134話〜模擬戦・リムvsナディア〜
リムの武器は短剣二本と、他にも投げナイフなどが身体のあちこちにある。
一方のナディアは棒一本である。
「ディアナ。ナディアは魔法戦が主体なのか?」
「はい、そうです。ナディア様は族長の一族ですので、他の者達よりも魔力量は多いので、自然と魔法の扱いに長けて行きました」
「なるほど」
確かにナディアは、華奢である。
アレでバリバリの前衛です!と宣言されたら驚くだろう。
二人が開始位置に着いたので、ユウマが審判として動く。
「ルールは先程と一緒だ。二人とも用意は良いな?」
二人が頷いたのを確認して「よし!始め!」試合の開始を宣言する。
ナディアは詠唱しながら、距離を空ける為に更に後方へ下がる。
一方のリムは対照的に、投げナイフを投げ牽制しながら、ナディアへ接近する。
ナディアは投げナイフを器用に、棒で叩き落とし時には弾き返すが、その弾き返されたナイフはリムが素手で掴み取り、再び投げて来たのでナディアは全て叩き落とす。
それもリムの進路上よりも離れた場所へだ。
それにナディアが後方へ下がるスピードよりも、リムが接近するスピードの方が速い。
更にナディアの詠唱はまだ完了していない。
これでは詠唱が完了する前に、リムが速くナディアに到達するだろう。
だが、何とナディアは二重詠唱を行う。
どうやって発音しているのか、不思議でならない。
もしかしてナディアは二枚舌なのか?とディアナに視線を向けると「弛まぬ努力の結果、会得した技です」と返答する。
そして短い詠唱を唱え終わると、地面の土が蠢いてリムの足を絡めとる。
だが、リムは強く地面を踏み抜く事で、土を払い除けて再び走り出すが、数秒ロスした時間は大きく、長い(ナディア視点では長いが、普通の魔術士視点では十分に速い)ナディアの詠唱が終わる。
そしてナディアから放たれたのは、轟音であった。
あまりのスピードに、音が遅れて来たのである。
放たれた風魔法の有効範囲は、ナディアの前方180度である。
流石のリムもこれには吹き飛ばされたかと思ったが、砂煙が晴れるとナディアの上から、飛び出した来た。
身体のあちこちに擦り傷や打撲を作ってはいたが、致命者は一つも無さそうですある。
一方のナディアは、魔法を放ち気を抜いた所であったので、対処が遅れて首筋に短剣を添えられてしまう。
「そこまで」
ユウマが模擬戦の終了を宣言する。
リムが吹き飛ばされなかったのは、地面にある二つの穴が理由である。
あの穴は、リムが咄嗟に地面に二本の短剣を突き刺して、体を倒して風魔法の爆風を耐えたのである。
その後の結果は戦闘経験の差が出た。
ナディアは族長の娘とあり、最前線で戦う事は無く、常に守られているので今回のように一対一の場合は、詰めの甘さが出てしまったのだろう。
今後の課題と言えるだろう。
「ふぅ〜。吃驚したっスね。少しでも反応が遅ければ、吹き飛ばされているところっス」
「あの……お怪我は?」
「ん?こんなの擦り傷っスよ。気にしないで下さいッス」
「あ、あの、私治癒魔法も出来るので、掛けさせて下さい」
「そうっスか?なら頼むっす」
ナディアが呪文を詠唱すると、あっという間にリムの怪我が治った。
「ほぉ〜。ナディアっちはいい腕っスね」
「ナ、ナディアっちだと!?ナディア様に向かった流石に「嬉しいです」……えっ!?」
ディアナは衝撃のあまり、固まってしまう。
「そうっスか?」
「はい。今までその様に呼んでくれた人は居ませんから。そ、その友達見たいですし」
「何言ってるっスか?みたいじゃ無くて、もう友達っスよ」
「あ、ありがとうございます。リムさん」
「リムで良いっスよ」
「な、ならリムちゃんで」
「りょーかいっス」
何だかんだで二人は仲良くなる。
流石はリムだ。相変わらずのコミュニケーション能力である。
人懐っこいのか、すぐに相手の懐に入る手腕は、見習うべき点である。
まあ、本人には言わないが。言えば必ず調子に乗ってミスをするのは火を見るより明らかである。
次は組み合わせを変えて、ガンジョーとナディア。リムとディアナに変えて見るか。
だが、ガンジョーの一撃を喰らえば、ナディアは吹き飛ばされそうな気がするな。
だが、ナディアはやってみたいと言っているしな。
こうして相手を変えて、模擬戦が行われた。
先ずは、ガンジョーとナディアが模擬戦を行った。
結果から、ガンジョーが勝利した。
ナディアは魔法を放つが、ガンジョーは全て真っ向から受け止めて進み、ナディアに近付いて戦鎚を向けると諦めて負けを宣言した。
次は、リムとディアナの模擬戦は二人共スピードが速いために、高速戦となった。
目にも止まらないスピードで、動き回り最後は力が強いディアナの勝利となった。
「うん、ディアナは流石だな。だが、いささか猪突猛進気味だな。ナディアは近接戦を鍛えよう」
二人の訓練方法もわかった。
これからこのパーティーは、もっと成長して行くだろう。
「だが、訓練はまた今度だな。麗しの薔薇の人達と、先にダンジョンに潜らないと行けないから、今はダンジョン内での動き方を確認しよう」
残りの時間は、ダンジョン内での戦闘訓練を積んだ。
お読み下さりありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
これからもありましたら、宜しくお願いします。




