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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
魔の森編
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37話

 

 ユウマとデリアは【緑の風】の元に戻った。



「おう、二人とも何処に行ってたんだ?」


「ああ、ベックさん砦に行ってました」


 ベックは首を傾け

「何だってそんなところに?」


「ええ、実は……」


 ユウマは今朝方自分のスキルで敵情を視察し、そこで魔族を発見し、それをデリアに相談し、二人でこの遠征軍の司令部に知らせに行き、そこで起こった会議の内容を掻い摘んで話した。


【緑の風】の面々はその話を聞き、指揮官の無能を嘆いた。


「くそ!何だってそんな無茶な作戦を!」


「すいません、ベックさん自分が余計な事をしなければこんな事には…」


「ああ、いやユウマを責めてる訳じゃあない。それにユウマは貴重な情報を知らせただけだ。何も悪くない。寧ろこちらが感謝したいぐらいだ」


「そう言って頂けるとありがたいです」


「それでみんなこの事を他の冒険者にも伝えて明日に備えなければね」


「そうだな、デリアの意見に賛成だ」

 普段は寡黙なガイルスも口を開く


「ええ、そうですね」

「はいっす」


 ドリス、ラントも賛成の様だ。


「まあ、例え冒険者総出でこの作戦を否定したところで将軍は意見を曲げないだろうな、俺たちは奴じゃなく、カルパトネ辺境伯の依頼で参加してるが、話に聞く限りではそんなこと御構い無しだろうな」


 ベックの意見に皆頷く



「よし、まずは他の冒険者に伝えよう!」



「そうね」

「はい」

「了解」

「ああ」

「わかりました」


 皆返事をしてそれぞれ別方向に散り、他の冒険者に伝えて行く。


 やはり大半の冒険者は怒り、残りは絶望した。


 だが皆次には明日に備えて、より一層の武器の手入れをしたり、パーティーやクランが集まり、作戦を考えたりと行動し始めた。


 ユウマはここで作業の為に集められた、ゴーレムを思い出し、近くの騎士に尋ねると、戦闘では役に立たないから、倉庫にしまっていると、言われた。



 ユウマは早速騎士団長の元に向かって仕舞ってある、ゴーレムを使えないか交渉しに行った。



 割とすんなりととうして貰い騎士団長の元へとやってきた。


「ん?先ほどの冒険者か、どうしたのだ?」


 部屋の中では騎士団の面々が作戦会議をしていた。


 他のものが一斉にこちらに視線を送ってきて、多少気後れしたが一歩踏み出し、騎士団に切り出した。


「あの、倉庫にしまっているとゴーレムを使っても良いですかね?」


「ん?別に構わんが何に使うのだ?」


「はい、明日の作戦で少しでも犠牲を減らす為に使用したいのです」


「まあ、その為なら別に構わん他には何かあるか?」


「はい、大変な恐縮なのですが、予備の武器防具もあれば使いたく」


 その言葉に手前にいた、若い騎士が立ち上がり


「貴様、それがどういう意味かわかって言っているのか?」


「よい、バイセン座れ」


 エトワールが諌める


「しかし、閣下…」


「よいと、言ったぞ」

 2度言わせるなと目線で問いかける


「ハッ!差し出がましい事をしました」


 エトワールに頭を下げこちらを一睨みした後席に座った。



「しかし、確かに今我々ウラカ騎士団は、多数の死傷者を出して、予備の装備は多少はあるが、やはり貸し出すのは抵抗がある事は理解しているな?」


 こちらを見つめる瞳に嘘は許さんと、いう意思が込められている。


「はい、わかっています」


 こちらも目を逸らさずジッと見つめ返す


 エトワールは口に笑みを浮かべ


「どうやら、何か狙いがある様だな申せ」


「はい!実はその武器防具をゴーレムに装備させたく思いまして」


 一様に視線が鋭さを帯びた



「確かゴーレムの使用は許可したが、それにこちらに派遣されたゴーレムは確かに通常のゴーレムよりも、機敏で頑丈だが戦闘には使えんぞ」


「はい、それはわかっております」


「では、何故その様な事を申すのだ?」


「はい、実は私は新たな職業を獲得してまして、そのスキルを使えばゴーレムを実用に耐え得るレベルまで上げることが出来る所存でして、その為に武器防具を必要としてましてどうかお願いします」


 頭を下げる


「その様な事が信じられるか!」


 バイセンは立ち上がりこちらの胸倉を掴んできた。


「バイセン!よせ」


「しかし、この者の申す事はとても信じられません。新たな職業などどうせ嘘です。我らの武器防具をどうせ、冒険者達に使わせるか、自分の懐に納めるつもりでしょう。そんな事の為に亡き戦友達の遺品を使わせるのは…例え閣下のご命令といえど、私は許容できません」


 バイセンは目に涙を溜めエトワールに上申する


「取り敢えず手を離せ」


「…わかりました」


 ユウマの胸倉から手を離す


「確かユウマと言った?」


「はい」


「嘘偽りなく申せ。もし仮に貴様のスキルで強化したゴーレムを使えばこの難局を乗り切れるか?」


「それは…流石にわかりません」

 その言葉にバイセンの目に殺気が宿る


「ですが、必ずこの力は役に立ちます、そして犠牲も減らせる筈です、お願いします」


 ユウマは頭を深々と下げ懇願する


 エトワールは副官に尋ねる


「ネイルよ、ゴーレムは何体ある?」


「ハッ!正確な数は把握しておりませんが、少なくとも300体はある筈です」


「ふむ、それで武器防具はどの位だ?」


「ハッ!剣が予備も含めて517本、防具は435組、盾は496個、弓は604弦、矢は2045本です」


「か、閣下もしやこの者の申し出を受けるのですか?」


「ああ、だがユウマよまずは、そなたのスキルで強化した、ゴーレムがどの程度使えるか確かめさせてもらうぞ」


「ハッ!わかりました」


「では、対戦相手は騎士バイセンよお主が勤めよ」


「ハッ!確かにその任、騎士バイセンが拝命しました」


 バイセンはエトワールに片膝をつき傅き敬礼をして拝命をした。



「ではそれでよいなユウマよ」


「ハッ!ありがとうございます」


「では、この砦の中庭で試すぞ」



 エトワールが席を立つと、他の面々も一斉に立ち上がりその後に続く。


 ユウマも遅れずについていく。






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