26話
宿から出ると結構時間が経過していたのか、日が沈み始めていた。
あの後すぐに自分が泊まっている宿に帰った。
帰る途中念の為にマップで尾行している者が居ないか確認したが、どうやら杞憂に終わってホッとした。
部屋に入ると早速袋の中身を確認した。
中に入っていたのは、何と小金貨5枚に銀貨300枚である。
こんな大金を命の恩人といえポンと出せるとはカタリーナの実家は裕福なのだろうか?
それとも雇われればこれ位すぐに稼げるというアピールだろうか?
意図はわからないが貰えるものは貰っておこう。
明日はロベルトさんの商会でゴーレムがまだあれば、買おうかな
翌朝
ん?もう朝か顔を洗い身嗜みを整えてから一階に降りて朝食をとりロベルトさんの元へ向かうと商会の前で馬車と荷馬車があり荷馬車に荷物を詰めていた。
商会の前にロベルトがいたので挨拶に向かう。
「おはようございます。ロベルトさん馬車と荷馬車がありますが、何処かに行くのですか?」
「おお、ユウマさんおはようございます。そうですね、私はそろそろ王都に帰ろうかと、ここでする事も終えましたしね」
「そうですか、今までありがとうございました。助かりました」
ロベルトに頭を下げる
「いえ、王都に来ることがあれば、是非うちの商会に来てください。歓迎しますよ」
「はい、その時は必ず行きますよ」
「では、そろそろ出発しますのでお元気で」
「ロベルトさんの方こそ道中はお気をつけて」
「今回は大丈夫ですよ、腕利きの護衛を多数雇いましたから」
ロベルトの視線の先には屈強な男達が整然と、隊列を整えて辺りを警戒していた。
数を多くざっと見ただけでも20人近くいる。
「確かに大丈夫そうですね」
「ええ、頼もしい人達ばかりですよ」
ユウマを安心させる様に笑顔で受け答えしてくれた。
「ではお元気で」
「はい、ではまた王都でお待ちしてます」
ロベルトと別れの挨拶を終え、ロベルト達は王都に向け出発して行った。
その後ブライアンに挨拶をして、今現在商会にあるゴーレムの数を聞いた。
「そうですね、今はゴーレムは確か10体ぐらい追加で仕入れたので、30体ぐらいありますね」
「何故新たに追加したのですか?ゴーレムの使い道は限られてると聞きましたが?」
「何でも近々魔の森に遠征部隊を派遣して開拓するらしいですよ」
「そのため木の伐採などにゴーレムを利用するらしいですね」
「そうですか、なら購入は出来そうにないですか?」
「3体までなら何とか大丈夫ですね」
「そうですか、ありがとうございます。では3体お願いします」
「わかりました。すぐにご用意しますので少々お待ちください」
一礼してブライアンは奥に向かって行った。
暫くすると3体のゴーレムを従えたブライアンが戻ってきた。
その後3体を購入して、早速ハウリの店に足を運んだ。
「こんにちは、ハウリさん」
「ん?坊主かまた武器の点検か?」
「いえ、今回は武器と防具の購入です」
「おっ!そうか、なら良いのが最近入ったが見てみるか?」
「はい、お願いします」
ハウリは店の奥にいき一振りの剣を持ってきた。
「これなんだがよミスリル製のロングソードだ」
「持ってみて良いですか?」
「おうよ」
渡されたロングソードを鞘から抜いてみると刀身が蒼白く発光してそれが魔量だとわかった。
それにとても軽く片手でも十分に振れる。
値段を聞いてみると
「小金貨20枚だな」
と答えた。
「流石にこんな高価な物は買えませんよ」
「そうか、まあミスリル製の物は基本的に金持ちしか、手が出せねぇからな」
「まあ、他にも色々とあるから見て行ってくれや」
「はい」
その後ハウリにゴーレムを出し驚かれたが、これに合う武器と防具が欲しいと言うと、職人の顔になり採寸をして、体格に合う防具を見繕ってくれた。
全てのゴーレムに板金鎧の防具を着せその上にローブを纏わせ武器も統一させた。
並ばせるとその様は何処かの騎士の様だ。
とても頼もしく見える。
その代わりにほぼ全財産がとんだ。
依頼頑張らないとな、と強く思った1日だった。