156話〜地下施設⑤〜
一方その頃
ウェールズ率いる部隊が突入した地下施設は、確かにここで何がしかの実験が行われていた痕跡は見られたが、既に大半の機材や資料が運び出された後であった。
「ハズレか」
「仕方ありません。他の場所が当たりである事を祈るだけですね」
「そうだな。だが、何か見落としがあるかも知れない。隠し部屋などもないか探してくれ」
「わかりました」
「俺は他の場所に応援に向かう」
「了解です。旦那」
ウェールズは数人を引き連れて、他の施設に向かう事にした。
その際に大きな檻を見つける。
「大きいな……。このサイズの魔物がいたのか?居たとしてもどうやって誰にも気付かれずにこの場所に?…………今は考えるのは後回しにして、他の場所に向かうか」
ウェールズ達は急いで他の場所に向かう。
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「そろそろやばいな」
ツインヘッドタラスクとの戦闘は未だに続いていた。
冒険者達は既に手持ちのポーションを使い切り、更には魔力ももう底をついている。
なので、ツインヘッドタラスクの持つ毒攻撃を再度受けると解毒手段が無い。
対してツインヘッドタラスクは、幾つもの傷を付けたが回復力が高く見た目的にはダメージがない様に見える。
だが、動きが次第に鈍くなって来ているので確実にダメージは蓄積されているだろう。
問題はツインヘッドタラスクが、力尽きる前に冒険者達の方が先に限界を迎えそうな事である。
皆疲労困憊であり、もってあと数分と言った所だろうか。
どうするかと悩んでいると、そこに漸くウェールズと他の冒険者達が到着した。
「待たせたな。お前達。あとは俺達に任せて休んでいろ」
「旦那!助かった!」
後退する冒険者達に、ツインヘッドタラスクが毒球を放つが、それをウェールズが防ぐ。
「おっと!お前の相手はこっちだ!」
ウェールズ達が注意を引きつけている間に、先に戦っていた冒険者達は退避に成功する。




