66話〜食事〜
♦︎
傭兵ギルドで情報を仕入れたクヴァルムは
その後、宿泊先の宿へと戻った。
「問題は無かったかリーゼ?」
「はっ何も問題は御座いません」
「そうか、ご苦労」
「勿体なきお言葉で御座います」
深々と一礼リーゼ
アールとリーゼを引き連れて宿へと入る。
クヴァルムの部屋はこの宿の最上級部屋である。
流石1人で使うのは気がひけるとアールとリーゼも一緒の部屋へと誘ったが恐れ多いと断られた。
そこでクヴァルムは「護衛の為だ」と答えると2人は部屋の前で寝ずの番をしますので問題は御座いません。とキッパリと答えた。
事実彼ら魔導人形は睡眠をとらなくても大丈夫だ。
(寝たら省エネモードになる)
だがゴーレムナイトなら別に部屋の前に待機させとくのも気にならないが人と見た目が変わらない彼らではどうしても気になる。
その後何とか説得し一緒の部屋に泊まることになった。
そして部屋の前には2体のゴーレムナイトが配備される事になり宿の周辺には憑依を解いたレイス達が配置され襲撃者などに備える。
正直襲撃者なんているのか疑問だが彼らを護衛の為と一緒の部屋に宿泊するのに説得した手前断れなかった。
夕食はゴーレムナイト達は部屋でと言いクヴァルムとアール、リーゼは食堂で取ることにした。
魔導人形の2人は問題なく食事が出来る。
食べた物を魔力へ微量だか変換出来るとのこと。
古代魔法文明の錬金術師達は細部にまでこだわっている。
もちろん生殖行動も可能だ。
■■■
流石に高級な宿なだけあり、客も上品な者達ばかりだ。
流石にそこへ鎧姿で行くのはエチケット的にも憚られるので市場へ繰り出したついでに洋服店にも行き、上等な仕立てのドレスコードを購入した。
現在はそれを着ている。
クヴァルムは黒色のスーツをアールは灰色のスーツをリーゼは赤のイブニングドレスを着用した。
美男美女が3人も揃うと目立つ。
更にそのうち2人が1人の男の後ろを従者の様に付き従っていたら先頭を歩く男を貴族かと勘違いする。
そこかしこで彼はどこの家の者かと囁き合う。
流石に面と向かって貴方は何処の家で家の位はなど失礼を通り越して侮辱だ。
貴族は誇りを尊ぶのでそんな事をすれば貴族界から爪弾きにされるだろう。
なので誰も逆に話しかけて来なかった。
もし3人が友人の様に3人で並び歩いてたりしたならば声をかけられ勧誘などされていただろう。
クヴァルムらは料理を注文し運ばれて来る。
♢
ここで彼らは同じ席に着き食べているがそこでクヴァルムが貴族ではないと判断して話しかけられなかったのは2人が恐れ多いと断りを入れていたのを目撃したからだ。
なので主人の希望で一緒のテーブルに座ったのだろう。
普通はそんな事をしないが中の良い兄弟同然に育った者は時々こうする事があるためにその類だと判断された。
それでも人前ではしないが此処は宿なので気を抜いたのかと思ってこれはネタに使えると思うのだった。
こういう細かい事も貴族はチェックして交渉時に優位に立つ為だ。
なので誰も話しかけない。
♢
まずはアミューズ(小前菜)が運ばれて来る。
その次はオードブル(前菜)にスープ、ポワソン(魚料理)、ソルベ(口直し用氷菓)、ヴィヤンドゥ(肉料理)、フロマージュ(チーズ)、デセール(デザート)の7品だ。
マナーは大学の講義で取っていたので問題なく出来た。
アールとリーゼの2人も問題なくというよりも下手な貴族よりもよっぽど上品に食していた。
やはり彼らは貴族の嫡男とその従者かと周りの者は思った。
ちゃんとした食事のマナーが出来るのは貴族と大商人や裕福な者達に限られる。
大商人などの子息とも考えられたがそれにしてはあまりに優雅で武の気配を漂わせるので違うと判断した。
この国にも教育期間は存在する。
王都と大都市には学校が存在し貴族や大商人、裕福な者達が通い平民でも優秀な者なら問題なく入学できる。
学校と行っても種類が幾つかある。
代表的なのが王都王立学校。
時代の者を育てる為に作られた伝統ある学校だ。
次に騎士育成学校、法律育成学校がある。
他には冒険者養成学校、傭兵養成学校がある。
冒険者養成学校は冒険者ギルドが運営し傭兵養成学校は傭兵ギルドが運営している。
他の3機関は国が運営している。
騎士育成学校と法律育成学校は専門学校見たいな者で王立学校は総合的者を学ばせる物だ。
騎士育成学校は武官を法律育成学校は文官を輩出している。
勿論王立学校からも輩出している。
♦︎
3人は食事を終わらせて部屋に戻る。
この宿には部屋にはシャワーが常備されていてグレードの高い部屋だと浴槽がある。
つまり何が言いたいかというと最高の部屋という事だ。
早速クヴァルムは浴室に入りスッキリとする。
用意されていた絹で出来たバスローブを纏いソファに腰掛けるとリーゼが果実水を持って来るのでそれを飲みゆったりする。
次にアールが入った。
他の部屋のを使うと行ったが主人命令でこの部屋のを使わせた。
勿論リーゼにも言っている。
「リーゼ明日の予定は?」
「はい、明日は8時ぐらいに北門に集合です」
「そうか、では5時には起きるか」
「畏まりました」
その後アールが出てきてリーゼが交代で入る。
アールにも明日の事を伝える
「畏まりました」
その後3人は眠りにつく。
勿論アールとリーゼは何か起こればすぐさまに行動出来るようにしている。
ゴーレムナイトやレイスも己が主人の警備だ。
万全の体制で警護する。
その夜は何事も無く過ぎ去って行った。
♢
ただ近隣の住民の幾人かがレイスを見て騒ぎにはなったが…
レイスには姿を消す事を言って無かったクヴァルムのミスだ。彼らは個体差によって知能にばらつきがある為に見落としていた。




