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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第3章〜領地開拓・勇者来訪編〜
131/250

110話

 

 クレアシオン城についた時刻は夕刻であったので、まずは大浴場に行き旅の垢を落とす。


 スッキリしたところで、夕食の時間まで軽く寝室で寝て過ごす事にした。



 クレアシオン城にはいつのまにか人が増えて居た。


 自由に雇って良いと言って居たからである。


 もちろん事前にアールが面接を行なっているし、諜報部隊が素性を洗っているので安心して雇っている。



 夕食を食べ終えた後は、今日は長旅で疲れたので自室に戻り就寝した。





 -翌朝-


 日が昇ると同時にユウマは起きる。


 先ずは洗面台で顔を洗い、歯を磨いてから魔導具を起動させてクヴァルムの姿に戻る。


「最近こっち(クヴァルム)の姿でいる時間の方が長くなって来たな。元の姿に戻って気軽に冒険していたいが、何かと上手く行かないものだな」としみじみと思いながらも、運動着に手早く着替えて運動場に向かう。



 運動場は軽く動いたりする為だけに作った場所なので、整地しているだけのただの広場である。


 そこで毎朝の日課となる素振り500本に、剣術の型稽古をする。


 二時間ほど稽古で時間を消費する。


 終わる頃には汗をかいていたので、自室に戻りシャワーを浴びてスッキリとする。


 シャワーから上がり、体をタオルで拭い服を着る。



 服を着終わったタイミングで扉なノックされる。


「アールです。入ってもよろしいでしょうか?」


「ああ、入ってくれ」



 扉を開けてアールが入って来る。


「おはようございます。昨日はお出迎えに行けずに申し訳ありませんでした」


「いや、構わない。アールには領内の事を全て任せていたのだからな」


「勿体無きお言葉です」



 その後いくつか報告を受ける。





 一つ目は、クヴァルムが王都に言っている間に、オリハルコンやミスリルに金銀の鉱床を発見したようである。


 これにより財源は確保することが出来て、街の拡張工事や開墾作業など様々な事を計画を前倒しにして進められる。


 更にオリハルコンとミスリルを使用して、強化したゴーレム兵を量産出来るだろう。



 だが、報告は良いことばかりではない。


 主に二つの問題が、今のバトランタを一番悩ませている事である。


 一つ目は隣領の伯爵領からの民の流入が、止まらない事である。


 寧ろ日に日に酷くなっていると言えるだろう。


 民が増えて良いことばかりではなく、元々住んでいた村人達との諍いの原因になったりと少しずつ問題は出始めている。


 仕事はまだまだあるから今のところは何とかなっているが、流石にこのままではまずい。


 間者の有無もあるが、伯爵領も帝国領と繋がっているのである。


 そうすると帝国軍が攻め込んで来るときに、伯爵は狙われてしまうだろう。


 伯爵家は今の所大きな問題にはなっていないが、このまま民の流出が続けば破綻するのは目に見えている。


 領境いの警備を厳しくしても、全てを封鎖するのは人員と経費の問題で不可能である。


 このままで少しずつ細部が腐り落ちていくかの様に、伯爵家は衰退して行くだろう。


 だが、現伯爵は武には秀でているが、それ以外はてんで駄目である。


 弟君は優秀なようだが、体が弱く寝たきりらしい。


(はぁ。自領だけでも大変なのに隣まで面倒を見なければならないのか?)


 一応窮状を訴える書状を王都のシャルロット殿下の元へは送って置いた。


 伯爵は第三王女閥ではないが、何もしないよりはマシだろう。



 そしてもう一つの問題は、山間にいる蛮族達である。定期的に山から降りて来て付近の村を襲うのである。


 ゴーレム兵が巡回してはいるが、全てをカバーしきれずに幾つかの村は襲われてしまっている。


 これはやはり元を断たねば延々とイタチごっこを演じるだけである。



「アール。どのくらいの兵を用意出来る?」


「蛮族の討伐に赴かれるのですね」


 アールの問いに首肯すると「わかりました。領内の警備などで全てを動員は出来ません。それにまだ訓練課程が未了の見習い兵も今回は除外しますので、兵站を担う部隊などの後方部隊を除いた実働兵力は、ゴーレム騎兵が500騎、ゴーレム兵2,000、バトランタ騎兵300騎、バトランタ兵1,000の合計3,800です」


 思っていたよりも、だいぶ兵は居るようだ。


「装備類はちゃんと行き届いているか?」


「はい。工場が幾つか完成しましたので、既製品がちゃんと届いています」


「良くやってくれた。それで蛮族の推定戦力はどのくらいだ?」


 アールは懐から地図を出して説明する。


「そうですね。蛮族は調査により一つではなく、幾つかの部族に分かれている様でして、我々を襲撃して来る部族は主に二つの部族でして、便宜上AとBと呼称しまして、Aの部族は右側を縄張りにしております。戦力は騎兵3,000騎程です。対してBの部族はこちらの左側を縄張りにしています。戦力は騎兵4,000程です。二つの部族を合わせれば7,000もの軍勢になりますが、蛮族達は部族間でいがみ合い相争って居ますので、手を組む可能性は限りなく低いでしょう。なので各個撃破を推奨します」とアールが言い切った後にメイドが朝食が出来たので呼びに来た。



 クヴァルムとアールはそこで、話を一旦切り上げる事にした。


 話の続きはまた朝食後にする事にした。




 クヴァルムが朝食を食べ終わると、いつの間にかアールは部隊編成を済ませて居てくれた。


 更に十分な物資もある。


 これはいついかなる時でも、迅速に行動する事が出来るように、予め蓄えて居てくれたようである。



「後は部隊を集結させて出発するだけです」



「そうだな。一週間後をめどに部隊を集めといてくれ。それとこの山間部の村人達の避難も行ってくれ。他の貴族や特に帝国には気付かれたくないので、部隊は小分けにして現地で集結するようにしてくれ。くれぐれも人目につく行動は避けるように厳守する事、それと部隊にも今回の出兵については箝口令を敷いてくれ」


「畏まりました」



 それから数日ばかりは溜まっていた事務仕事をこなす。



 扉がノックされたので、入室の許可を出す。


「失礼します。全ての準備が完了致しました」



「そうか、御苦労。では行くとするか」


 いよいよ出陣である。

二月は他の月より日数が少ないので、時間が過ぎるのが早く感じる

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