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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第4章〜迷宮都市アザゼル〜
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128話〜奴隷売買〜

 壇上に上げられた奴隷達のうち、一人に自然とユウマの目が行く。


 それは手枷を嵌められ、襤褸を着たダークエルフの女性であった。


 それはユウマが理想とするプロポーションを持つ女性であった。


 少し薄汚れていたが、綺麗になれば輝く様な銀髪になるだろうと思われる髪に、アメジストの様に光り輝く紫色の瞳に、健康的な褐色の肌をしていた。


 それに身体つきから歴戦の戦士を思わせる。


 司会者が次々と壇上に上げられた奴隷の紹介をして行く。


 そして彼女の番になる。


「次は、ダークエルフ族の戦士ディアナです。彼女は戦士長の位で我々人族の軍隊に当てはめると、将軍の位です。卓越した魔法と華麗な剣術を使う魔法剣士です。長き間ラーバント帝国軍と戦い抜いた歴戦の勇者です!それでは小金貨50枚から始めます!」


「53枚!」


「60枚!」


「64枚!」


「70枚!」


「72枚!」


「78枚!」


「85枚!」


「90枚!」


「金貨1枚!」


「5枚!」


「8枚!」


 と次々と参加者達が値段を上げて行く。


「金貨13枚!他にいませんか?」


 ユウマも手を上げて「30枚!」と告げる。


「出ました!金貨30枚!他には!………いらっしゃらない様ですね!落札!金貨30枚で落札です!」


 金貨30枚と大きな出費をしたが、ユウマに後悔はない。


 すぐに金を払い引き渡される。


 その時に奴隷が主人に逆らわない様に、呪印の登録情報をユウマに書き換える。


 長身でありプロポーションが良い彼女は無言である。


「ディアナだったな。俺はユウマだ。これから宜しくな」と挨拶する。


「ディアナだ。不躾で申し訳無いのだが、次に出て来るダークエルフの少女を買ってはくれないだろうか。私に出来る事なら何でもする!頼む!」


 そう言ってディアナは深々と頭を下げる。


「事情を聞いてもいいか?」


「勿論だ。これから壇上に上がるダークエルフの少女は、私が忠誠を誓った一族の最後の生き残りなんだ。頼む!詳しい話は後ほど必ずする!」


 ディアナがそう言っている間に壇上にダークエルフの少女が立たされる。


 見た感じ12、3歳の年頃だろう。


 目は無気力で絶望に染まり、希望を見出せない者の瞳である。


 次々と司会者が壇上に上がった奴隷を競売に掛けて行く。


 そして少女の番が来た。


「では、次にご紹介致しますのはダークエルフ族の姫君ナディア王女です!」


 ティアナの登場に何人かの者達の目が鋭くなる。


「彼女は穢れもしらない清い身体でもあり、ダークエルフ族の族長一族の系譜に連なる者を考慮しまして、金貨3枚から開始します!」


「5枚!」


「8枚!」


「10枚!」


「13枚!」


「25枚だびょん!」

 とここに来て、でっぷりと肥えたガマガエル顔の男が名乗りを上げた。


「おい、アレってガマール商会のバカ御曹司じゃないか?」


「ああ、あの醜い顔は間違いねぇ。この間夜間の警備兵に魔物と間違えられてた程だからな」


「マジかよ?それにしてもアイツに買われたら最悪だよな。嗜虐趣味でこれまで何人の奴隷を使い潰して来たことか」


「ああ、特にああした抵抗も出来なさそうな、小さな女の子を好んで買うらしいからな」


「可哀想に」


 そう言って二人組の男は去って行った。


 兎に角あの男にだけは渡してはなるものかと、ユウマも参加する。


「27枚!」


「35枚だびょん」


 独特の語尾をつけてガマガエル男も金額を言う。


「40枚!」


「出ました40枚です!さあ!他には!」


「うぬぬ!邪魔をするなだびょん!ボクちんは50枚だびょん!」


「55枚!」


「ぐぬぬ」


「若様。これ以上は旦那様から」


 護衛に何やら耳打ちされている。


「しょうがないだびょん」


 ガマガエル男は悔しそうにこちらを睨みつけて去って行った。


 闇討ちしそうなので、監視の目を付けて置くように思念で部下に命じて置く。


「さあ!55枚です!他にはいませんか!いませんね!では落札です!」



 その後は諸々の手続きを終わらせて正式にナディアとディアナがユウマの奴隷になる。


 とりあえず二人を連れて宿屋に戻る。


「ナディア王女。ディアナで御座います」


「ディアナ……。妾はこれからどうすれば良いのですか?」


「ナディア王女。今は試練の時です。耐えるしか御座いません」


「あ〜。話の最中に悪いけど、どう言う事だ?」


「そうだな。貴殿には礼を言わねばなるまい。我らダークエルフ族の里はラーバント帝国に程近い場所に存在していてな。いや、正確ではないな。ラーバント帝国が版図を広げて我々の里に近づいたと言うべきか。我々は森の民であり、巧みに森林を利用してラーバント帝国の脅威から里を守り続けていたが、痺れを切らしたラーバント帝国は化け物を出して来たのだ。アレはただ一人で我らの里を焦土と化した本物の化け物であった」


 ディアナから語られたのはこうなった経緯である。

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