185話〜東部防衛戦⑧〜
冒険者達と村人達が逃避行をしている間にも、帝国軍の猛攻撃は続いていた。
タイムリミットが近付いている帝国軍は、多大な犠牲を覚悟しての力押しの戦術に切り替えたのである。
犠牲を顧みない攻撃により、徐々に防衛に綻びが見え始める。
その都度ルーセント辺境伯子飼いの精鋭部隊を援護に回すが、数が少ない為にすぐに予備が尽きてしまう。
なんとか絶妙なバランス感覚で残り少ない精鋭ではない予備兵を送り突破を先延ばしにしているが、いずれは突破されるだろう。
朝方から始まった攻防戦は、既に太陽が真上に出ていた。
休む暇もない帝国軍の猛攻に、守備側の王国側は気力で戦っていた。
タフな魔物も疲れを見せ始めたが、それでもまだまだ元気である。
「閣下!駄目です!正門が間もなく突破されます!」
「限界か。仕方ないこの砦を放棄して後退す……何の騒ぎだ?」
正門を突破されたのかと思ったが、この騒ぎは何かが違う。
ルーセント辺境伯は司令部の外に出る。
するとそこには帝国軍の側面を突く一団の姿があった。
数は少なくとも5千は超える。
「味方が間に合ったのか?」
だが、王国軍では無さそうである。
装備はバラバラである為である。
「こうしてはおれん!反撃だ!打って出るぞ!」
ルーセント辺境伯自身も剣を握り、帝国軍に攻勢を掛ける。
帝国軍は急な敵の増援に対応出来ず、次々と兵が倒れて行く。
対応が間に合わない間に、現れた軍勢は帝国軍の司令部に突撃する。
そして敵の将が討ち取られたのか、指揮系統がバラバラになり帝国軍は散り散りになって行く。
ルーセント辺境伯軍も協力して、帝国軍の敗残兵狩りを行う。
そうしないと、幾人かは盗賊となり厄介な者達になる為である。
そうしてある程度の掃討が終わった後、ルーセント辺境伯は増援に来た者達の元に向かう。
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