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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
魔の森編
38/238

35話〜報告〜

 


「デリアさん、少しいいですか?」


 武器の点検をしていたデリアは一旦手を止めて、ユウマに顔を向ける。


「どうしたのユウマ?」



「いえ、作業の邪魔をしてすいません、もし忙しいようなら後でまた出直します」


「別にいいわよ、何?」


「あの、相手のステータスって言うんですかね、その相手の能力がわかったりする、スキルなどはあるのですか?」


「そうね、確か固有スキルって言う通常のスキルよりも、上位のスキルに鑑定眼っていう、スキルの鑑定の上位のスキルがあるのよ、ただのスキルの鑑定は、相手の名前とレベルしか、わからないらしいけど、上位の鑑定眼はもっと細かくわかるらしいわよ、詳しい事は私も知らないけどね」


「後は同じ効果のある魔道具があるわよ、まあ持っているのはギルドか高位の貴族くらいらしいわよ、何でも古代の魔道具でとても高価で今の技術では再現はできないらしいからよ」



 そうか、それなら持っていても珍しがられても怪しまれたりはしないか



「でも、どうしたの急に?」


「いえ、実は自分はその上位の鑑定持ち出して、それで魔物のステータスを見てて魔族を発見したので……「それ!本当⁉︎」……ええ」



「ならすぐに上層部の人間に報告した方が良いわ、騎士団の団長が良いわね、あの王国軍の指揮官はちょっと、問題がありそうだわ」


 デリアは顎に手を当て思案している。


 考えがまとまったのか此方に振り向き


「よし!早速行くわよ」


 言うが早いかユウマの腕を掴んでグイグイと引っ張って行く。


 砦の警備をしていた騎士に、デリアが事情を話すとすぐに対応してくれた。



 騎士に案内され中に入り、1つの部屋に通された。


 中に入り暫く待機していると、ノックをし一人の壮年の男性が入ってきた。


 確か彼が騎士団長のラインバックだったな。


 彼は対面のソファに座り、その後ろに二人の騎士が待機した。


「早速、話を聞かせて貰えるか?」



 掻い摘んで説明をした。


「はい、今朝方、この砦の周辺の魔物を自分のスキルで見たところ偶々、その中に魔物ではなく魔族と表示された個体を数体発見しました」


 魔族を数体という言葉に後ろに控えていた騎士達はざわざわしだした。


「静まれ!」


 ラインバックの一喝ですぐさま騎士達は直立不動の姿勢に、戻った。


「その内訳を教えてくれ」


「はい、一体は中位魔族の吸血鬼族、後は6体ほどの下級魔族のレッサーデーモンです」


「レベルは吸血鬼族が63レベル、レッサーデーモン達はだいたい39レベルでした」


 その報告にラインバックは顔を顰める。


 魔族と人族では例え同じレベルでもステータスに差が出る、それは種族の成り立ちなどにも、関わるので致し方ないことだろう。



 魔族達は邪神が生み出した戦闘民族であり、人族はその数で何とかここまで生き延びれた弱小種族である。その為中央部の国は他種族を畏れ、その数を持って彼らを見下し、排除してきた。


 幸い他種族はそれ程数が居なかったのでスムーズに進んだ。だが邪神の最も被害の受けた西部の国々は、他種族の事を庇い彼らなくして我らの勝利はなかったと訴え、弾圧を止める様に促したが、受け入れられず彼ら中央の国と西部の国は対立した。その後中央部では人間至上主義のアウレリア教が広く布教し、他種族は見つけ次第断罪せよ、という教えが広まった。



 一方の西部は彼らに感謝し、助け合う事を第一にしたカルトリッスン教が布教し、より良き関係を結んでいる。


 残る北部と南部は地域ごとに対応が、変わる今はアウレリア教とカルトリッスン教の二大宗教が信者獲得に向け、熾烈な争いを起こしている。


 一方の東部は邪神の影響が最も低く、独自の宗教や価値観で行動しており、積極的に動く気配はない。東部は被害が少なかった為、豊かな国が多くその為、欲にまみれた中央部の国から度々侵略戦争が起こされるが、東部の国々は、独自の技術と兵の精強さから一度として、敗れた事はなく、仕掛けた国は手痛いしっぺ返しを食らっている。


 その為中央部の国と東部の国は仲が悪い。


 そして更に彼らは他種族に寛容な為余計に中央部の国から疎まれている。


 話がずれたがとにかく魔族は平均して身体能力が他種族よりも高くそれでいて好戦的であり、狡猾である。


 人族は能力はそれ程高くないがどれも平均で偏りがないバランス型だ。


 だから実際魔族と戦うときは、同じレベル帯なら最低でも10レベル違うと思って戦えと教えられている。


 現在この砦の最高戦力は、Bランク冒険者のレベル52とラインバックのレベル43である。


 因みにエラキス将軍はレベル30と普通の兵士より若干強い程度である。


 王国軍の正規兵の平均レベルは25〜28で辺境騎士団は35〜37と高いが数は少ない。



 冒険者は辺境とはいえ、今までそれ程危険が無かった為か高位の冒険者であるAランクは今回参加しておらず、Bランク冒険者のパーティが2つ参加しているだけである。


 先にいったその中の最高レベルが52で他はラインバックと同じレベル40〜44である。


 しかも数は2つのパーティー合わせて9人と少ない。


 ラインバックはこれは早々に、撤退しないと全滅の憂き目にあうと判断し、すぐにこの事をエラキス将軍に報告しなければならないと、覚悟を決めた。


「すまないが君には私に話してくれた内容と、同じ事をもう一度エラキス将軍に報告して欲しい。すぐに私は軍議の準備をするので、今暫くこの部屋で待機してもらう」


 そう言うとラインバック騎士団長は部屋から足早に退出していった。


 残されたユウマとデリアは顔を見合わせて溜息をはいた。








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