121話〜ダンジョンへ〜
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ビルナの話の内容は要約すると、ダンジョンのボス部屋らしき場所に到着したが、その扉を開けるには最低でも6人必要であり、ビルナ達のパーティーは4人であるために、その扉を開く事が出来なかった事が理由の一つ。
次に他のパーティーを誘うにも、トップパーティーは皆メンバーが固定化されているので、そこから借りて来るのも難しく、一つのパーティー全員を呼ぶと分け前で揉める可能性がある事。
更にビルナ達は若くそして女性だけで構成されたパーティーの為に、侮る輩が多くその為に中々いい人材が居なかったのである。
そしてビルナ達は別にトップパーティーからじゃ無くても、新たに訪れる冒険者達と協力すれば良いと結論に達したが、中々いい人材が現れず、逆にこちらが育てれば良いのでは?と思い鍛える事にして、そしてお眼鏡に叶ったのが、ユウマ達であるらしい。
「なるほど。事情は理解したました。こちらにはメリットしかありませんね。宜しくお願いします」
「おう、納得してもらえた様で良かったよ。早速明日からバシバシと鍛えて行くからな!今日は英気を養うのと、お互いをもっと知る為に飯でも食いに行くぞ!ここの飯は美味いからね!」
そう言ってビルナに半ば強引に食堂に案内される。
「いやあの、まだ宿の確保が」と言ったら、此処の一室を借りれば良いと言われた。
一応資金的には問題がないが、ユウマのランクはCであり、リムとガンジョーは冒険者に成り立てである。
そんな俺たちがアザゼル最高の宿に泊まるのは外聞が悪そうだ。例えユウマがクヴァルムとしてならそこまで悪目立ちはしないが、流石にそれは今は出来ない。
「ビルナ。それは無茶よ。後で私の知り合いが経営している宿を紹介するわ。私の紹介状を見せれば混雑していても大丈夫な筈よ」とジュリーから有難い申し出を受けた。
だが、そう言えば宿は初めの方に確保していた事を思い出す。
その事を伝えると「なら明日は私が紹介する宿に移動したら良いわ。そこの方が此処に近いからお互いに便利な筈よ」と言われたのでそうする事にした。
その後は晩御飯を馳走になり、確保した宿に向かう。
■
翌朝に宿を引き払いジュリーに紹介された場所に行き、紹介状を見せると一番良い部屋を用意された。
ビルナ達の高級宿よりは劣るが、それでもアザゼル内でも上位の宿であろう。
紹介状のお陰で何割か値引きもしてくれた。
改めてAランク冒険者の凄さを認識する。
そんな人物達と知己になれた幸運にユウマは、神に感謝したくなった。
例えこの残酷な世界へとユウマと妹のアゲハやその友人を呼び寄せた存在だとしても。
おっと話が逸れたな。
「さて、今後の方針だが此処のダンジョンで鍛える。そうだな……取り敢えずはダンジョンの30階層踏破を目標にするぞ。其処を超えて漸く一流の探索者と呼ばれるらしいからな」
探索者はダンジョンに潜る冒険者達のことを言う。主にダンジョン専門の冒険者の事を指すが、近年は沢山の冒険者が専門では無いが、潜る為にその定義はあやふやである。
だが、30階層を突破すれば正真正銘の探索者と呼ばれる事になる。
なので皆30階層を目標に潜るのである。
「わかったっス」
「………」
2人の了解も得た所で今日は一休みする事にする。
一休みした後、待ち合わせ場所の冒険者ギルド前に行くと既にビルナ達は待っていた。
「遅れました」
「いや、あたしらもさっき来たとこだ。今日はダンジョンの浅い階層に潜ってお互いの連携を高めようと思うが、いいかい?」
「ええ、問題ありません」
「じゃあ行くよ」
人生初のダンジョンである。どんなところか好奇心を抑えながら向かう。
ダンジョンの入り口前には立派な防壁が気付かれていた。これはダンジョン内から魔物が溢れ出した時に、それを防ぐ為の役割を持ち防壁の上には大弩がダンジョンに向けて15基も設置されていた。
少々過剰戦力では?と思ったが此方での常識にはまだ疎い部分もあるので黙っているが、ユウマの視線を追ってビルナが質問して来た。
「少し過剰じゃないかって、思ってるのかい?」
「まあ、そうですね」
「でも、別に此処だけが特別って訳じゃあないよ。だいたい何処の迷宮都市もこんな感じだよ。ダンジョンは何が原因かまではまだわかってないけど、100年に一回早ければ数十年に一回何処かのダンジョンから魔物が溢れ出す事が起こるのさ。そうなったら国を挙げての討伐になる。
小さな国なら下手したらそれだけで滅びることなんてざらさ。
だからどの国もダンジョンの管理には神経質なぐらい力を入れるけど、ダンジョンばかりに構って居られないから、そこに街を作り冒険者を呼び寄せて冒険者にダンジョンに入る許可を与え、ダンジョンに異常がないか確認させてるんだよ。
まあ、ダンジョン産の物は何でも高く売れるのも利点の一つではあるけどね」
そうビルナが説明してくれる。
そして立派な防壁を抜けて進むと冒険者ギルド出張所がある。そこで冒険者のギルドカードの提示と潜る大凡の日数を告げる必要がある。
ギルドカードの提示と日数を告げた後、いよいよダンジョンに入る。
ダンジョンの入り口前には既に沢山の冒険者が集まり順番待ちをしていた。
「ダンジョンには転移結晶と呼ばれる不思議な物があってね。それに触れると次回からは触れたことのある転移結晶に自由に転移する事が出来るんだよ。ダンジョンの入り口にはその転移結晶が複数あるから、それに触れて転移して行くんだよ」
「それはどう言った仕組み何ですか?」
「さぁ?細かい事は知らないねぇ。お偉い学者様達が研究しているけど、未だに全ては解き明かすことは出来ていないみたいだよ。それと不思議なもので転移結晶はダンジョンの外に持ち出すとその効力の一切を失いただの結晶になるらしいよ。
再びダンジョンに持ち込んでも使えなくなっているから、転移結晶の持ち出しは重罪だよ。それもあってDランク以上からしか入る事は許されて居ないんだよ。まあ、例外もあるけどね」
「わかりました」
「さて、今回はあんたらは初めてだから、こっちの階段から行くよ」
ビルナの指差す方を見ると確かに階段が見える。
そちらは転移結晶の方に比べれば格段に人の数は少ない。
「因みに転移結晶は各階層毎ではなく、何故か5階層ごとにあるからね。まあ、今回は一層や二層でダンジョンに慣れて貰うつもりだからね」
「ええ、わかりました」
階段の方に向かい降りて行く。
いよいよだ。
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