175話〜バトランタ戦③〜
急いで篝火が大量に出されるが、それでも全てをカバーする事は出来ない。
敵は夜目の効く魔物が相手である。
巡回も普段よりも多めにするが、それでも静かに忍び寄って来る。
本部には次々と魔物が侵入した報告がなされるが、姿は確認出来ていない。
「どうやら侵入した魔物は暗く、静かに素早く動ける魔物が中心との事です」
「潜入に特化した魔物ということか」
全ての兵士を起こして備えさせる。
「上空にファイアーボールを放て!」
クヴァルムの命令で一斉にファイアーボールが上空に放たれる。
そして魔物が照らし出される。少しの影の中に魔物は潜んでいた。
攻撃力よりも潜入に特化した魔物が相手なので、兵士たちは姿を見せた魔物達を次々と始末して行く。
少しずつ混乱も収まり始めた時に、外に待機していた第二陣の魔物がやって来る。
こちらは速度を重視したウルフ系の魔物が中心であり次々にこちらに向かって来る。
「クヴァルム様!第二陣が来ました!」
「わかった。魔導機兵を出撃させよ」
3千の魔導機兵が起動し、向かって来るウルフ系の魔物を正確に弓で射撃して行く。
そして本命の魔獣兵がやって来る。
魔獣兵は人間の兵士と魔物を掛け合わせたキメラであり、人間の知性と魔物の能力を使用できる最強の兵士を作り出す事を目標に作られた新兵科であるが、殆どの魔獣兵は理性を失い獣と化した。
一部の兵士は理性を残しており、それらが他の魔獣兵を統率しなんとか規律を保っている状態である。
正面の警戒が薄れた時に魔獣兵300が迫って来る。




