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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
魔の森編
43/250

幕間〜ギルド2〜

 

 ◆リリア◇


「ふぅ、これで今日の業務は終了ですね、カーシャ先輩」


「ええ、そうね」


「そういえばギルドマスターが戻って来てもう1ヶ月近く経ちますけど、未だに見た事が無いんですがカーシャ先輩は見た事があるんですよね?」


 私は素朴な疑問が浮かんだのでカーシャ先輩に聞いてみた。


「あるわよ、でも会わない方が良いわよ、マスターはかなり変わってるから疲れるわよ」


 カーシャ先輩はそうげんなりとした表情で忠告してくる。


「そ、そうですか、わかりました!」


「ええ、それが一番よ」


 それにしても遠征に沢山の冒険者の方々が参加されたので、依頼が滞って大変です。


 早く帰ってきて欲しいです!


「まだ遠征の人達は最低1ヶ月は戻らないんですよね?」


 カーシャ先輩は眉間に皺を寄せて厳しい顔になり


「予定ではそうだけどもどうやら芳しくない状況らしいわ。何でも魔物の攻勢が強く思ったよりも捗っていないらしいわ」


 二人で話し込んでいるとボロボロの冒険者が衛兵により運び込まれて来ました。


「ちょっとどうしたの彼は⁉︎」


「ギルドマスターにとり繋いでくれ。至急、伝えなければならない事がある!」


 衛兵は切羽詰まった表情で答える。


「わかりました、すぐに呼んできます。カーシャ治癒魔法士に連絡を。リリアは緊急収集の用意をして下さい」


 グンナイさんがやって来て指示を出します。


 言われた通りカーシャ先輩は治癒魔法士に連絡を取りに行き、私は緊急収集の用意です。


 ギルドには3つの緊急の時の対応があります。


 ギルドがある街に大規模な魔物の襲来の場合は【強制依頼】といいこれを出されたその瞬間、その街にいる全ギルド員と冒険者が集められます。


 これを拒否した場合はギルドから身分やランク問わず、永遠に除籍扱いになります。


 次は【緊急依頼】でこちらは街に危機が迫るほどの事が起きた場合に出され、指名された冒険者が派遣される、依頼です。


 こちらは拒否した場合は相応の罰金と、ギルドランクの降格です。


 後はギルドからの信頼が失われます。


 こちらは滅多な事では拒否する人はいませんが、時にはいます。


 次は【緊急収集】でギルドが非常事態と判断した場合に出されるもので全冒険者が集められ、派遣されます。


 こちらも緊急依頼と同様拒否した場合は同じペナルティがあります。


 そして今まさにその中の『特筆事項3条』と言われる、滅多な事では発動されないものの1つが、発動されるかもしれないのです。


 私は急いで書類を取りに後方の書類棚に走ります。



 他のギルド職員も緊急事態と察したのでしょう、非番の方や上がった方を呼ぶために、携帯用魔導通信機を使用しています。



 携帯用魔導通信機は遠く離れた人と連絡を取る魔道具で高価ですが、全ギルド職員が持っています。


 過去にこれを売り飛ばそうとした職員がいたらしいですが、その人はとても恐ろしい目にあったらしいです。


 ですのでそんな事をする職員はいません。


 ギルドにはそれの高位の魔道具の魔導通信機もありますが、それは巨大な為持ち運び出来ません。


 ですが携帯用とは違い、通話が出来る範囲がだいぶ違います。


 携帯用だと精々隣街ぐらいですが、こちらだとこの国中に届く事が可能らしいです。


 さらにギルド本部と国の中枢にはこれよりも範囲の大きい物が、あるらしいですが流石に下っ端の私は知りようがありません。


 まあ都市伝説みたいなものですね。


 そうそう今はそれよりも書類です!


 えぇ〜とどこでしたっけ?普段は使わないので保管場所がうろ憶えです。


 ひじょ〜にマズイです!


 どこだ?何処だ?


 あったこれです。すぐにグンナイさんに渡しませんと!


 急いで踵を返しましたが、そこにはグンナイさんは居ません。


 何処でしょうか?


 近くの職員に聞いてみますか。


「すいません、グンナイさんは何処でしょうか?」


「うん?それならさっきそこで治療されてる(冒険者)から事情を聞いたあと、ギルドマスター室に行ったよ」


「ありがとうございます」

 お礼を言いすぐさま後を追います。


 途中カーシャ先輩と出会い、一緒についてきて貰ってます。


 流石に一人だと心細いからです。


 階段を上がり最上階のギルドマスター室に到着しました。


 ノックをし入室許可を貰い入ります。


 中には3人の人物がいました。


 一人はグンナイさんでその奥の机の横にギルドマスターの秘書のクレミールさん。


 という事はその横の男性がギルドマスターでしょうか?


 見た目は魔法士みたいな灰色のローブを纏い年相応の白い長髪をしており、立派な髭を生やしています。


 目は茶色でその目には叡智を感じられ手に持つ杖は、とても高価で素晴らしいものです。


「お待たせしました。書類をお持ちしました」


「ありがとうございます、貴方達は下がっていいですよ、下で待機していて下さい」


「わかりました」


 グンナイさんの指示に従います。


 部屋からカーシャ先輩と一緒に出て下に向かいます。


 途中ギルドマスターに思った印象を伝えます。


「ギルドマスター別に変な人ではありませんでしたよ先輩?」


「そりゃあそうでしょう、今は非常事態なんですから」


「普段はあんなんじゃないわよ」


「そうなんですか?」


 いまいち納得できませんが今はそれどころではありませんので、この問題は後日確認しましょう。



 それにしても定時に帰れなかったと思う私は、駄目な娘なんでしょうか?


 普通だと思うんですけど?







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