169話〜御前会議②〜
盆地は周囲の大部分を山地に囲まれた土地で,地盤が周辺に対し相対的に沈降した結果形成される平地である。
山地には小さな砦が複数あり、帝国軍が盆地に入れば高低差を利用した矢の雨を降らせるのである。
勿論帝国も何度も同じ戦法で煮湯を飲まされているので、先に砦の方を攻略するべく動いたがそこは既にオルトメルガ王国側でも対策を考えておりまたしても帝国軍は撃退されたのである。
こうした過去もあり、この盆地の侵攻も可能性は低いと考えられていた。
そしてこの盆地の場所は小さな砦が点在してある為に、それを纏めて指揮するのが面倒であり要塞よりも確実に勝てるとは言えなかった。
その為にこの盆地は元々配置されている将の中で、一番序列が高い者に自然と決まった。
そして他にも新たな侵攻ルートが出来た可能性も考慮して、周辺に密偵を放っているが今のところその様な情報もない。
なので一番考えられる可能性はバトランタ領が一番高く、2番目に要塞、そして最後に盆地である。
要塞の方は決まらずに、バトランタの方に援軍を向けるとしてその指揮を誰に任せるかも問題である。
正直旨味も少ない為に引き受ける者は居なかった。
しかし此処でシャルロットが手を挙げる。
「それならば推薦したい者がいる」
「殿下これはお遊びではございません」
「そうです。殿下の騎士団の様に簡単なものでは無いのです。しっかりとした実績と経験のある将軍でないと、ラーバント帝国に対抗するのは難しいでしょう」
そう言って年長者のアドバイスを装い、シャルロットを下に見た発言をする。
「わかっている。ちゃんとした将軍である」
「ふぅ、わかりました。ではその将軍の名前は?」
重鎮達は取り敢えず誰を推すつもりか聞く事にした。
「うむ、その将軍は……」




