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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第3章〜領地開拓・勇者来訪編〜
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94話

 クヴァルム一行はトリエラ男爵領に向かって馬を進ませていた。



 一ヶ月と少し前には考えられない程に道は整備され行き交う人など皆無なこの街道を今では沢山の行商人や傭兵に旅人が行き交って居る。


 一ヶ月前は起伏のあった荒地だったがクヴァルムの使役した巨人種の魔物の力で地面を削り更地にして板石を敷き詰め石畳の道を横幅20mと馬車4台分のスペースを確保した立派な街道に出来上がって居た。



 そしてクヴァルムが治めるバトランタの領境に近付くと簡易の関所が設けられていた。


 あそこではゴーレム兵とバトランタで仕官して来た者達を雇い入れ関所で待機して盗賊や怪しい人物が紛れ込んで居ないかの確認を簡単に行なって居る。


 まあ、あれはダミー見たいな物で密偵などはこんな街道を通らず迂回路を選ぶ可能性が高いのでそちらの方が厳重に警戒して居る。



 もちろん簡単な確認だがそれでもある程度は防ぐ事が出来る。


 道中には至る所に監視員が居り行動を逐一報告されて居るので安心ではあるがこう行ったのもあると無いとでは大きく違うらしい。



 クヴァルム一行に気付いた人々は頭を下げて来る。



 そんなクヴァルム一行の前に一人の筋骨隆々で鉄の棒を背中に下げた偉丈夫がいきなり立ちはだかった。



「暫し待たれよ!このバトランタの領主ドゥーエ卿とお見受け致します!」と大声で問いかけて来た。



 その光景に周りの者達は呆気に取られリーゼやゴーレム兵や警備兵が武器に手を置き立ちはだかった男を警戒する。



 リーゼが「何者か!」と誰何する。



 すると偉丈夫は大声で「某は傭兵ギルド所属の『鉄棍のラザニエル』と申す者なり!是非某をドゥーエ卿の従士にして頂きたくこの地に馳せ参じた次第でござる!」と時代劇見ないな喋り方をするラザニエル。



 どうしようとクヴァルムはリーゼに視線を向けるとリーゼは一つ頷き。



「ラザニエルとやら貴殿の目的はわかった!然し今は王都に行かねばならないので後ほど機会を設けるのでその時にまた来られよ!(言外に常識を考えて行動して)」とリーゼは伝えた。



 だがラザニエルは「ならば某も共に王都に向かう所存なり!」と笑顔で言い切った。



 暫し言葉を失ったリーゼだが「私達は馬で移動するが貴殿は見たところ徒歩の様だが?(そっちのペースに合わせる訳にはいかない)と告げると「問題ござらん!某は健脚故走って追いかけるので大丈夫でござる!」と晴れ晴れとした笑顔で足を叩き健脚をアピールするラザニエル。



 もう何を言っても無駄で付いて来ると予感したクヴァルムは「ならば遅れずに付いて来る事だ。決してお主に合わせてペースを下げる事はないからな」と半ば付いて来る事を認める。


 するとラザニエルは喜色満面で「承知!」とただ一言そう告げた。



 そして馬を早足で進めるが問題なく付いて来る。



 もうラザニエルの事を意識しても仕方ないので気にしない様にしてトリエラ男爵領の領都トリエラに向かって進む。



 トリエラ男爵領は嘗て通った時には考えられない程に繁栄して居り時折街道近くに現れた魔物も姿を見せず平穏そのものだ。



 今回寄るついでにある提案をトリエラ男爵にするつもりだ。


 それは駅馬車でトリエラ男爵領とバトランタ騎士爵領の街道に馬が休める厩舎と替えの馬や荷馬車を用意して交通の便の改善を図るつもりだ。



 このシステムは国営化して居るが、重要な施設や要衝のある場所や力のある貴族領でしか実地されて居ない。


 何故なら馬の維持費用が馬鹿にならないからだ。



 それに盗賊などに襲われたら大損害なので皆おいそれと手出ししなかった。



 だがこちらにはゴーレム兵とゴーレム馬と言う疲れ知らずの者達が居る。


 それに食料の代わりに少量の魔力を補充してあげるだけで良いので魔術士を雇わなくても一般市民で十分に事足りる。



 まあ、懸念事項としてゴーレム馬の事まで知られてしまう事だが今更だ。



 王都で大量にゴーレムを買ったことは既に知られて居るだろうし時間の問題だろう。



 こちらを真似してゴーレムを大量に買い上げて兵の代わりにした貴族家もあるが単純な命令しか聞かずこちらのゴーレム兵よりも性能が悪く魔力消費量も比べるまでの無いのでその維持費用だけで赤字だろう。



 そして当然貴族達は商会に問い合わせて不良品では無いかと抗議したが、商会側は「その様な事はありません」と完全否定した。


 中にはそれでも商会側を疑い脅迫紛いの行動をし始めた貴族家は商会の要請を受けた商業ギルドがこれはギルドに対する挑戦か?て脅しをかけるとすぐに手を引き謝罪の品を送りさらなる出費と商業ギルドからの印象を悪くした。



 閑話休題……



 思案しながら馬を進ませて居るといつの間にかトリエラ町が見えて来た。



 ほんの一ヶ月と数週間前まではギリギリ町と呼べる規模と人口であったのに今では街と呼ばれる程の規模と人口を誇って居た。


 増えた人の殆どはトリエラ男爵領の住民ではなくバトランタに向かう行商人やその護衛だ。


 後は冒険者か旅人もしくはバトランタに移住希望の者達だろう。



 街へと近付いて行くと此方に気付いた門番が走り寄って来る。


 因みにラザニエルは軽く息を乱した程度で問題なく付いて来ていた。




「失礼します!ドゥーエ卿で御座いますか?」と兵士が問いかけて来たので「ああ、そうだ」と答えると「お話は伺っております。どうぞ此方へ」と門を通過させてくれる。



 門の前の行列の人々に少しばかり申し訳ない気分になったがこれよ世の摂理と考えて行列を抜かして門を通り抜ける。



 この街の兵士に案内されてトリエラ男爵邸へ向かう。



 既に先触れで知らせて居たので順調に男爵邸まで辿り着いた。





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