125話〜森林エリア01〜
その後はレッドヨルスタインは現れず、時折ヨルスタインを見かけたが、捕獲はせずに素通りして次の階層を目指して進んだ。
漸く見つけた階段を降りて下に行くと、鬱蒼と生い茂る森であった。
「ここは森林エリアだよ。此処には数多くの果樹があってね。季節に関係なく様々な実が生っているよ」とビルナが説明してくれる。
「ここの果物は美味しいの。本当なのよ?だから、此処に来たらいっぱい持って帰るの」と普段口数が少ないミリナが饒舌に語り出した。
そして早速とばかりに近くの果物を採取して行く。
「ふふ、早くしないと全部ミリナに取られてしまいますよ」と言いながらジュリーも動き出す。
よく見ればキャミーもいつの間にか行動しており、果物の既に何個も手に持っていた。
そしてビルナも近くの木から実を取っていた。
「………じゃあ俺たちも取るかな」
そう言ってユウマ達も果物を取る。
時々、スネーク系の魔物が襲って来るが全て返り討ちにして果物を採取して行く。
「よし!そろそろ次の場所へと移動しようか」
ビルナの言葉に果物の採取をやめて次の階層を目指して進む。
特に問題なく進んでいると「この階層の頂点が来たなの」とミリナが告げる。
「数は?」
「数は一体なの。前方300メートル先なの」
目を凝らして見ると、前方に巨大なナニカが確かにいる。
「あれは?」
「あれはバーサークベアだよ。そこらの剣よりも鋭い爪と、人一人ぐらい楽々弾き飛ばせる腕力を持った魔物だ。特徴は血の匂いこれは、自分の血や獲物の血関係なしに血の匂いを嗅ぐと目が赤く染まって凶暴になるんだよ。目が赤くなると多少の傷では意に介さずに暴れる暴君さ。更に攻撃力も上がるから注意が必要だよ。この広い森林エリアに広範囲に生息しているが、個体数はそれほど多くないから、5回潜って一回遭遇するかどうかだね。もっと下の階層に行けば、ウジャウジャいる階層もあるけど今は関係ないさね。それでどうする?迂回するかい?それとも挑戦して見るか?」
ビルナの質問にユウマは迷わず即答する。
「勿論挑戦しますよ。この先出会ったからと逃げて居ては話になりませんからね。それに下の階層に行けば嫌でもぶつかるのでしょう?なら、此処でどんな魔物か体験しといた方がいいでしょう?」
「そうだね」
ビルナが賛成した事もあり、ユウマはリムとガンジョーを連れてバーサークベアの方へと向かう。
向こうはこちらに気付いておらず、無防備に背中を見せている。
周りを確認したが、どうやら他には魔物はいないようだ。
風下を確認して、そちらから近付いて行く。
それぞれ配置に付いた所で二人に攻撃の合図を送る。




