179話〜東部防衛戦②〜
帝国軍1万8千は渓谷の前に到着した。
奇襲を警戒し、帝国軍は慎重に渓谷内に侵入した。
しかし渓谷を半ばまで越えても奇襲はなく、少しずつ警戒が緩み始めた。
その隙をルーセント辺境伯は見逃さず、奇襲を掛ける。
予め魔獣兵対策に匂い消し等を使い、入念に痕跡を隠していたのが功を奏し、奇襲に成功する。
突然の奇襲に帝国軍は浮足出つ。
ルーセント辺境伯は数では劣る為に、積極的に将を狙って行く。
ルーセント辺境伯軍は日々凶悪な魔物から領地を守る為に鍛え上げられており、王国軍内でも精強な部隊として有名である。
基本的には対魔物に強いが、普通に対人戦も熟す。
基本的に帝国軍は常備兵ではあるが、今回の侵攻に対しては数を揃える為に徴収兵も多数参加している。
それが仇となり、一度混乱し始めた帝国軍は崩壊へと向かう。
混乱を収めるべき指揮官は狙い撃ちされ、指示が出せないでいた。
魔獣兵たちは人よりも魔獣よりの思考に染まった者が多く、本能的に動く為に攻撃して来た敵に対して、一直線に崖に向かって走り出し登り出した。
魔獣兵の相手は冒険者が請け負い、崖上に来る前に対処している。
帝国軍は何とか撤退に成功するが、一千名以上の犠牲者を出し、ルーセント辺境伯軍側は数十名の重軽傷者は出したが、幸い死者は出なかった。
初戦はルーセント辺境伯の勝利に終わった。




