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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第1章〜辺境都市ウラカ〜
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幕話〜ギルド〜

 



 ➖クレミール➖



 ユウマ達が去ったあとクレミールはギルドマスターにこの事を報告する為の書類を纏める為に二階に上がると、廊下からフラフラと覚束ない足取りで前からリリアとカーシャがやってきた。



 二人の顔は生気が抜け落ちまるで幽鬼のような顔になり心なしか体が透けているようにもみえる。




 もし夜中に出会っていたら間違いなくレイスと間違えるだろう負のエネルギーを感じ話しかけるのを憚らせた。



 だがクレミールはその程度の事では動じなくなっていた。



 普段クレミールが秘書として仕えてるこのギルドのマスターはとてつもない奇人である。


 その為ある程度の耐性は持っている。


 それにこの様な光景は幾度となく見てきた。


「お二人ともお疲れ様です。ですが自業自得ですよ?これからはミスがない様により一層職務に励んで下さい」


 二人はゆっくりと顔を上げ「は、い」と紡ぐと力尽きたのかその場で倒れこんでしまう。


 その光景をみたクレミールは「こんな所で寝たら邪魔ですよ。それともさらにペナルティが欲しいですか?」その言葉に二人は弾かれた様に立ち上がり「「いえ、大丈夫です!これより職務に復帰します!」」言うが早いか階段を駆け下りていった。



「はぁ走るんじゃありませんよ、これはまた罰が必要ですかね?くふふ」そう心底楽しそうにクレミールは呟いた。


 彼女はギルドマスターの所為で常日頃から、過度なストレスを与えられた、お陰か性格が少しばかり歪んでしまい。他者を虐めるのが楽しくて仕方なくなってしまった。



 その毒牙にかかった幾人かの男性職員は、クレミール教という怪しい宗教を立ち上げクレミールを信奉して日夜クレミール様のあの蔑む目がいいとか。踏まれたいなどかなりやばい方向に向かっており、冒険者の中にも信者が増え次第に信者の数を増やしその勢力を日々強めている。


 更に厄介なのが、この都市の警備隊の中にもかなりの信者が、おり取り締まる側が逆に布教に力を貸す状態になっている。


 こうなっているとは当の本人のクレミールは全く知らない。


 その為この都市では本人の知らない所で氷の女帝と呼ばれ一目置かれている。



 なぜ氷かというと普段氷の様に冷たい態度でギルドマスターに接している様子と青い氷の様な目をしているからついた二つ名だ。



 ➖グンナイ➖


「ふぅこれで話は終わりです。二人とも職務に戻りなさい」



「「はい、失礼しました」」


 バタン扉が閉まり部屋にはグンナイ一人だけになった。



 コンコンと窓を叩く音が聞こえそちらを向くと窓にカラスが止まって嘴でつついていた。



 グンナイは窓に近寄り窓を開けた。


 すると中にカラスが入り嘴を動かし「で、お主から見てあの小僧はどうじゃった?」と老人の声が聞こえた。


「ユウマくんですか?そうですね見た感じですよ他国のスパイでは無さそうですね。それに本当にスパイだとしても他国が貴重な職業持ちの彼を派遣しますかね?」


「まあ、それもそうじゃなまあ一応監視は付けといた方がええじゃろ。儂はまだ暫くはそっちには戻れんからのぅ」


 その言葉に苦笑しグンナイが「ギルドマスターともあろう方がご自身の趣味の為に長期間職業をほっぽっていいんですか?」



「あ〜煩いのうクレミールにも散々言われたわい、だが今もう少しで新種の昆虫が見つかりそうなんじゃだから、何と言われようと例えその都市が魔物に襲われようと帰らんからな!」



 そうこの声の主はギルドマスターで、趣味というか生き甲斐が未知への探求であり時折ふらっと旅に出ては新しいポーションを開発したり、新種の魔物や生き物を発見したりとの功績がある為に、ギルドマスターを辞めさせる事もできない、かと言って国に縛られるのも嫌う為国にからの打診も悉く蹴り悠々自適にすごし、そのしわ寄せがクレミールに押し寄せる為クレミールは幾度かギルド本部に転勤の打診をしているが、全て却下されている。


 この理由はクレミールしかこのギルドマスターを制御できない為である。



 実際何やかんやと言ってもクレミールが本気で怒れば、その迫力に各国の王の要請さえ平然と無視するこの、ギルドマスターを従わせる事ができる。



 その為このギルドマスターは、クレミールが本気で怒り出す前の絶妙なラインで必ずギルドに戻りたまった書類仕事等を素早く終わらせてまた逃亡する。



 その為クレミールは余計にストレスを抱えそれを部下で発散して、また一人信者を増やすという悪循環に陥っている。


 因みにこのギルドマスターとグンナイはクレミール教の事は知ってはいるが触らぬ神に祟りなしとばかりに関わろうとはしない。



「そんな事を言っても良いんですか?クレミールに知れると怖いですよ?」


「うっ、何じゃお主儂を脅すつもりか儂は屈せぬぞ!クレミールなんぞもう恐れてはいない!」


 と翼を広げ高々と掲げてみせる。


 因みにこのカラスはギルドマスターが精神体を憑依させ操っている。



「へぇ〜そうなんですか?」



 凍える様な冷たい声が聞こえ恐る恐る振り返るとそこには微笑みを携えたクレミールが立っていた。


 顔は笑っているが目は笑っておらずその背後には般若がいた。



 これはやばいと思ったグンナイは素早くカラスに憑依したギルドマスターから距離を置いた。



 ギルドマスターは素早く翼をはためかせ、飛び立とうとしたが時既に遅くクレミールに囚われクレミールは笑顔で「今日から3日以内に戻ってこないとただじゃ済まさないですよ。うふふ」と死刑宣告にも等しいこと言葉を淡々と告げてきた。


 その宣告に「ま、まてクレミールよ今儂がいる場所からだとどんなに急いでも5日はかかるだからもう少し時間をくれ」



「駄目ですよマスターでは頑張って下さい」



「そ、そんなぁ〜〜」



 カラスはがっくりと項垂れてしまった。


「さてグンナイさん?」


 ビクリと思わず肩が震えてしまった。


 単純な力ではグンナイとクレミールには圧倒的な開きがあるが、この状態のクレミールには勝てる気がしなかった。



「な、何でしょうか?クレミールさん?」


 普段グンナイはクレミールと呼んでいるがこの状態の時は必ずさん付けしているそれほど恐ろしく感じるのだ。


「貴方もそろそろ職務に戻ったらどうですか?それとも何か?罰がほしいですか?」



「いえいえ、とんでも御座いませんすぐに職務に復帰いたします」



 グンナイはすぐさま動き出した。



 ふぅ危うくとばっちりを受けるところでしたね。


 危ない危ないさてと仕事に戻りますか





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