104話
短いです
翌朝
何時もより早い時間に起きたクヴァルムは、念話でアールとリーゼと近況報告を軽くしてから、宿舎の裏のちょっとしたスペースで軽く素振りをする。
素振りをしていると後ろから声が掛かる。
「朝早くから素振りとは、真面目なんスねクヴァルムは」
その特徴的な喋り方から、すぐに話しかけて来た人物に思い当たる。
兎の獣人のビットだ。
「おはようビット。ビットの方こそ早起きなんだな」
「そんな事ないっスよ。今日は偶々早くに目が覚めただけっスよ」
そう言いながら欠伸をしている。
「眠たそうだな」
「少しだけっスよ。それよりそろそろ朝食の時間っスよ」
「もうそんな時間か。着替えたら食堂に行くよ」
「了解っス。じゃあ、また食堂で」
「ああ」
ビットと別れた後、部屋に戻り軽くシャワーを浴びてから服を着替える。
その後は食堂に行く。
食堂には既に多くの騎士や従士達の姿があった。
何処座ろうかと考えていると「クヴァルム!こっちっスよ!」と自分を呼ぶ声が聞こえたので其方を向くと、第一部隊の面々が腰掛けて居た。
みんなの方へと向かい挨拶する。
「おはようございます」
「おはようクヴァルム。ビットから聞いたが、朝早くから鍛錬をするとは感心だな」
ホルセがにこやかに微笑みながらそう告げる。
「そうよ。偉いわねクヴァルムちゃん。それにひきかえアシュリーはまた寝坊して、あたしが起こさなかったらまだ寝てたんだから」
ゴリアティーナがそう言い隣のアシュリーを見る。
「うっ!そ、それは仕方がありませんわ。私は朝が弱いのですから。これでも前よりは早く起きれて居ますのよ」
とゴリアティーナに指摘されたアシュリーは言い繕う。
「寝坊に変わりはないっスよ」
ビットが揶揄うとアシュリーは殺気のこもった視線を送り「黙りなさい」と冷淡な声を出す。
「す、すいませんでした!」
ビットはすぐさま土下座する。
クヴァルムはああ、こっちも土下座は存在するのか。と場違いな事を思って居た。
「わかればよろしいですの」とアシュリーはビットを睨みつけながら言う。
「喧嘩するのも仲が良い証拠だ」と満足気にゼイダンが言うとアシュリーは「違いますわ」と言いビットも「そうっスよ」と反論する。
それを聞いてないのか、ゼイダンは「ガッハッハ」と豪快に笑っている。
クルジは我関せず。と黙々と朝食を食べて居る。
クヴァルムも朝食を取りに行き取った後は席に着く。
楽しく談笑しながら朝食を食べた後は、訓練場に移動する。




