154話〜地下施設③〜
地下施設を進んで行くと、広い円形の部屋に出た。
「ここは……闘技場の様な場所だな」
此処に博士が居たならば「ピンポンピンポン〜!!大正解!まあ、正確には実験体達の性能テストの場だよ〜」と言って居ただろう。
「おい、向こうの扉が開くぞ」
冒険者達が行って来たのとは、反対側の扉がゆっくりと開いて行く。
冒険者達はそろぞれ武器を構える。
そして扉が開いて出て来たのは、頭が二つあるオーガである。
「あれは?オーガか?」
「ああ、通常の個体よりも大きくて頭が二つある事を除けばオーガだな」
「さしずめツインヘッドオーガと言ったところか?」
「油断するなよ?オーガはCランクに該当する魔物だ。それがあんな得体の知れないのになっている」
「ならオーガの上位種と思って対応した方がいいか?」
「ああ、だがそれ以上かも知れない。仕掛けて見ないと分からないがな」
「了解」
リーダーの言葉にパーティーメンバーが気を引き締め直した。
ツインヘッドオーガは、ゆっくりとこちらに近づいて来る。
手には大剣を持っているが、3メートルにもなるオーガが持っていると、普通の片手剣に見えてしまう。
冒険者6人は、オーガを扇状に囲んで様子を見る。
左端の弓使いがオーガの頭に矢を放つ。
反対側にいる魔術士が魔法を放つ。
片方の頭は弓使いを、もう片方は魔術士の方を見る。
ツインヘッドオーガは、どちらにも動かず正面にいるタンク役である、盾持ちの冒険者の目の前に一瞬のうちに移動する。
ツインヘッドオーガ目掛けて放たれた、矢と魔法は目標を失い外れる。
「なっ!?」
「気をつけろ!」
慌てて盾を翳すと、ツインヘッドオーガの大剣の横薙ぎに盾使いはそのままの勢いで吹き飛ばされる。
「援護してくれ!」
剣士のリーダーが、追撃はさせまいとツインヘッドオーガの横から斬りつけるが、しっかりとその動きを把握していたツインヘッドオーガは、難なく大剣で剣士の剣を受け止める。
その隙に、斥候がツインヘッドオーガの片方の頭の目を目掛けて矢を放つ。
それを鬱陶しそうに残った片方の手で、払おうとした隙を突いて、槍使いの冒険者がその脇腹に槍を突き刺す。
「GAAAAA!!」
槍を刺した冒険者に片方の頭が向いたが、そこにファイアーボールが命中する。
そしてよろけた所に、仲間に回復魔法をかけられて戦線復帰していた盾使いが、シールドバッシュを食らわせる。
するとツインヘッドオーガは体勢を崩して倒れる。
そこへ素早く剣士が近寄り、ツインヘッドオーガの片方の頭を切り落とす。
だが、まだ頭は一つ残っている。
「ふぅ、もう少しだ。まだ魔力は大丈夫だな?」
「ええ、大丈夫です」
「こちらも大丈夫です」
「よし!行くぞ!」と気合を入れて駆け出そうとしたが、扉の奥から何かが近づいて来る。
そこから姿を表したのは、ツインヘッドオーガが更に三体であった。
「おいおい、冗談だろ?」
そう思ってしまうのも無理はない。
しかし冒険者側にも援軍が現れる。
他の冒険者達と衛兵隊が突入して来たのである。
「待たせたな」
「よく来てくれた。気をつけろ手強いぞ」
「了解」
気合を入れ直して武器を構える。




