22話〜救出〜
悲鳴が聞こえた森の奥へ行くとそこには多数の兵士の死体があった。
奥の方ではまだ怒号と剣戟の音が聞こえるので生き残りがいるようだ。
茂みに隠れながら移動するとそこにはこの北の森にはいない筈のオーガが6体いた。
見れば9体のオーガが倒れてることから最初は15体もいたのだろう。
だがオーガは群れない魔物の筈で群れても3体の筈だ。
生き残りの兵士が13人と騎士が2人それに貴族の少女らしき女性が1人に侍女が3人の計19名だ。
これは早く助けないと全滅するな。だがこの戦力で対抗できるか?
後ろを振り返りゴーレムを観察するがとてもかないそうにないが見捨てるのもあれだ。
何かないか?
そういえばステータスを確認していなかったなゴブリンを大量に狩ったから上がっているか?
ーステータスー
名前:ユウマ
職業:1使役師・2剣士・3未設定
レベル:13
種族:人族
性別:男
年齢:19
体力:720 魔力:1437
筋力:510 耐久:508
敏捷:495 精神:746
器用:671
-スキル-
鑑定Lv4 魔力回復率Lv3
隠蔽Lv4 アイテムボックスLv3
剣術Lv6 生活魔法Lv3
マップLv1 軍団指揮Lv1
-固有スキル-
幸運Lv6 使役Lv3
-称号-
異世界人
新たに軍団指揮が増えてるなこれはゴーレム達に命令したからか?
ん?使役も上がってるな、何々
使役
使役できる対象の増加
使役できる対象の強化
試しに近くにある木とゴーレムに触れて強化を試すとゴーレムに木の根がまとわりつき形を変えゴーレムの鎧みたいになりゴーレムの質量も増えた。
ゴーレムはこれまで身長は190cmぐらいだったのが3m近くまでなり体も太く逞しくなり強そうだ。
他のゴーレム達にも強化して行ったが6体が限界のようで7体目には効果がなかった。
ゴーレム達が持っていた武器はサイズが合わなくなったので回収した。
代わりに使役の能力を使い近くの木に手を触れ新たなゴーレムに合うサイズの棍棒と盾を作り装備させた。
残りの2体にはローブを羽織わせ目深くローブを被らせた。
自分もローブを目深く被り顔を隠し兜を締め直し顔が見えにくくした。
この能力が露見してもまだ誰が使ってるのかは隠しておきたいからだ。
そうこうしてるうちにオーガ達が攻撃を仕掛け兵士達が必死に防戦していた。
素早く強化して大きくなったゴーレム達ビッグウッドアーマーゴーレムと名付けそれらに突撃させた。
突撃の闖入者にオーガも兵士達も呆気にとられ動きが止まったそれを見逃さず突撃したビッグウッドアーマーゴーレム達が次々にオーガに襲いかかった。
兵士達はまだ敵か味方か判断が出来ずに戸惑っているらしく所在なさげにしていた。
「狼狽えるな今のうちに防御形態を再構築せよ!」
騎士の1人の命令に従って兵士達が素早く防御形態を再構築し始めた。
間違ってゴーレム達に攻撃されたらたまったもんじゃないし姿を見せますか。
オーガ達の方は問題なく片付きつつあった。
すでに半分の3体のオーガが倒れ伏しビッグウッドアーマーゴーレム達は一体につき2体で攻撃を加えてるのでそちらもすぐに片がつくだろう。
問題はこちらだなどう事情説明したらいいのか
茂みから姿を表すと此方を発見した騎士が警戒態勢に入り「止まれ!何者だ」
その声に兵士達も此方に気がつきこちらに警戒した視線を向けて剣を向けたきた。
俺は言われた通り立ち止まり付き従う2体の通常ゴーレムも止めた。
再度「何者だ!」
「冒険者だ、あれは俺が使役してるものだ君らに危害は加えない!」
訝しげな視線を向けて「信じることは出来ない」
まあ、尤もだな俺もこんな状況だととても信じられない。
そうこうしている内に残りのオーガも倒したビッグウッドアーマーゴーレム6体が俺の後ろに控えた。
見たところ多少の傷はあるが致命傷にるような大きな傷は見受けられない。
すべての兵士達が此方に向き直り警戒した。
此方は手を出す気はないが向こうは仲間をオーガに殺られて気がたってるのか何かあれば斬り込んで来そうだ。
そこへ涼やかで綺麗な声が静止の声を告げた。
「お待ちなさい、あなた達剣をお引きなさい」
顔はまだ少し青いがはっきりと少女は告げた。
「しかしお嬢様「下げろと言いました」.…畏まりました」
「皆、剣を下げろ!」
その声に兵士達が従い剣を鞘に収めた。
「まずは御礼申し上げます。助けて頂きましてありがとうございます」
少女はこちらに頭を下げてきた。
それに騎士や兵士達が驚いた顔をしたが少女に習って皆頭を下げてきた。
「いえ、構わないですから頭をあげてください」
「こちらも顔を晒せない無礼をお許しください」
頭を上げた少女は「いえ、かまいません何か事情が御ありそうですので」
「私の名前はカタリーナ・エルゼ・フォン・パルシナでございます。貴方のお名前は?」
「申し訳ございませんそれも名乗れません」
ユウマの発言に中年の方の騎士が剣に手をかけ
「貴様お嬢様が名乗ったのに答えられないだと!ふざけるな!」
まさに剣を抜こうとした時「リッツ!」
カタリーナが静止の声を上げた。
リッツと呼ばれた騎士は素早く剣から手を離しカタリーナに傅き「はっ申し訳ございません」
「良いのです私を思ってのことでしょう、今回は不問に処しますが次はありません。わかったなら大人しくしてなさい」
「はっ!ご厚情痛み入ります」
リッツは一瞬こちらに視線を向けてカタリーナの後ろに控えた。
こちらにニコリと微笑んで「では何とお呼びすればよろしいでしょうか」
登録名はユウマだが苗字は名乗ってないからそれでいいかな
「ではアサイとお呼び下さい」
「わかりましたアサイさん改めて助けて下さいましてありがとうございます」
「いえ、当然の事をしたまでですので」
「そうですか、御礼を差し上げたいのですがこの様な有様でお渡しできないのでこの後辺境都市ウラカに行きますのでそこの領主館に訪問する予定ですのでそのあと【鈴羅木の安らぎ亭】と言う宿に宿泊する予定ですのでそこに御足労願いませんか?」
御礼は確かに魅力的だがこれ以上の関わりは面倒ごとに巻きこまれそうだしな断るか
「いえ、そこまでしていただけなくても構いません、では"私"はこれで」
「いえ、そういうわけにもいきません助けられて御礼をしないとは我が家の沽券にも関わりますのでどうぞお願いします」
「はぁわかりました、後で伺います」
「そうですかありがとうございます」
「ところで"私達"はではなく"私"ですか?」
しまった!
「いえ、言い間違いましたね"私達"はこれでですね」
怪しんでるなやはり、少女とはいえ貴族かこれ以上喋るとまたボロが出そうだな早く離れた方が無難だな。
「では、後でお伺いいたします」
「ええ、お待ちしております」
言うが早いかその場を後にした。