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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第2章〜王都へ〜
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71話〜謁見の間〜

 


 この大人数を襲う魔物は滅多にいないが低脳のゴブリンなどは時折襲ってくる。


 それを遠距離から魔法や弓矢で射殺して行く。


 多少魔物の襲来はあったがどれも低級の魔物だったので、問題なく切り抜け遂に深き森を抜けた。


 あとは街道を辿って行けば王都まですぐだ。


 途中にある、村や町は無視して一直線に王都を目指す。



 ■■■


 数時間後遂に王都まで辿り着いた。


 日もそろそろ沈みかけている時間帯なので門は閉まっていたがこちらが身分を明かせばすぐさま貴賓用の門が開き伝令が急ぎ王城まで駆けて行った。



 王城に向かって進んでいると前方から騎士団が来て案内兼護衛を務める。


 俺たちはお役目御免かと思ったがそのまま一緒に王城の中へと進む。



 そして王城の門の前には宰相閣下がいて出迎えた。

 そこで何やらシャルロット王女とルーセント辺境伯が会話している。


 多分襲撃事件の事だろう。


 宰相は顔を険しくして真剣に話を聞いている。


 その後俺たち黒鴉傭兵団も特別に王城への入場への許可を得て中へと入る。



 宰相が王にこの事を知らせ急遽謁見の間へ呼ばれる事になった。


 そして俺も事情説明の為に呼ばれた。


 作法などを全く知らないのでどうしたら良いか悩んでいるとルーセント辺境伯が「私の真似をしろ」と言われたのでその通りにする事にした。





 ●


 謁見の間に通された。


 扉は重厚であり見事な装飾がされその扉の前に直立不動の姿勢の近衛兵が2名配置されてるいた。




 彼らは扉係で扉の開閉を担当する者達だ。



 名前が呼ばれ扉が開かれる。


 先に進むルーセント辺境伯の後を礼儀正しく進むこの時目線を足元で王の尊顔を見ては駄目なそうだ。



 大体王が座す場所から10mのところで片膝をつき傅く。


 ルーセント辺境伯の斜め後ろで同じ様に傅く。



 暫くすると「第38代オルトメルガ王国国王ガイセル=キエフ・ラトランド・フォン・オルトメルガ陛下の御成りであらせられる‼︎」

 その声に謁見の間いる者達は皆頭を下げる。



 入室したガイセル陛下が玉座に座り「よい、楽にせよ」の許しを経て頭を上げる。


 だがまだクヴァルムとルーセント辺境伯は頭を上げてはならない。


「ルーセント辺境伯とクヴァルムだったな、よい面を上げよ」



 顔を上げて国王陛下を見ると齢40代あたりの男で脂が乗り王者としての風格も申し分ない程だ。


 流石は大陸西部連盟の中でも五指に入る強国の長だ。


「はっ!御尊顔を拝し恐悦至極でございます。

 この度は火急の御用のおり礼節を多少省いてしまいました事平に御容赦下さいますようお願い申し上げます」


 ルーセント辺境伯が再び頭を下げたので真似して下げる。


「よい、今回の出来事は多少本人の口から余も聞いている。許そうぞ」


「はっ!有り難きことに存じまする」


「して、事の顛末をもう少し詳しく知りとうてな」


「はっ!それでは私の後ろに控えまするこの者がその現場に居合わせたので説明させたく存じまする」


 目線で話す事を促される。


「国王陛下なにぶん粗忽者で御座いまして多少無礼などが御座いますかと存じまするが、何卒平に御容赦下さいますようお願い申し上げます。

 私はこの度ルーセント辺境伯様の護衛依頼を受けた黒鴉傭兵団の団長を務めまする。名をクヴァルム・ドゥーエと申し上げます。

 この度ルーセント辺境伯の護衛をしてこの王都まで来ている最中に深き森まで着きましてそこの迂回路を使用しようとした矢先に深き森より、激しい剣戟の音が聞こえた為にその事をルーセント辺境伯に伝えました所もしかしたら商隊やそれに準ずる者達が盗賊に襲われている可能性がある為に、偵察へ行く様に指示されましたので黒鴉傭兵団を率いて偵察に向かいました所。

 貴族の馬車とおもわしき物とその護衛達が黒尽くめの集団に襲われておりましたのでこれを助けた所存です。

 この黒尽くめの者達はとても盗賊には見えず訓練された暗殺集団の様に見受けられました。

 そしてその者達を撃退した後馬車の主人がシャルロット第3王女殿下と判明いたし至急ルーセント辺境伯様にお伝えしました。

 その後第3王女殿下の下令でこの王都まで護衛するに相成りまして今に至りまする」


「うむ、そうか将軍すぐに襲われた場所へ行き確認して参れ、後を娘を守り死んだ騎士達の遺体を丁重に王都へ連れて来て埋葬しなさい」


「はっ!すぐに取り掛かります」


 指示された将軍は一礼して退室して行く。


「陛下失礼ながら申し上げてよろしいでしょうか?」


「何だ?」


「はっ!実は1名だけ遺体では有りますがお持ちしております」


「そうか、では後で引き渡す様に」

 国王が目線で大臣に任せると告げると大臣は一礼した。



「ご苦労下がってよい。ルーセント辺境伯は少し残るがよいそれとクヴァルムだったな。そちには後ほど褒美をやろう」


「はっ!有り難きことに存じまする」



「今日はここに泊まるがよい」


「ご温情感謝致します。失礼致します」


 クヴァルムは謁見の間を後にした。




 ○○○



(ふぅ肩が凝ったな)



 外に待機していた衛兵に案内されて今日泊まる部屋に案内される。


 中にはリーゼとアールがいた。


「お疲れ様です。主様」


「ああ、問題は無かったか?」


「はい、ゴーレムナイトとは気づかれて居りません」



「部屋の周りに誰か様子を伺っている者はいるか?」


「少々お待ちを」

 アールが目を瞑り周囲に特殊な超音波を発し周囲の様子を探る。


「大丈夫です。誰も居ません」


「そうか、わかった」


 アイテムボックスから襲撃者の遺体に使役を使う。


 まだ生きている人間には試して居ないが死体ならいけるのでは、と思い今回試してみる。



 すると予想通り使役が発動し死体が動き出す。


『ナんナリとごメイれいを』

 少し聞き取り辛いが許容範囲だ。


「お前達は何者だ?」


『ワレらハ闇ギルドのヒとツ【梟の鉤爪】でゴざいマス』


「それでお前達の目的は何だったのだ?」


『はイ、ソレは第三王女殿下ノユウかいモシくは殺がイでございマス』


「何故第三王女殿下なのだ?依頼主は?」


『それハワカりません。我らはタだソウ上の者ニ命じラレただけデスので』



「ならばお前達のアジトは何処にある?」


「本拠地ハしらナイデスが支店のいくつかナラワカりマスコノ王都の【マサールの店】とガリゴンの【岬の宿】ト、ラーバント帝国のカヤッスの【戦士の休息所】です』



「わかった。ご苦労」

 そう言いスキルを解除すると物言わぬ死体へと戻った。



「さて、この情報をどうしたら良いと思う」


「話せば何故わかったのかは、間違いなく聞かれるでしょうね。誤魔化すとしたら死霊術師(ネクロマンサー)の職業か人形使い(パペットマスター)を所持していれば誤魔化せれるとは思いますが、残念ながらその職業やスキルなどは持って居ませんし。

 持っている者を探すのも一苦労ですね」



 どうするかな


「隠密用の魔導人形を召喚してその者にルーセント辺境伯か王の枕元へこの情報を記したメモを置くというのはどうでしょうか?」


「そんな事をしてその情報を信じるか?」


「信じはしないでしょうが一応確認もするのでは?幸いと言っても良いのかわかりませんが、この王都にも奴らの拠点の1つがあるそうですし」



「はぁ わかった。試してみるか」


 隠密用の魔導人形を召喚した。


 何故か服装は忍びのそれだ。


「お前の名前はカーティルとする」


「はっ!有り難きことに存じます。では拙僧の最初の任務は何で御座いまするか?」


「カーティルにはこのメモをルーセント辺境伯とガイセル国王陛下の枕元へ置いてきて欲しい」


「拝命承りました」


「サポートに今新たな者を召喚するので暫し待て」



 アイテムボックスから魔導書をだす。


 この本には召喚可能なモンスターとその特性が書かれている。



 触媒となる材料もあの研究室にある程度揃って居たので問題ない。

 あとは自身の魔力量で召喚出来る範囲が決まる。



 今回は隠密に特化したモンスターを選択する。



「我此処に汝との契約を望む、我に従い我と共に歩みたまえ。いでよ影に潜みし者よ

 シャドーアサシン!」


 魔力が地面に展開した召喚陣に吸われて行く。




 ある程度魔力が失われた所で触媒が燃え尽き召喚陣から姿を現したのは黒い人形の何かだった。


 体の周りに黒い靄の様な物が纏わり付き認識を阻害する効果を持っている様だ。


「シャドーアサシンよ。お前にはこのカーティルの補佐をしてもらう。詳しい指示は追ってカーティルから聞け」


 シャドーアサシンは黙って頷く。



「では、カーティルよ。頼んだぞ」


「はっ!お任せくだされ」


 そう言いカーティルとシャドーアサシンは部屋から姿を消した。


「ふぅ流石に今日は疲れたな。今日はもう休む。お前達も与えられた自室で休め」



「「はっ!では失礼します」」


 アールとリーゼは部屋から出て行き1人になる。



「ふぅ疲れた……まさかこんな事になるとはな…固有スキルの幸運が嘘みたいだな逆の不運みたいだ。……いや待てよ。そう言えばこれって常時発動型ではないんじゃないか?今まで試してなかったが?明日試すか…流石にもう眠い。軽くシャワーを浴びる…か」



 その日は思いの外安眠出来た。


 まずベッドが此れまで以上にフカフカだったのも関係があるだろう。




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