60話〜偽りの人物〜
宿に戻ると辺境伯の使いが来ていた。
用意が出来たので来て欲しいと言う事だ。
早速辺境伯の城に向かって歩き始めた。
因みに城の名前はそのまんまのルーセント城だ。
辺境伯のルーセントはこのルーセント城から来ているらしい。
内壁の検問所で手形を見せると警備兵に敬礼されたので返礼して通った。
何か偉くなった様に錯覚してしまいそうだ。
今回は前に買った絹のシャツとズボンを着て来たので訝しげな視線は向けられてない。
冒険者にもこの内壁の巡回の依頼はあるそうだがそれは礼儀作法などがちゃんとしている者に限られるらしい。
そういう者は貴族の三男坊だったり元商人などだ。
だがそれでも下に見られる事がある。
まあ、貴族の三男坊は親が高位の貴族の可能性は限りなく少なく大抵は貧乏男爵以下になる。
同じ爵位でもランクがあるらしい。
これは一応帰るときにマイセンさんに聞いた豆知識だ。
そのまま大通りを歩いてルーセント城まで一直線に行く。
跳ね橋の前の詰所に手形と来た理由を述べると小舟に案内された。
まあ、いちいち跳ね橋の上げ下げは重労働だからある程度の身分の人しかしないらしいしね。
そのまま案内されるままに小舟に乗る。
警備兵に聞いたところ普通は裏門から来るらしい。
裏には石橋があり馬車一台分の幅があるらしい。
なので次回からはそちらから入る様に指示された。
最初のあれは特別らしい。
中に入るとマイセンさんが居た。
「ようこそおいで下さりました。ご案内致します」
ついて行くとそこは訓練場の様だ。
中にはルーセント辺境伯とラインバック騎士団長と騎士が2名に文官とおもしき人物の計5名が居た。
「旦那様ユウマ様をご案内致しました」
「ご苦労」
「ルーセント辺境伯様、用意が出来たとお聞きしましたので参りました」
「うむ、それではゴーレムを50体出してくれるかね?」
「はい」
ゴーレム50体をマジック・リングから出して並べた。
「うむ、報告に合った通りに普通のゴーレムよりも逞しいな。では用意させていた鎧を着て貰おうか」
用意されていたのは全身鎧だった。
顔が見えない様に顔全体を覆う兜で僅かに目の部分に細いスリットがある程度だ。
鎧は全部純白である。
「こうして並べると壮観だな」
エトワールの言葉通り純白の鎧に身を包んだゴーレムが50体も並ぶとまさに壮観だ。
そして何やら胸の辺りには黒鴉が描かれていた。
傭兵団を作るにあたって何か紋章を決めなければいけないらしい。
それはその傭兵がどこの所属か表すのに使われるらしい。
ユウマはどうしようか悩んで偶々その時に飛んでいた鳥が黒鴉だったのでそれに決めた。
鴉にしてはデカイなって思っていたら実はモンスターだったらしい。
別名が〈天空の覇者〉でグリフォン別名が〈空の死神〉と双璧を成すモンスターらしい。
名前がブラックレイブンでSランクのモンスターらしい。
そうして決まったのがこの紋章だ。
傭兵団の名前も黒鴉にした。
因みに後で鎧を少し改造した。
「そういえばユウマこの前に見た目を変装する為の魔道具があると言ってたな。どの様な見た目に変えるのだ?」
傭兵と冒険者は掛け持ち出来るらしいが全くの別人として登録する予定なのでユウマは遺跡で見つけた魔導具で変装する予定だ。
魔導具と魔道具は違い。
古代魔法文明時代の物を魔導具それ以外を魔道具と呼ぶ。
ユウマは早速姿を変える。
髪は金髪で肩までの長さを縛り目は碧眼で整った顔立ちにそして身長は元の178cmより高めの184cmにした。
これでまあ、大丈夫だろう。
「ほう、見事に別人だな。声はどうなんだ?」
「この通りです」
「声まで違うか!見事な魔道具だなグレードは高いだろうな」
魔法武器、魔道具、魔導具などにはグレードがあり一番下がグレード1で一番上がグレード7となる。
世間一般に出回っているのは最高でもグレード3でそれ以上は中々お目にかかれない。
なのでルーセント辺境伯の目も鋭くなりユウマの評価を少し上げた。
「まあ、いいだろうそれでは名前はなんとする?」
「ではクヴァルム・ドゥーエとします」
「因みに意味は?」
「私の生まれたところでクヴァルムは煙、ドゥーエは数字の2という意味です」
「なるほど存在しない人物と2番目の自分という意味か良いんじゃないか、ではそれにしよう」
隠蔽でステータスも変える。
現在のユウマのステータスは
ーステータスー
名前:ユウマ
職業:1使役師・2剣士・3魔術士
錬金術師 機工士
レベル:42
種族:人族
性別:男
年齢:19
体力:14208/14208
魔力:25848/25848
筋力:16058
耐久:14352
敏捷:16524
精神:17542
器用:20742
-スキル-
魔眼Lv16 魔力回復率Lv15
隠蔽Lv21 アイテムボックスLv26
剣術Lv19 生活魔法Lv8
マップLv12 軍団指揮Lv24
盾術LV8 斧術LV5
格闘LV13 馬術LV10
気配察知LV9
鍛治Lv9 氷魔法Lv18
風魔法Lv11 雷魔法Lv16
土木魔法Lv14 水魔法Lv10
火魔法Lv15 回復魔法Lv16
付与魔法Lv9 召喚魔法Lv15
略式呪文 模倣Lv19
改変Lv9 幻術LV10
??? ??? ???
-固有スキル-
幸運Lv16 使役Lv18
???
-称号-
異世界人 魔物殺し 軍団長
統べる者 作成者 探求者
受け継ぎし者
???は新たに得たスキルまた後々判明する予定。
魔物殺しは小鬼殺しの上位の称号。
こちらが隠蔽そして改変した偽りのステータス。
ーステータスー
名前:クヴァルム・ドゥーエ
職業:騎士
レベル:40
種族:人族
性別:男
年齢:23
体力:10572/10572
魔力:12654/12654
筋力:10092
耐久:9652
敏捷:7254
精神:6542
器用:7542
-スキル-
剣術LV10 格闘LV7
盾術LV4 馬術LV5
雷魔法LV12
風魔法LV9
-固有スキル-
なし
-称号-
なし
とした。
ゴーレムは平均35レベルにした。
使役師のレベルが上がったのでゴーレムのレベルも自然と強化されていた。
ユウマもいや、クヴァルムも鎧に身を包んだ。
外見はまさに聖騎士の様だ。
文官からクヴァルム・ドゥーエと書かれた紹介状を渡された。
これがあるとすんなりと傭兵登録が出来るらしい。
そしてラインバック騎士団長と護衛についての心得とルートなどを軽く教えられた。
食料等は辺境伯が用意してくれるらしい。
馬は51体貸し与えられる事になった。
そしてラインバック騎士団長と共に傭兵ギルドまで馬車で向かう。




