192話〜ウラカ防衛戦②〜
既に日が沈みかけていた。
しかし魔物の数は減る気配はない。
夜になっても、夜目が効く魔物が動き周り、兵士達に休まる暇がない。
兵士だけでなく、ウラカの住民の中でも戦える者達も武器を取ってくれた為にある程度の数は揃ったが、それだけである。
訓練された兵士ではない民兵は、動きがどうしても遅くなりそれを補佐する為にベテランの兵士に負担がかかっていた。
この規模の魔物に対して明らかに防衛力は低かった。
今現在は気力とウラカの元々の防衛力(堀や防壁等)のお陰で保っている状況であった。
夜が明けた。
魔物の数は減るどころか増えている様にも見える。
そして最悪な事に、足が遅く到着が遅れていたトロールなどの大型種の姿も見え始める。
トロールに矢や魔法の遠距離攻撃が集中するが、弓手や魔法士の数が足りず接近を許してしまう。
トロールは棍棒で、防壁を叩き始める。
その振動で防壁上が揺れ、狙いが定まらなくなる。
「あのトロールを先に排除するんだ!」
隊長の一人が指示を出す。
それに従い、民兵達が上から石などを落としてトロールに攻撃する。
だが、流石に耐久力に優れたトロールは煩わしそうにはしているが、あまり効果がない様に見える。
詠唱が終わった順に魔法を放っていた魔法士達は、それを見てタイミングを合わせ一斉にトロールにそれぞれの魔法を放つ。
流石にこれにはトロールもダメージを負い、防壁から離れて行く。
だが、トロールばかりに構っていると他の魔物の接近を許してしまう。
何とか指揮官達が必死に指示を出し、均衡を保っているがいつまで保つかはわからない。
そうして昼時になる頃には、疲労で民兵達の動きが目に見えて悪くなっていた。
「このままでは不味いですよ」
指揮官に副官がそう言うが、この状況を打開する手立てがなかった。
一刻も早い援軍の到着が無いと、陥落してしまう恐れがあった。
必死に戦い太陽がだいぶ傾いて来た頃、漸く援軍の第一陣の姿が見えた。




