211話〜試練のダンジョン⑦〜
遅れました。
特に怪しい場所は見つからない。
「どうだ?」
「何も見つかりませんね」
「いや、よく見てみろ」
ムスが指差す先には一匹の蟻の姿があった。
よく観察していると、蟻は全く同じ動きをしていた。
木の穴に入ると、茂みからまた一匹の蟻が出て来て、同じルートで同じ速度で動いていた。
「ループしているのか」
ムスが木の穴を壊して穴を広げる。
すると木は空洞になっており、中にはルーン文字が刻まれていた。
「これを壊せば良いのか?」
「下手に壊すと何が起きるかわからない。解読する必要がある」
ルーン文字は古代語の一つであり、現在は失われた文字が多く解読は困難と言えるだろう。
しかし不思議とユウマは読めてしまう。
「これは……なるほど」
「読めるのか?」
「はい。何故かはわかりませんが、自然と頭の中に入って来ます。この刻まれている文字によるとどうやら法則がありそうです。同じ様に後ろを着いて来て下さい」
ユウマは文字の通りに動く。
前に1メートル進み止まる。そして左に直角に曲がり3メートル進む。
そして右側にジャンプする。
すると景色が一変する。
森であったはずが石造りの通路に出て来たのである。
「これは不思議な光景だな。転移ではなさそうだが」
「進みましょう」
6人は通路を進む。




