214話〜その後の勇者達〜
ラーバント帝国へ派遣された勇者達は、ルパメント聖王国に戻って来ていた。
本来なら凱旋式などを行うが、今回は勇者達の心の傷が大きくそれどころではなかった。
それに一部からは今回の派遣は失敗だったのでは?と意見も出ていた。
だが、結果的にはスタンピードを阻止して帝国は救われたとの見解が多く、その一部の意見は黙殺された。
枢機卿以上の者達が集まる会議、枢機卿会議が行われていた。
「猊下。今回派遣された勇者殿達は、精神的にも肉体的にも疲労が高い為に暫くは療養に専念させるべきだと思われます」
「そうか、それでは確か勇者殿達の故郷には温泉で療養するのが良いと聞いた事が前にある。ルパメント聖王国の温泉郷に案内して下さい」
「畏まりました」
「それで、他に地域に派遣された勇者殿達はどうかな?」
「はい。そちらは順調です。各地の魔物の討伐や盗賊退治をしてもらっています。しかし同じ人間相手とあり、盗賊を相手にした勇者殿達も少し参っているようですので、こちらも少し休ませるべきかと」
「わかりました。彼らも同じく温泉郷へ」
「それと帝国から抗議が来ています」
「ああ、戦略的撤退の件ですね。こちらは貴重な勇者殿達を派遣したのです。彼らが危険な目に遭えば保護を最優先にするのは仕方のない事です。その様に回答なさい。それでも抗議をするのであれば帝国内の教徒達が、今回の件で不満を持っており動こうとしていると情報を流して上げなさい」
「はい。承知致しました」
暫く会議が続いていると、扉がノックされて司教が入って来る。
「会議中に失礼します。聖王陛下が、猊下をお呼びです」
「陛下がですか?会議中に珍しいですね。わかりました。向かいましょう。皆さん私はひと足先に失礼します」
教皇が退室した後も、会議は続けられた。




