118話〜新たな出会い
冒険者ギルドに辿り着くと、そこには沢山の冒険者で溢れかえっていた。
「流石は迷宮都市アザゼルだな。こんなにも沢山の冒険者がいるとは」とユウマが感心していると、後ろから声が掛けられる。
「もしかしてお兄さんは、此処に来たのは初めてなの?」
後ろを振り返ると、魔術士風のローブを着た小さな女の子がいた。
「ああ、そうだがお嬢ちゃんは?」
「お嬢ちゃんじゃないなの。私はミリナなの。私は淑女なの。それにエルフだから若く見えるだけで、経験豊富なの」
「それは失礼した。俺はユウマだ。それと確かに此処は初めてだがどうしてわかった?」
「簡単なの。普段はこんな時間に此処まで冒険者は多くないなの。今回は遠征軍が来てるから特別人が多いだけなの」
「なるほどね。それでミリナは見たところ一人なのか?仲間は居ないのか?」
「いるなの。他のみんなは先に中にいるなの。私は少し私用で遅れただけなの。ユウマは此処が初めてなら、レクチャーしてあげてもいいなの」
「それは助かる。ダンジョンは初めてだからな」
「任せろなの。此処は冒険者の先輩としてお姉さんが手解きしてあげるなの」
「うわぁ!可愛い人っスね!」
それまで黙って居たリムが声を上げる。
「あっと、紹介が遅れたが、この小さいのがリムで、大きいのがガンジョーだ。二人ともこれから冒険者になる予定だ」
「そうなの。よろしくなの。それとリムは見所がありそうなの」
褒められて嬉しいのか、ミリナはリムの事を気に入ったようだ。
「三人とも付いてくるの。皆に紹介するの」
ミリナは人混みを器用に避けながら、進んで行く。
小さいので見失わない様に注意して追い掛ける。
ミリナな一席のテーブルに座っている者達の場所へと向かう。
「お待たせなの」
「ん?………ミリ!?ミリナが男を連れて来たぞ!」
「ええ!?ミリナちゃんが嘘でしょ!!」
テーブルに腰掛けていた三人の女性がユウマを見て驚く。
「うるさいなの。何がおかしいの?」
「いやいや、だってあのミリナだぞ。人には無関心で、唯一実験台にする時だけ嬉々として接するあのミリナが、普通に人をそれも男を連れて来るなんて、なんだ?世界が崩壊するのか」
「失礼なの。それにユウマだけじゃないなの」
三人がユウマの背後のリムとガンジョーを見ると「何だ。仕事の話か」と一気に興味が失せた様だ。
「違うの。彼らは今回初めて此処に来たなの。私が先輩として少しレクチャーしてあげるなの。貴女達も協力するなの」
「わぁったよ。あたしはビルナだ。よろしくな。見ての通り戦士だよ」と赤髪赤目のワイルドな女性が、背中に担いだ戦斧を見せながら言う。
「はいはーい!次は私だよ!私はキャミー!盗賊だよ!主に斥候担当だね」
金髪の髪をツインテールにした、青目がクリッとした可愛らしい少女が名乗る。
「ジュリーよ。よろしくね。私は回復担当よ。勿論攻撃も嗜み程度には出来るけどね」
豊満な肉体を持つ神官服を着た、紫の髪がドリルヘアになっている女性がそう告げた。
瞳も髪と同じく紫色をしている。
「よろしく。ユウマだ。このちっこいのがリムで、ゴッツイのがガンジョーだ」
「よろしくっス!リムと言うっス!」
「………よろしく」
「おう!よろしくな!でも今の時期はタイミングが良いのか悪いのか。遠征軍がダンジョンに潜るから、暫くは満足に潜る事も出来ないよ?」
「でもさ、後ろの二人はまだ冒険者じゃ無いんだよね?なら丁度間引かれているし、練習には丁度いいんじゃない?」
「まだ登録してないんなら、先に済ませて来な」
ビルナの指示に従い、先に登録に向かう。
二人の登録も終わり、ミリナ達の所へと戻る。




