33話
-翌朝-
砦内の会議室
➖騎士団長エトワール➖
昨夜は魔物共が夜襲をかけてくるかと警戒したが杞憂に終わった。
だが油断は出来ない魔物は夜間でも夜目が利く種類がいる為だ。
「戦況はどうだ?」
エラキス将軍の問いに参謀の一人が立ち上がり答えた。
「はっ今は一進一退の攻防が続いておりますが、敵はまだまだ余力を残し、本隊と思われる集団はまだ動いておりません。その中に魔族がいるものの思われます」
士気はまだまだあるがやはり、魔物共の数が多過ぎる。それに今攻めて来ている魔物より、本隊の魔物は強力な個体ばかりだ。救援要請を出したが報せを聞いてすぐに来れるわけでもない。
最短でも10日はかかると考えた方がいいだろう。
あとは総大将のエラキス将軍の采配次第だろうが、貴族にありがちは傲慢な性格が透けて見える。
現に我々の騎士団に意見を求めず(ここウラカ騎士団は辺境故に完全な実力主義な為、貴族のボンボンは早々にリタイヤし、平民しか殆ど残らない中には残る貴族もいるが、それは下級貴族のみ現に騎士団長であるエトワールも、元冒険者出身で今は騎士になり士爵位を賜り一応貴族だが、士爵位は半貴族である為、貴族と認めない者もいる。王都の近衛騎士団はこことは逆に貴族のみである)に自分の幕僚ばかりに意見を求め、我々には肯定の言葉しか求めてない。
だが流石に将軍まで登り詰めただけはあり、一応騎士団長の私が意見を言うとすぐに却下はせずに(顔は苦虫を噛み潰した顔をするが)検討はしてくれる。
これが私の部下の発言ならすぐに「黙れ」と言うところだが一応我々は魔の森に近い辺境都市の守護についてる訳だから私の意見には時には賛成もしてくれる。滅多にないが
エラキスは参謀に被害状況を聞いた。
「ハッ我々王国軍の死傷者は243名、騎士団は23名、冒険者は158名です」
やはり矢面に立つ王国軍が一番被害が多いな。
それに我々騎士団は補充の人員が来ていないからな。
我々ウラカ騎士団の構成人数は約400名その内300名をこの遠征軍に派遣した為に、今ウラカには100名弱しかいない。
これ以上の出兵はウラカの治安維持に支障を来たす恐れがある為、派遣できない。
「そうか、防御壁の方はどうだ?」
「ハッ第一防御壁は所々を壊されましたが、すぐに修復可能です。先程修復の指令を出したのですぐに修復出来るでしょう」
「ふむ、よろしい。あとは武器と食料はどうだ?」
「ハッ、元々長期で此処に滞在する予定でしたので、まだまだ余裕があり、後最低1ヶ月は持つでしょう」
「それは重畳だな」
「ハッ、しかしながらこのままのペースで攻防が続くと医療品は約2週間しか持ちません。それに武器はまだあってもそれを使う人員が足らなくなりますね」
「そうか、医療品は矢面に立つ我々王国軍に優先して配布しろ。それと救援はいつ頃着きそうだ?」
王国軍に優先してか、まあ確かに今は王国軍が一番人数が多いそれに矢面に立って魔物を防いでくれているし妥当だな。
腕を組んでこれからの事を思案するが良い案はまだ浮かんでこない。
「ハッ、最短で10日ぐらいかかる見込みです」
「わかった、防衛は此れ迄通りで、それに防御壁を補強出来るだけしろ」
「ハッ了解しました」
「では、他に意見はあるか?」
誰も手をあげなかった。
「よしでは解散とする」
そう言うと席を立ち王国軍の面々は会議室を後にする。
「団長我々はどうしますか?」
「そうだな、やはり冒険者達の意見も聞いてみたい、手分けして意見を聞いてくれ」
「ハッ了解しました」
「では我々も持ち場に戻るぞ」
「「ハッ」」