145話〜異変②〜
ビルナ達が部屋に入ると、ウェールズは書類から顔を上げてこちらを見る。
「お、ビルナ。どうした?」
「どうした?じゃないさ。ウェールズの旦那」
そう言って部屋の中に入って行く。
「すまないが、人数分のお茶とお茶菓子を頼む」
案内してくれた職員にウェールズはそう言うと、職員は一礼して部屋を出て行く。
「それで要件は?」
「わかってるだろ?」
「異変の件か」
「そうだよ。暫く潜っていて、戻って来たらこの騒ぎさ。そりゃあ気になるさ」
「わかった。だがその前に」と言ってチラリとユウマ達を見る。
「ん?ああ、ユウマ達かい。彼らは信用できるよ。アタシが保証する」
「わかった。お前がそう言うなら信じよう。話はお茶が来てからにするとしよう」
そう言ってウェールズは手元の書類を片付け始める。
ウェールズがちょうど書類を片付け終わったタイミングで、職員がお茶とお茶菓子を人数分持ってやって来た。
ウェールズが礼を言うと一礼して去って行く。
「で、聞きたいのは新種の話か?」
「そうだよ」
「まあ、新種と言ってはいるが変異種に近いとは思っている。だが一番の違いは魔石がない事だ」
「それなら召喚獣とかの線はないのかい?召喚獣は魔石を残さないだろ?」
「初めはそうかと思ったが、数が数だからな。仮にあの数を用意するとなると………一国の召喚使いだけではとても数が足りないな。それに召喚獣はある程度術者から距離を離れる消えるからな。だから無理があるな。
それに姿形も今いる原種と言えばいいのか?普通のゴブリンにコボルトの手が生えてたりと、無理矢理繋ぎ合わせたかのようなチグハグさがあるんだよな。
一番可能性が高いのは人工的に作られた可能性だが、そうなるとどうやって動かしているのかが気になるな。
代表的な例で言うと、ゴーレムは人工的に作られた存在と言ってもいいが、必ず魔石がある。
あれが動力源だからな」
そう言ってウェールズは悩む。
「こちらが今知っている情報はこれだけだ。それで俺としてはお前達、麗しの薔薇にこの騒動の元凶を突き止めて欲しいと思っている。まあ、簡単な情報の獲得でもなんでも良い。とにかく今は情報が欲しいのだが、この依頼を受けてはくれないか?」
「まあ、ウェールズの旦那の頼みなら仕方ないね。そう言うわけでユウマ達はすまないけど」
「いえ、大丈夫です。この依頼は他の冒険者にも出すのですか?」
「そのつもりだ。だが、念の為にDランク以上の者達にするつもりだ」
「わかりました。ありがとうございます」
この日はダンジョンから戻って来たばかりであるので、宿に戻り調査は翌日以降と言う話になった。
明日には依頼を出す予定なので、ユウマ達もそれを受けるつもりではいる。
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