161話〜バトランタへの帰郷〜
何とかギリギリ投稿出来ました。
ユウマ、リム、ガンジョーの3人はバトランタへ向かい馬を走らせていた。
迷宮都市から離れる程に、人の往来は少なくなり整備された道から畦道の様に道も狭くなっていく。
だが迷宮都市へ向かって行った行きとは違い、帰りの方が人も多くなっている様に感じる。
順調に進みユウマ一行は無事にバトランタに到着した。
そのまま領主館に行く前に、外見ををクヴァルムに変更しておく。
中でアールとリーゼから報告を聞く。
「問題なく道の整備は進んでいます。当初の予定よりも25%早く進んでいます。領地民も順調に数が増えて来ており現在総人口が4万人に到達しました」
「そうか、でもまだまだ少ないな」
数ヶ月前に比べれば、数倍に人口は跳ね上がったがそれでも領地の規模にしては少ない。
「要塞線の方はどうだ?」
「はい。そちらも順調に進んでいます。やはり間諜の類いも複数現れました。今のところ問題なく処理出来ているとの事です」
「念の為に警戒度を一段階上げといてくれ」
「畏まりました」
バトランタ領の右隣に位置する隣国ラーバント帝国からのみならず国内の他の貴族からもやはり探りの手の者達が来ている様だ。
ユウマことクヴァルムは執務室で自身が迷宮都市に行っていた間に溜まっていた書類仕事をこなして行く。
そうして領地に戻ってから数日は平穏に過ごしていると、ある情報が入って来る。
どうやら帝国内で会議が開かれ、侵攻派の貴族達が再びオルトメルガ王国への侵攻を企てているらしい。
基本的にラーバント帝国が最初に侵攻して来るのは、ここバトランタである。
他の侵攻ルートは長年の争いにより強大な要塞が築かれ、その侵攻を幾度となく跳ね返して来た。
要塞を守る兵士達も歴戦の強者達で油断はない。
対してバトランタは何度も治めていた貴族家が族滅されて来た地であり、クヴァルムに任される前は王都から派遣された代官が治めており、攻められるとすぐに逃げていたのである。
バトランタは守り難く攻め易い地である為である。
そうして幾度となく戦火に見舞わられて来た為に、領民も定着せず開拓と遅々として進まなかったのである。
そこに来てクヴァルムが任され、僅か数ヶ月で立派な領地に変貌させ、国境の防備も着実に準備されたとあれば要塞が完成する前に攻め落とそうとするのは目に見えていた。
現在のバトランタ領軍は数は少ないが、質の面では王国軍に引けを取らないまでに鍛え上げている。
更に魔導機兵もその数を増やし、ラーバント帝国の侵攻に備えている。
後方支援としてアイラ商会など、王国内でも有力な商会としっかりと手を取り合っているので、物資面でも不安はない。
バトランタ領の好景気に、仕事を求めてやって来る者達も増えて好循環である。
全てが今のところ順調に推移していた。




