149話〜調査依頼④〜
無事に冒険者ギルドに異常個体のサンドゴブリンの引き渡しは終わった。
そしてユウマ達以外の、他の冒険者パーティーも次々と異常個体の魔物を捕獲して来る。
だが、異常個体はだいたい一週間程度で力尽き死んでしまう。
魔物専門の解剖師が調査した結果、異常個体は突然変異やダンジョンの変化で生まれたのではなく、人為的に作られた可能性が高いと判断された。
この事はウェールズは下の者達にはまだ知らせなかった。
先ずはギルドマスターに判断を仰ぐ事にした。
現在ギルドマスターは所用で迷宮都市を離れているが、あと数日で戻って来るのでそれまでに資料の作成を行う。
迷宮都市の有力な者達を集めての会議を、ギルドマスターが帰還してから行う予定である。
それから数日後には、ギルドマスターが帰って来たので調査報告を行う。
「なるほど。儂が暫く離れている間にこの様な事が」
そう言いながら資料をパラパラとめくっていく。
「すぐに会議を開こう」
「わかりました」
こうしてすぐに会議が開かれた。
だが、現状分かっていることは少なく方針だけが決まった形である。
仮に人為的に作られているなら、ダンジョンの中での可能性が高い。
だが、都市の中に秘密の実験室がある可能性も考慮して衛兵に協力を仰ぎ調べる事になった。
こうして調査は始まったが、遅々として状況は進展しない。
何故なら、迷宮都市は他の都市の様に区画整理などがされておらず、所々で曲がりくねったりと迷路の様な構造である為である。
これには迷宮都市が出来た経緯による。
元々はダンジョンから魔物が出ないようにと、砦が作られそこに商人が食料などを運び込み、砦の補修や増築に民が連れて来られ、その民が暮らす為の建物が出来てを繰り返して、村になり町になりと大きく成長していき都市へと成長したからである。
それに万が一魔物がダンジョンから出た場合も、時間稼ぎの為にわざと入り組んだ地形になっているのである。
そして迷宮都市は人の出入りも多いので、犯罪者も自然と集まり都市内全てを把握している者は居ないと言われている。
その為に捜査は難航しており、遅々として進まないのである。
そうして数週間が経った。




