153話〜地下施設②〜
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
今回の作戦はスピードが大事である。
逃げられる前に出来る限り、関係者を捕まえる必要がある。
襲撃時刻も合わせる必要もあり、とてもシビアである。
だが、そこは選りすぐられた冒険者達である。
既に所定の位置には到着しており、あとは合図を待つだけであった。
そして狼煙が上がったのを確認した冒険者達は、動き出す。
アジトの警備として、チンピラを装ったりしている敵を倒して行く。
今回は強襲部隊にも役割があり、警備達を引きつける役と中に突入する部隊である。
素早くアジトに侵入すると、急いで証拠類の確保に向かう。
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「ふんふ〜ん♪。今回はこの配合を試そうかな〜。いや、それともこっちかな?」
地下のアジトの一室で、研究者の男が捕まえて来た魔物を見ながらどうするか楽しそうに吟味していた。
「どんなタイプにするかな〜。スピードタイプ?それともパワータイプかな。いやいや、今回は試したことのない飛行タイプにするかな」
「博士。あんまり時間も残されていませんので、今回はより従順で言うことを聞く個体を作って下さい」
「わかっているよ〜。帝国の来るべき作戦の為だろう?仕方ない。今回は我慢してこの配合にするかな」
比較的手に入りやすく、従順な個体を作りやすいゴブリンをベースにする事にした。
「あとは用途を考えて昆虫タイプと配合をするかな。静けさを考慮して、スパイダーアサシンにするかな。う〜ん。ゴブリンと昆虫タイプだと、命令には従いやすくはなるけど、応用力とは自分で考える頭が低くって言うか、ぶっちゃけるとないんだよね〜。それでも良いの?」
「ええ、今は数を揃える事を優先して下さい」
「わかったよ〜。ん?この音は」
「どうやら侵入者の様ですね。博士逃げますよ」
「待って待って〜。ちょうどいいサンプルじゃない?試したい実験体がいたんだよね〜」
「まさかあれですか?戦闘力は高いですが凶暴で、廃棄が予定されてましたよね?」
「そうだね〜。でもせっかくだから何もせずに処分は勿体ないよね?貴重なデータを取れる機会だよ〜」
「それでも危険すぎます。本来なら此処に連れてくるのも反対でしたのに、博士が現地じゃないとやる気が出ないと無理に言って、王国に侵入したんですよ?これ以上は流石に」
「えぇ〜!いいじゃん。モチベーションは大事だよ?やっぱりすぐに試せて結果がわかった方が、効率的でもあるし〜。そんなに怖い顔しないでよ〜。わかったよ。直接は見ないから後でちゃんと報告してよね」
渋々と言った感じで、博士と言われた白衣姿の細身の男は、誘導に従ってアジトから逃げ出して行く。
「ふぅ〜。優秀ではあるが、あの性格はどうにかならないものだろうか」
疲れた顔をした男は、気を引き締め直して残った証拠類の破棄に動き出す。
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