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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第2章〜王都へ〜
78/250

幕間

 



 ●●●


 カーシャとリリアそれに王都へ出張するギルドの職員は準備に追われていた。


 引き継ぎ用の書類の作成に整理後は引き継ぎ職員達との会議や注意事項など諸々の手続きに奔走していた。



「あれ?あの書類どこだっけ?」


「知らないわよ!」


「それはこっち!」


「おーい、書類を忘れてるぞ」


「これはこっち!それはあっちよ!」


 ギルドの事務室は慌ただしくしていた。




「せ、せんぱ〜い。助けて下さい」


 涙目になりながらリリアはカーシャに助けを求める。


 助けを求められたカーシャは、一言。

「無理」とだけ伝えたい。


「そ、そんなあぁ〜先輩の意地悪〜」


「はぁ、私だってやる事があるのよ。自分の事は自分で出来ないといつまで経っても半人前よ」


「う、う〜わかりました」


 リリアは不承不承という感じで頷き書類にペンを走らせる。


 それを見てカーシャは世話がやける、と呟き再び自分の書類に目を通していく。


 そんな光景が1週間程続いた。




 ■■■


「皆さんこの1週間お疲れ様でした」

 グンナイの言葉に皆やりきった顔をしながら「「「お疲れ様でしたー」」」

 と返した。


「今日は細やかではありますがギルド長からの送別祝いです。存分に楽しんで下さい」


 彼らが今居る場所は居酒屋の一室だ。


 冒険者ギルドのマスタージルロが貸切にして催した会だ。


 ◆


 肝心のジルロは今サボっていた分の書類仕事を秘書のクレミールに監視されながら黙々とこなしていた。


「ねぇクレミールさん?儂結構頑張ったよね?そろそろ送別会に向かってもいいんじゃなかろうかな?」


「いえ、後これもお願いします」


 そう言い追加の書類の山を机に置く。


 言葉ではお願いしますと使ってはいるが目はやれよと言っていた。


 ジルロは大人しくクレミールに従った。


 その後やっと終わりクレミールの許可が出て意気揚々と送別会が行われている居酒屋に向かったがお開きになり誰も残っていなかった。


 ジルロは居酒屋の前で膝をつきガックリとこうべを垂れた。



 ■■■


「では、皆さんグラスを持って下さい。持ちましたね?では、カンパーイ!」


「「「カンパーイ!!!」」」


 各々好きな飲み物を持ち乾杯した。


「プハァー仕事終わりの冷えたエールは格別だわ」


 ここは冷蔵の魔道具が置かれている為に冷えたエール等が置いてあるその為料金も少し高めだが連日連夜客足は途絶えない。


「先輩飲み過ぎないで下さいね」


「何よぉ〜良いでしょう」


 リリアはカーシャがからみ酒と知っているのであまり呑んでは欲しくないが連日忙しかったので今日ぐらいはハメを外しても良いかなと思った。


 王都に行けば騒げるかはわからないのだから。



 ガヤガヤ



 あちこちで注文の声や追加の声が聞こえ店員は忙しく動き回っている。


「はぁ」


「どうしたのら?リリアちゃん?」


 少し呂律が回らなくなって来たカーシャが話しかけて来た。


「いえ、親が向こうへ行ったらお土産よろしくとか旅行じゃないのに親戚に自慢したりとか勘弁して欲しくて」


「いいじゃないのよ、王都ははならからし親御さんもきたいらしますろ?」


「先輩だいぶ酔ってきてますね」


 実はリリアこう見えても結構な酒豪で知られており樽を数樽普通に空ける。


 なので知らずに飲み比べをした相手は漏れ無く二日酔いコースだ。



「まあ、お土産はちゃんと買いますよ」


「そいならいいのらよ」


 手をプラプラさせながら違う席へ向かう。


「リリアさん隣いいですか?」


「グンナイさん…どうぞ」


「初めての王都行きに緊張しているのですか?」


「はい、私ウラカの街から出た事がないので少し怖いです」


 この世界の住人は基本的に一生自らが育った街から出る事はない。


 それは外には魔物がいるのだ誰が好き好んで壁に守られた都市から出たいものか。


 外に出るのは冒険者や傭兵、商人が主もで時々村から出稼ぎに来るものや街へ夢見てやって来る者達だ。



 この世界で旅行しようなら貴族にもならないと難しい。


 それには沢山の護衛や食料等が必要で現代みたいに気軽に鞄一つでは到底無理だ。


 それは自殺行為以外の何者でもない。



 だからグンナイはそんなリリアを心配して声をかけた。


 ギルド職員は時に新たに発見されたダンジョンの確認調査の為に街から出たりダンジョンのギルド出張所に派遣されたりもする。



 まあ、ダンジョンの調査員は戦闘能力のある者を派遣するがそれでもダンジョンが新たに発見されると自分ではと皆が恐怖する。


 特に新人は


 その説明は入る時にされるがいざその時になると足が竦むのも頷ける。


 なのでグンナイはこの機会にこう行った職員を励ましたりしている。


 グンナイは元Aランク冒険者なので信頼されているので皆素直に話を聞く。


「リリアさん緊張するなとは言いません。ですが適度に肩の力を抜かないとこの先持ちません。それにいざという時は私が守りますので」


 その言葉にリリアは少し心が軽くなった様な気がした。


「ありがとうございます」


「いえ、いえ。何か悩みや相談事があればいつでも聞いて下さい。それに旅に必要な物はある程度はこちらで揃えますが、ある程度なので個人的に必要な物などはご自身で準備して下さいね」


「はい、わかりました」


「では、失礼します」


 そう言ってグンナイは席を立ち他の新人の職員等の所へ行き声をかけて回る。


「よし!今日はとことん飲むぞ」


「先輩〜飲みましょうよ」


「いやぁ〜よぉ〜リリア貴女底無しじゃない」


 そう言って逃げ出そうとするカーシャの腕を掴まえて自らの隣の席に座らせジョッキに並々と度数の高い火酒を入れ促す。


 カーシャは思いっきり溜息を吐いた後覚悟を決めて火酒を一気に飲み干した。


「ね、美味しいでしょ先輩♪」


 とリリアが聞くとこちらに振り返ったカーシャは笑顔で「ごめん、無理」と言い倒れた。


 リリアはその後カーシャを椅子の上に横にさせ次なる獲物を求めて他の席に行く。


 その後職員達はリリアに促されるままに呑み撃沈していった。


 その死屍累々の中をリリアは機嫌よく酒を片手に歩く。


 グンナイは逸早く危機を察知し居酒屋を後にした。



 その後グンナイとリリア以外の居酒屋にいた全ギルド職員は二日酔いになった。



 後日請求書が届いたジルロは「儂参加しとらんのに」と意気消沈気味に呟き更に請求額を見て泡を吹いて倒れた。


 因みに金貨120枚だった。


 あの後リリアは居酒屋の酒を飲み干して追加を頼み店主は他の店からお酒を譲って貰いそれを提供した。



 翌朝のリリアは上機嫌だった。


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