59話〜日常〜
ギルドの中は遠征前よりも人の数は少なかったが活気は前以上の様に思える。
そう言うのも溜まりに溜まった依頼を処理するのにギルド職員が冒険者に割り振り簡単な依頼だと複数渡されそれを完遂する為に冒険者も駆けずり回っているからだ。
ユウマもギルドに入った瞬間に回れ右しようとしたところを素早くギルドに捕獲されギルドカードを提出する様に言われた。
リリアやカーシャさんに挨拶しようかなと思っていたがこれでは挨拶どころでは無いな。
言われた通りギルドカードを提出すると一枚の依頼書が渡された。
場所はここから6日の距離である。
「すいません、今武器は新しいのを鍛冶屋に依頼していてまだ出来ていなくて、それと辺境伯様に依頼をされてましてそちらを優先したいと思うのですが?」
そう言われた職員は目に見えて落ち込んだが「辺境伯様の依頼ですか…それなら仕方ないですね。因みに証拠はあります?」
もし嘘なら許さないと目が語っていた。
ユウマは渡された手形を見せてこれで良いか聞くと、わかりました。と良い解放された。
ユウマは、素早く冒険者ギルドから出てもうすぐ昼なので食事をしに飯屋に行った。
昼食を食べ終わると次は何をしようかなと考えて近くの森へと向かう事にした。
新たに手に入れたスキルと職業を(遺跡でも試したが)体に馴染ませる為だ。
その後森へと向かい数時間スキルを発動させたりしていると流石に疲れて日も傾いて来たのでウラカへと戻り公衆浴場に行き汗を流した。
宿に戻り晩飯を食べて寝る事にした。
-翌日-
もうそろそろ完成したかの確認にハウリさんの店へと向かった。
「すいませんハウリさんは居ますか?」
店員に声をかけると少々お待ちくださいと良い「親方〜ユウマさんがご来店しましたよ!」
「おう!待ってろい!すぐに行く!」
5分ほどすると奥から一振りの剣を携えたハウリさんが出て来た。
「ほらよ、注文通りの物が出来たぜ」
そう言い剣を渡す。
ユウマは受け取ると鞘から剣を引き抜く長さは120cmほどで刀身が薄っすらと仄かに青く光っている。
持つととても軽く風が頬を撫でた。
魔眼で鑑定して見ると風魔法(小)と書かれていた。
「風魔法が付与されているんですか?」
「そうだ、よくわかったな。ああ、鑑定持ちだったか。その通りだ風魔法が付与されていてただでさえ軽いミスリルソードを風魔法で軽くしてる。それに矢ならある程度は弾いてはくれるだろうが過信はするなよ?」
「わかりました」
「それにミスリルソードは別名魔を断つ剣とも言われてる通り魔法を断ち切れるだがそれには技量がいるから訓練するんだな。下手にしようとすると大怪我するからちゃんと訓練するんだぞ」
「重ね重ねありがとうございます。それで値段なんですか…」
「いらんわ、ミスリルを打たせてくれたんだからなそれにそろそろ此処を立つんだろ?餞別だ」
「よく、わかりましたね俺がウラカから出る事を?」
「何その目を見ればわかる。だが戻ってくるだろ?」
「ええ、いつか必ず戻りますよ」
「なら、良いその時にミスリルソードの使い心地とかを聞ければ充分だ」
「ありがとうございます。ではまたお会いしましょう」
「ああ、待てそう言えば王都に俺の兄がいるからこの紹介状を持っていけ役に立つはずだ」
「ありがとうございます」
「裏手の庭で試し斬りでもしてみろ」
案内された庭には丸太が五本刺さっていた。
丸太に向かって一閃。
まるで手応えがなかったのでミスったか?と思ったが数秒が丸太が真っ二つなった。
これほどとは…
二本まとめても変わらずにスパッと切れた
満足しミスリルソードを鞘にしまう。
「大事に使用します」
「おう、ミスリルソードは整備要らずだからとはいえ命を預ける物だから定期的に点検はしろよ」
「わかりました」
簡単な整備の仕方を教えてもらいその為の道具を買った。
他にする事が無くなったので街をブラブラと歩いた。
そういえば2人にはまだウラカを立つことを言ってないな。
グンナイさんにもお世話になったし何か買うかな。
露店を見て回りウラカ饅頭と櫛を買った。
その後時間を見てこの時間なら落ち着いて来たぐらいだろう。
冒険者ギルドにいくと思った通り依頼から帰って来た冒険者が隣の酒場で飲んでいて受付は空いていた。
ちょうどリリアがいたのでそこに向かう。
「こんばんは」
「あっユウマさん戻って来たのに中々姿を見せないので心配してたんですよ」
「いや、すみません少しゆっくりしてたので」
「そうだったんですね、それで本日はどの様なご用件でしょうか?」
「いえ、その暫くしたら王都に行こうかと思っているのでその挨拶にと」
「そう…そうですか、それは残念ですが仕方ありませんもんね…頑張って来て下さい」
「それとこれはお世話になったのでそのお礼です。カーシャさんやグンナイさん達によろしくお願いします」
そう言いウラカ饅頭と櫛を渡した。
「ありがとうございます♪」
「いえ、またいつかー「待たなくても大丈夫よ」
その声に振り返るとカーシャがいた。
「あの、それはどういう意味でしょうか?」
「いえね、ウラカの冒険者の数が少なくなったので職員数名が王都に出張する事に決まってその人員に私とリリアが入っているのよ」
「えっ!先輩そうなんですか?」
「あんた人事異動表見たないの?」
「いえ、その新人だから…移動しないのかと?」
「新人だからよ、王都の本部でみっちりと指導するわよ」
「あの…お手柔らかにお願いします」
「そういう事なのでまた暫くはよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
暫く談笑した後宿に向かって歩き出す。