛部隊副隊長のオルラ・フォン・ウラギール子爵がこの襲撃を手引きした事が発覚した。

 彼奴は自身の使い魔を使い梟の鉤爪の者達と連絡を密に取っていたらしい。その本人とウラギール家の者達は既に他国へと逃げられてしまった。この襲撃が成功するかしないかの以前に奴の親族らは国外旅行と偽り既に他国へと渡っており。ウラギール本人もあの襲撃のどさくさで何処かへと逃げられた。

 大方もう、他国へと渡っているだろう。」


 元帥の話に他の面々も憤っている。




「皆これで理由はわかったな?…では次の議題はこのメモの送り主の真意だ」


 王は一拍おいて周りを見て納得はしてないが理解したのを確認して話を先に進める。



「トジール卿侵入者について何か新たな手掛かりは掴めたのか?」


 王城の警備責任者のトジール卿へと1人の将軍が質問する。



「いえ、……誠に遺憾ながら手掛かりらしき物は欠片ほども確認出来ておりません」


「それと…庇うわけではありませんがルーセント辺境伯の護衛を請け負った傭兵団は監視しておりましたが、昨夜誰一人として部屋からは出ておりません」



「ですが、侵入者を許したのです。もしかしたらその監視にも見落としがあったのかも知れませぬぞ?」


 ドジールは反論仕様にも現に侵入者を許した失態から下唇をきつく噛み締めるだけで口を開けなかった。



「それよりもまずは民達に何と説明しますか?理由も説明せず急に厳戒態勢を敷いたので街では混乱が起きていますが?」


「そんな事よりも今は侵入者の事が第一でしょう?」


「いや、民を蔑ろにしては不満が溜まりそこを帝国に突かれると厄介ですぞ。内乱の火種にもなりかねない。現に帝国はそうして小国二国を内乱に陥れてから侵略をしたではありませんか?今まで二国は小国とはいえ多様な種族の巧みな連携で幾度となく帝国の侵略を跳ね除けていたのに帝国は今までの力攻めをやめて謀略に変えて見事に二国を疑心暗鬼にさせていとも容易く他の国々の介入をさせる前に攻略したではありませんか」



「それは長い間コツコツと積み重ねて実を結んだ策略だろう?この王国はそこまで鈍くも脆弱でもないわ!」


「その傲慢な態度が問題なのだ。そういう輩が居るから付け入る隙を与えかねんのだ!」


「何だと!それは私を侮辱して居るの!?」


「事実を言ったまでだ!!」


 取っ組み合いの喧嘩に発展する前に宰相が止める。



「貴殿ら!陛下の御前であらせられるぞ!しかも童の如き言葉いや…それ以下の無様な姿を晒しているぞ!」


 二人ははっ…と我に帰り王を見ると冷めた目で二人を見ていた。



 二人の顔が茹で蛸の様に真っ赤になっていたのが急激に青くなり蒼白に変わった。



 急ぎ跪き己の否を誤る



「「陛下申し訳ございません!」」


「この度は無様な姿を晒してしまいまして誠に申し訳ございません」


「我が身の不詳を嘆くばかりでございまして…申し訳ございません」


 二人とも必死に謝りの言葉を並べ立てる。


「……よい……」


 その言葉に二人は揃って顔を上げるが王のその目には何ら感銘を受けた様子がない。


「二人は暫く自分の屋敷で謹慎を言い渡す。よいな?」


「「はっ!わかりました。申し訳ございませんでした!」」


 衛兵に二人は連れて行かれる。





「ゴホン……さて、話をしきりなおそうか」


 宰相が場の空気を引き締める為に咳払いしてから話し始める。


 その目にはもう馬鹿な真似はするなよ?と言っていた。


「では、シャルロット王女殿下が何故深き森を直進したかはこれで解決したな。で…だ。次の問題はどうやってこのメモを陛下とルーセント辺境伯の寝室に忍び込ませた…かだ」


「このメモは昼間には確認されていない。確認されたのはお二方が就寝されて朝目覚めた時にだ」


「それまではこのメモは確認されていない。その為に侵入者は二人が寝入っている隙に音も無く侵入者したのだ。この厳重な警備体制を潜り抜けてな」



「そして先のウラギール卿の事もあり他に内通者などがいないか現在は徹底的に調査をしている段階だ」






 ♢♢♢



 あの後も会議は2時間程続いたが結局有力な情報は得られずに今後の警備体制の見直しや他国の情勢を注視しつつこのメモの内容に書いてある店や店員の調査を秘密裏に行う事が決定された。









寝不足で書いたのでもしかしたら話に可笑しな所や誤字脱字があるかもしれないです。



指摘してくれると幸いです



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― 新着の感想 ―
[一言] 実際こんな無能国なら滅んだほうが皆の為よな。
2021/10/03 18:20 退会済み
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