3話
体感時間で15分程歩いてると近くの草むらが、ガサガサと音がして、そこから何かが、飛び出して来た。
落ち着いて飛び出して来たものに鑑定をかけてみると
-ホーンラビット-
と表示された。
見た目はうさぎを一回り大きくしたぐらいで額からは10cmほどのツノが生えていた。
俺は腰からショートソードを引き抜き構えた。
ここに来るまでに歩いてる最中、何と無く鑑定を剣にかけたらショートソード。と表示されたのでこれからは、この剣をそう呼ぶ事にした。
ホーンラビットはこちらをじっと見つめ「ギュルギュー!!」と威嚇をしてきた。
俺は中腰になりショートソードを正眼に構えて、いつでも対応出来るように身構えた。
そしてホーンラビットは対峙する事に焦れたのか、遂にこちらに向かって全力で飛び掛って来たので、それを横に一歩かわして、すれ違いざまにショートソードを一閃。
それからドサッと、音がして後ろを振り向くと、ホーンラビットが、額を中心に横に真っ二つになって死んでいたのを、確認してから体の力を抜いた。
ホーンラビットの腹から臓物や血が流れ出て、徐々に地面に赤い水溜りをつくっていってるのを見て、自分が生き物の命を奪った事を、徐々に理解していき途端に、腰が抜けて地面に尻餅をついてしまった。
「なっ!?ここまでリアルなのかよ!いや違うなここは現実なんだ。そうじゃなかったら、この地面の感触や、草木の匂いに風などが説明できない」
確かにVRMMORPGはリアリティを追求しているが、ここまでリアルに再現すると精神に負荷がかかり心に傷を負う人がでる。という理由で確かここまでの表現には制限がかかっていて禁止されていた筈だ。
なら必然的にここはゲームの中ではなく、なんらかの理由で俺はゲームに似た未知なる世界であるこの世界へと飛ばされたと言うことか?
さっきのホーンラビットはまだモンスターだから倒せたが安心できない。
何故ならもしかして今持っている装備からして、だいたい地球で言うところの中世の時代としたら、盗賊や山賊などがいる筈だ。
その時俺は自分に敵意を向けて殺そうとして来る相手を斬れるのか?
ここはそんなにも物騒な世界なのか?
わからない事が多すぎる。
「あぁ〜なんにしても情報が足りなさすぎるな。とりあえず早く街にでも行って情報収集が先決だな」
そういえばこれは(ホーンラビットの死体)どうしたらいいんだ?
そのままにしてもいいのか?
でも、ホーンラビットなんて見たことも聞いた事も無いしな。
仮にここがゲームの世界なら討伐証明に必要な部位なり証なりがあるはずだし、血抜きの仕方とか皮の剝ぎ方とか知らないしな。
とりあえず腰袋にロープがあるから縛って持ち歩くか。
でも血の匂いで凶悪なモンスターでも、集まって来たら対処出来る自信もないしな。
しょうがないが放っておくか。
そういえば俺も血がついたから洗い流した方がいいよな。
ザーザー
落ち着いて耳をすませば水の音が聞こえて来る。
「ん?こっちから水の流れる音が聞こえるような……」
とりあえず此処にいつまでも居ても仕方がないので水の音が聞こえる方にいってみるか。